2020年8月26日

木材の「ウイルス不活化」②


「燻煙木材」の効果

 木材の「ウイルス不活化」①で述べたのは木材の成分でウイルスを「不活化」できるという話だった。

 でも天然住宅の使っている木材はさらに「燻煙(くんえん)」してある。煙を当てて燻してあるのだ。この燻したことの効果もある。燻すことで害虫が寄らなくなるだけでなく、抗ウイルス効果もあるのだ。それがただ普通に家を建てただけのことで得られるのはとても得だと思う。それを狙ったわけではなく、昔からの技術に従っただけなのだが。




 もう一つ狙ってやっていることに、透過性の高い素材を選んで使っていることがある。「適気密」と呼んでいたが、今よりも気密を上げていきたいと考えている。そうすることにより、冬場に室内温度をより保ちやすくすることができる。もちろんぼく自身も天然住宅仕様の家に住んでいて温かいが、暖房の効きがよくなれば、より暮らしやすいと思う。


 何とか暖房エネルギー効率を上げていきたい。そこでウチの一級設計士が真面目に取り組んでくれている。自然素材の良さを活かしながら、気密性を上げて、より快適な状態をつくりだせるように。


 透過性の高さには良い点もたくさんある。今回の新型コロナウイルス問題で「密閉は良くない」と言われるが、「密閉」空間にはならない。それ以上にありがたいのは、石油系や有害化学物質を使った一般的な高気密空間をつくってはいないので、「24時間換気」をしなくても「シックハウス」にならない点だ。


  よく家の性能表示で断熱性能を示す値に「UA値」、気密性能を示す値に「C値」がある。しかし残念なことに、UA値に「換気による熱損失」は計算上考慮されない。 「UA値」が基準になる前は「Q値」というのが基準で、そこでは熱損失が考慮されていた。


  熱を確保するのにビニールやベニヤ板で張り詰めてしまうのは簡単だし、それで「C値」を高めることはできる。 しかし天然住宅では、どちらも使わないことがポリシーになっている。使えば匂いがするからすぐに気づくのだ。


 しかし燻煙乾燥の木の匂いが嫌だという人もいる。かつての「燻煙乾燥」と比べたら、今はほとんど匂わないのだが、それでも嫌な人はいる。それなら燻煙していない木材を用意することもできる。この燻煙の効果にも「抗ウイルス」がある。「ステイホーム」しているだけでウイルスを不活化できるなんて、とてもいいと思わないか。

 

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2020年8月25日

「夏の慰霊 」 

  八月、日本で言えば毎年の原爆被害者や戦没者の慰霊と終戦を考えるときだ。

 同じ八月、かつて中国では別な出来事があった。「75・8 大洪水」と呼ばれる世界最悪のダム決壊事故だ。死者数はおそらく24万人程度と思われるが不明だ。当時の中国は「大躍進政策」が打ち出されていて、国家の威信をかけて次々とダムが建設されていた。その死者数は日本の原爆被害死者数に匹敵するが、中国では2005年になるまで極秘に隠されていた。

 この事故は大型ダムである「板橋ダム」、「石漫灘ダム」が日本をそれて北上した台風の豪雨により決壊し、連続して造られていた58基の中小のダムがドミノ倒しとなって崩壊した。ダム決壊の直接の被害だけで数万人、さらに決壊しなかったダムが堰き止めた水によって200万人の人々が水の中に取り残された。真夏の暑い日差しの中、餓死や伝染病により約20万人もの人々が犠牲となった。文字通り、桁違いの「史上最大のダム事故」となっている。  

 そのことを知っていると、今の長江の水害の状態が気にかかる。長江(日本では揚子江と呼んでいる)はひと月ほど前から、例年にない豪雨に見舞われている。


 長江には世界最大の「三峡ダム」があり、その水位はすでに危険な高さになったままだ。この「三峡ダム」は長江の中流にあり、ダムの上流はすでに堆積して積み重なった土砂により洪水を招いている。ダムの貯水量は琵琶湖の1.7倍あり、下流にはコロナで有名になった「武漢」、「南京」「上海」と中国経済の中枢が並んでいる。


 しかもダムへ流れ込む側には人口3000万人の「重慶」があり、「工業排水や生活排水」によるヘドロや有害物質がダムに流れ込んでいる。ダム湖の水はすでに汚れた水になっているのだ。そのダムの水は住民に通知されないまま「緊急放流」されている。これによりダム下流もまた宜昌などの地域の水害被災者が数千万人に上り、さらに避難指示がすでに1600万人に出されている。  


 万が一の際には最下流の1000キロ離れた「上海」があり、さらに原子力発電所へ水害を及ぼすかもしれず、すると福島原発事故の二の舞になるのではないかと心配されている。万が一ダムが決壊したなら、下流域の約4億人に被害が及び、「武漢市」には危険な細菌を扱う研究所まで破壊されかねない。


 そのダム堤は、数年前から歪んでいると指摘されている。これに対し中国政府は、グーグル社の採用する「アルゴリズム」のせいであり、歪んだのはわずかな量だと述べている。しかし今回のダム水位の上昇は未曽有のものであり、もし万が一のことがあれば、下流地域を水没させることも起こり得る。しかも下流に流れ込む洪水はきれいなものではなく、汚染を含んだ汚水なのだ。それが下流1000キロも離れている上海だけでなく、コロナウィルスで有名になった「武漢」にある危険な病原体を取り扱う研究所もある。  


 それでも大丈夫だと言えるのだろうか。最初に紹介した板橋ダムの事故は八月の台風がきっかけとなった。中国の水文学・河川工学者で清華大学水利系教授だった故「黄万里(こう ばんり)氏」は、ダムがあまりに急ピッチで建設され、すでにダム堤に多くのひびがあることなどから「10年と持たないだろう」と述べていた。  


 国家の威信をかけたダムだというのに、ダムを推進してきていたはずの人たちは、竣工式に顔を出していない。建設時すでに、数千か所のひび割れが起きていたからだ。責任を追及されたら困ると考えたのだろう。ダムは1993年に着工、2009年に完成したのだから10年は持った。

 しかしそれから先はどうなるのだろうか。どうも早急に造ったせいで、コンクリートに溜まる熱を十分に冷やすことができていなくて、ひび割れたのではないだろうか。現在の時点で、ダム貯水湖に堆積している土砂は19億トンでと推定されている。大河である長江の水流は、今ならこれらを海まで運ぶ力を持っている。しかし時間が経ってからでは、30年後には土砂の堆積量は40億トンを超え、土砂を海へ流そうとしても堆積して流れなくなって、取り壊すことすらできなくなってしまう。今壊れて3~6億人の人が被災する方がマシとすら思えるほど、どうにもならないものになっていくのだ。  


 ダムに堆積する土砂は流れの穏やかになったところに溜まる。ダム堤から水の溜り始める位置まで500キロある。東京から500キロと言えば京都の手前まで、もしくは東北新幹線なら新花巻駅付近になる。これだけの距離のどこかにある堆積した土砂を取り去ることはほとんど困難だ。しかし壊さなければずっとこのダムからの放水に怯えなければならない。   


 もちろんそれは中国の被害だけでは終わらない。濁流は長江から南に向かう海流に押されて日本海を抜け、日本にすぐに届くだろう。すでに長江に棲んでいた淡水イルカは絶滅したとみられ、これと同じことが海に起こるかもしれない。  


 実際の近代からのダム建設はせいぜい100年程度しか歴史がない。しかもその歴史の中に、すでにたくさんのダム決壊の記録がある。しかも雨量は海洋温度に比例して多くなり、日本でも「百年に一度」という洪水が数年ごとに起きている。


 しかも世界的には常識となっている「ダム誘発地震」の心配もある。深さが100メートルを超えるダム湖の底には11気圧を超える圧力がかかり、それによって断層を滑らせて地震を引き起こしたりすることがある。中国で8万人の犠牲者を出した「四川大地震」もまた、「紫坪鋪(しへいほ)ダム」の誘発地震だったのではないかと疑われている。堤高は堤高156メートルで、三峡ダムは146メートルと同程度で、位置的にも近い。  


 巨大すぎる建造物は建てるべきではない。対処に困るからだ。例えば今ある原発も過去の「負の遺跡」だろう。放射能が半減期を繰り返して安定するまでに果てしない年月の管理が必要だ。三峡ダムもまた、保存も困難な「負の遺跡」となるだろう。  


 これから台風シーズンを迎える。中国の史上最大の板橋ダム事故は八月の台風による豪雨の影響で起きた。世界ではアメリカをはじめダムをやめて解体している。三峡ダムもまた、一日も早く解体すべきだ。未だ「無駄なダム建設」すら止められない日本から言っても説得力はないのだが。


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こちらもご参考ください

ダムが洪水・地震を引き起こす!? 大災害が起きる前に「ダムに頼らない社会」を
https://hbol.jp/223069

8月29日 天然住宅オンラインセミナー 「天然住宅の家を知る。」

「自然素材の家」に住んでみたいと思う方へ



天然住宅では、「森を守って、健康、長持ち」の家づくりをしています。

 

・木材がどこからきているのか?

・どのような人たちが森を守っているのか?

・家づくりに使われている建材は?

・どのようなこだわりをもって家づくりをしているのか?

 


天然住宅を知っていただくために、一番良い方法は「体感」です。

建材にこだわり、安全で安心な家づくりをすることによって得られるのは、空気のすこやかさだからです。


しかし、今の情勢下で実際の建築現場に足を運ぶのはハードルが高いかもしれません。



見学会でお話している天然住宅の家づくりのこだわりや健やかな空間をつくるためのこだわりについて、オンラインでお話したいと思います。


意外と家は「衝動買い」するもの。

勢いで購入してしまう方がたくさんいます。

ご自身の生活はもちろん、ご家族の人生にも、社会に対しても大いに影響がある家づくりです。


この期間を、一旦立ち止まってじっくり考える、良い機会にしていただければ思います。


お気軽にご参加ください。

 

 

■日時 :2020年8月29日 10:30〜11:30

■オンラインでのセミナー参加について

当セミナーは、ご自宅からお気軽に参加いただけるよう、オンラインで開催します。パソコン、スマホ、タブレット、いずれかの端末をお持ちでしたら簡単にご参加いただけます。お申し込みの方には、事前にご案内致します。

■講師
天然住宅 代表取締役/家づくりガイド 田中竜二

■参加費
参加費は無料になりますが、アンケートへのご協力をお願いしております。


■お申込みはこちらより
https://tennen.org/event_contents/8588



2020年8月21日

地球温暖化防止のルールが変わっていた

HWP時代の「木造建築」ってすごいんです。


 伐採木材製品(※HWP)という考え方ができていた。

 これまでは「伐採された木材は搬出された時点で大気中に排出されたもの」として温暖化させるものとカウントされていたが、それが「木材製品」として使われれば、大気中に排出されたものとしなくていい炭素が固定されたと考えるのだ。


※Harvested Wood Productsの略。
森林外に運びだされた全ての木質資源のこと。
2011年の第17回締約国会議(COP17)での、京都議定書第二約束期間における森林等の取扱いに関する新たな枠組み。(第一約束期間では森からの「搬出時」にCO2排出とみなされていました。第二約束期間では「燃焼分解」「埋立処分」時に排出とみなすように評価方法を見直しています。)


 これまでは、伐採しても運び出さずに放置する「切り捨て間伐」が有利にカウントされていた。林内に炭素として残っているので「炭素を固定している」と扱っていたのだ。それに対し「伐採木材製品(HWP)」が炭素を大気中へ放出した扱いにされていた。これでは逆だ。林地を荒らすばかりの「切り捨て間伐」が地球温暖化防止策になり、実際に炭素が固定される「伐採木材製品(HWP)」が温暖化を招くものとして抑制されてしまっていたのだ。そのせいで国内でも「切り捨て間伐された」荒れて入ることもできない森が増えていた。

 それがやっと改正されて、「切り捨て間伐」は評価されず、きちんと木材製品として使われるも
のは炭素を固定しているとしてカウントされるようになったのだ。




 ここから天然住宅の木造建築を考えてみよう。もちろん炭素蓄積になっている。地球温暖化を招かずに炭素がプールされているのだ。

 ここから先がまた違う。天然住宅は「住み継ぐ家」を前提にして、なるべく長く使えるように設計されている。主たる素材はスギだから、50年あればもう一度木材が育ってくれる。それだけで持続可能だが、天然住宅では最低でも100年、できれば300年持つように設計している。

 長期耐久性を担保するために、基礎コンクリートの打ち方から木材の乾燥方法、組み立て方まで気を遣う。


  その「伐採木材製品(HWP)」はその後、カーボンニュートラル(炭素的に中立、排出した分は吸収されるからプラマイゼロ)とされるのだが、天然住宅はここから先も違う。


 木材を無垢のまま、余分な防腐処理や化学物質処理をしていないから、取り壊した家の木材は無公害なのでそこから燃料として使えるのだ。燃料ペレットでも薪としても使える。もしさらに「木質ガス」にして使って「炭」を取りたければ「くりこまくんえん」社の給湯発電施設に届けることもできる。 ここでは熱をかけて「可燃性のガス」を取り、それを燃料として発電・給湯していて、最後に炭素の塊である「炭」だけ別に取れる。この炭は土壌改良剤として森に埋めよう。するとまたさらに炭素は貯蔵されるのだ。





 家を建てることは環境破壊ではない。それどころか炭素のプールとして使えるのだ。そんな炭素をプールできる住宅なら、家は建てた方がずっと環境に良いことになる。「悪いことではない」というのではなく、環境保全のために家を建てた方が良いのだ。

 これは画期的なことではないか。貯金をしてフェラーリを買っても環境破壊にしかならないが、天然住宅なら環境保全になるのだ。そんな未来を考えてもらえないか。


天然住宅 田中優コラムは随時更新中!


2020年8月6日

8月8日 天然住宅無料オンラインセミナー「資金計画のはじめかた」

8月8日、天然住宅スタッフによるオンライン「資金計画セミナー」があります。
 
とにかくウチのスタッフは親切で誠意のあるメンバーだから、安心してご参加を。

皆様お待ちしています。

【オンライン開催】 資金計画のはじめかた。


安心して家づくりに取り組む方法とは


家づくりにおける最初の難関は、多くの人にとって「予算設定」ではないでしょうか。

周りの人が家にいくらかけたから、住宅ローンの借入可能額がいくらだったからというなんとなくの理由で「予算設定」をしてしまう方が多い印象です。

しかし、ご家族によって今後の収支のバランスは様々ですし、選ぶ家や住み方によっても初期コストやランニングコストも変わってきます。


そこで、天然住宅では、老後のことまで見据えて、長期の収支・貯蓄の推移を現実的にシミュレーションしたうえで家づくりにかけられる予算の限度額を確認してから、「予算設定」をすることをお勧めしています。



家づくりを始めたいけれど、つまづいてしまっている方。

ぜひこの機会に、「家づくりを安心して進めるための予算設定」について学んで、 設定した予算に自信を持って、家づくりの夢を具体的な計画に変えていただければと思います。


■日時 2020年8月8日  10:30~11:30


■場所 オンライン
※ビデオ会議システムZOOMを使用します。

 
■参加費 無料になりますが、アンケートへのご協力をお願いしております。
 

■講師 天然住宅 企画部/家づくりガイド  増本


■詳細・お申込み

https://tennen.org/event_contents/8567