今年の夏は暑い。いくらなんでも体温を超える温度が何日も続くのは耐え難い。耐え難いのは人の体だけじゃない。
我が家は太陽光発電とバッテリーで電気を自給しているので、バッテリーの方も耐え難い。「熱中症にならないようにエアコンをつけて」と言われたって、翌日充電量を取り戻せる日じゃなければ使い放題にはできない。明日が晴天なら使っても心配ないが、曇りだと取り戻せるかどうかわからないし雨だったら無理だ。心配性のぼくとしては、電気をなるべくとっておきたくなる。
それほど心配になるのはエアコンの電気消費が大きいからだ。たいして涼しくなるわけではないのに電気ばかり食う。冷媒を圧縮して含まれていた熱を外に捨てるために、コンプレッサーが動いて室内に送風するためだ。そのくせ冷房のためにはこうした「対流熱」を利用した冷房は決して効果が高いものではない。「空気」なんかで冷房しても、体に届く前に消えてしまう。要は電気ばっかり食って涼しくないのだ。電気の使える量は一定だとして、もっと涼しくできる仕組みはないものか。
ここで考えるのが「熱伝導」の法則だ。伝わる熱は三つしかない。エアコンのような「対流」、フライパンを火にかけると柄まで熱くなる「伝導」、そしてもう一つが太陽の光や電気ストーブみたいに電磁波で届いてくる「輻射」だ。
この輻射熱は面白いことに、扇風機で間を遮っても何も変わらない。電磁波なのだから、風に吹きとばされたりしないためだ。しかもこの電磁波は、あちこちに乱反射しながら熱を届けていく。これには「ステファン・ボルツマン定数」というものがあって、「熱放射によって放出されるエネルギーが 絶対温度 の4乗で与えられる」ことになっている。対象物と熱放射体の絶対温度の4乗倍も伝わるというのだ。エアコンの「対流熱」とは比較にならないし、金属の熱伝導などとも比較にならない。輻射熱は乱反射しながら、周囲に熱を伝えていくのだ。
そのときに輻射熱を反射してしまってそのものは温まらないアルミのような素材と、熱を受け取って外に出さない黒い塗装面のような素材がある。これをうまく利用すれば程好く冷暖房できるかもしれない。なんせ絶対温度の4乗倍なのだからものすごい。
これによって起こっている不都合と、優れた方法がある。不都合の方から説明すると、「低温着火」と呼ばれる壁の内側からの発火で、台所のコンロの火から15センチ以上離せない時は「ケイ酸カルシウム板」などの防熱板によって防護するように書いてある。
別名「伝導加熱火災」というのだが、どちらも誤解を招く名称だ。というのは「低温着火」するのは火災の着火時の話で、ではなぜ低温で着火してしまうほど熱に脆くなったかと言うと「輻射熱」が表面ではなく、その下の壁の中の「ケイ酸カルシウム板」や「石膏板」「木材」を焦がしてしまうためだ。それらは燃えにくい素材だが、輻射熱によってぼろぼろの状態になってしまっているのだ。だから本来、輻射熱を反射して守ることのできるアルミが適切だ。
なぜなら「伝導熱」ではなく「輻射熱」が原因であるからだ。ステンレスもピカピカしていて反射しそうだが、アルミと比べると半分しか反射する力はない。
ところが消防署のデータを見てもそのことは書いていない。「輻射熱」のことはそれほど知られていない盲点になっているのだ。 逆に「冷暖房」に生かすとしたら、「輻射熱」は最適だ。相対的な絶対温度の4乗倍も伝えるのだから。そのため「光冷暖」という仕組みが作られた。それは良いのだが、温度が違うということは「結露」を起こす。その排水が難しいのだ。
我が家では、その仕組みを「自エネ組」の大塚尚幹さんが作ったのでそれを取り入れてみようと思う。壁に冷たい井戸水を通し、それによって風もなく冷やす。結露するので雨樋のような「水受け」を作って流していく。そうすれば音もなく涼しくなり、エアコンなしに冷房が実現する。
空気の中から結露した分だけ樋に流し、その分だけ室内の湿気は除湿される。井戸水は熱伝導性の高い銅管とアルミで流す。それならば電気は井戸ポンプを動かすだけで足りる。井戸ポンプは一年ほど前から以前の半分ほどまで省エネされるようになっている。
これを大塚尚幹さんはすでに作り、※京都の南禅寺や岡山のお寺にも設置している。決してできない仕組みではないのだ。これを我が家に導入し、これから嫌でも暑くなる日々に対抗しようと思うのだ。これなら太陽光発電を増やさずにできる。
京都 南禅寺 井戸水輻射冷房完成 自エネ組HP より
さらに熱の伝わり方の原則は、暖かい熱でも同じだから、風に頼らない暖房の仕組みもできる。冬はペレットストーブに頼っているのだから。煙突につながる二重管の内側の管に銅管を巻き付け、そこからの熱で暖房したい。
従来の吹き付ける「対流熱」に頼ることはやめて、効率の高い「輻射熱」で冷暖房したいのだ。もともと我が家は実験的な試みをたくさんしている。
今度はそこから熱にもチャレンジしたいのだ。
もう一つのガスレンジ周りの輻射熱に対しても、アルミの反射率の高さを利用して対策してみたい。簡単にアルミをタテに入れた間柱に巻き付け、それをレンジの脇に取り付けたい。アルミを張った下を触ってみると、輻射熱が反射されて全く熱くならない。それを利用することで熱の対策をしたいのだ。ガスレンジに寸胴鍋を置いたりすれば、嫌でも壁側は熱くなる。それに対策しようと思うのだ。
これは実験だから予想通りになるとは限らない。それなら人に頼むわけにはいかない。まずは自宅で試そう。自分としては成功すると思うからするのだが、これが効果的になるのなら、もっと省エネができることになるかもしれない。そんなことを考えながら来年の夏に備える準備をしてみよう。妻は怒るかな。
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※▼「南禅寺 井戸水輻射冷房の検証 早稲田大学建築科 中川先生
https://tennen.life/2020/08/29/井戸水輻射冷房/ より
井戸水を利用した冷房です。電気代はエアコンの1/10以下。
エアコンは部屋を冷やすが外を温めるので、温暖化を助長しますが、これは部屋を冷やし、外も冷やしますので、温暖化防止に貢献します。
輻射冷房は火鉢で温かくなるのと同じ作用で冷たい電磁波を体が受けて冷えます。電磁波の冷房はとても気持ちよく、これにうちわで扇ぐだけで最高級の空調となります。
協力 南禅寺僧堂、早稲田大学建築科、SHOKAN desgin
▼動画「 南禅寺井戸水輻射冷房」