2017年9月22日

ライヴ・アースまつやま2017~農業の話~(動画と書き起こし)

2017年5月に愛媛県松山市にて開催された「ライブ・アースまつやま2017」での田中優トークです。

午前の部は主に農業について。

・種子法廃止が日本にもたらすもの
・最近発見された、画期的な地球温暖化対策
 についてなどです。


トーク動画はこちらよりご覧頂けます。
 
↓    ↓    ↓   

『ライヴ・アースまつやま2017 午前の部~農業のお話~』

https://youtu.be/R7atDqqVifk


 今日は農業の話をしてみたいと思います。

 というのはぼくの家は水を井戸にしたので自給、電気も太陽光発電とバッテリーで自給、そしてお湯も太陽温水器で自給、ほとんど自給を始めてしまっています。すべてほとんど自給になっていくとですね、支出が少なくてすむんですね。支出が少なくてすむと、お金を稼がなくていいし、お金に頼った暮らしをしなくても生活ができる、これ、かなり安心感につながるんですよ。

 ぼくは大学で非常勤として教えているんですが、学生たちって本当に就活に追われているんですよね。その就活で追われている学生たちに、いや別の生き方も可能だよという風に見せていきたいわけです。


 そういう中でまだ農業をやっていなかったなと思って、最近自分の家の庭で家庭菜園みたいなことを始めたわけですね。やってみる中で、最近なんと意外な法律が廃止になっていました。


 日本の中で、「主要農作物種子法」が廃止になりました。主要農作物って何かというとお米の稲、それと小麦大麦裸麦、あと大豆、まぁ主要な種なんですがこれを国が管理して都道府県に任せて、そのおかげでF1ではないきちんとした種を政府が価格を抑えて作らせてきたんです。この法律が廃止になってしまいました。

 「いったい何のためにその種子法をなくしてしまうのか?」ということなんですが、別な法律も同時に作られまして、そこに書いてあるものを読むとこの種を民間企業に助成、または配る譲渡することによって農業を作新する、なんて書いてあるんですね。


 種を受け取って作新する方法って何だろう?と考えてみると、当然遺伝子組み換え作物なんかをやっているモンサント、シンチェンタとかのアグリビジネスをする会社を思い浮かぶわけです。実はそれらの会社の意向にそった形で、種子法が廃止されてしまいました。


 種子法が廃止されちゃったというのは結構困ることでして、「日本の中でなぜ種子法が作られたのか?」。実は戦後にものすごくみんな飢えてしまいまして、食べ物の種を確保したいと思っても、種の確保ができなかったんですよ。だから良い種を作って、それで農業をやっていくようにしたいということで、「主要農作物種子法」ができたのに、それが今回廃止になってしまったんですね。

 そうすると、その種は民間会社に売られていき、その種を一番買いたがっているというか手に入れたがっている会社がモンサントのようなアグリビジネス。
モンサントは何をするかと言うと、その良いお米の種を手に入れて、ラウンドアップというような除草剤(これを開発したのもモンサント社)を使っていますね。
この除草剤をまいても枯れないお米を遺伝子組み換え技術で作ってしまおう問う方向に進んでいきいそうな状況なんです。


 これ結構怖いことでして、世界で見てみると、「種を制する者は世界を制する」と言われているんだけれども、その種が今どんどんと大企業に占められつつあるんですよ。それが結構怖いことで、アメリカにもじような「種子法」のことがあったんだけれども、それがなくなった後どうなったかと見てみると、やっぱり「モンサント社」と「シンジェンタ社」の種が多くなっています。それを考えると日本の従来から使ってきた種を台無しにしちゃいそうなんです。


 そしてその日本の「種子法」で作った種って、皆さんがDIYの店で買ってくる種、あれと違うんですよ。今の「種」というのは、ハイブリッドと呼ばれるようなF1(エフワン)の種なんですね。F1の種って何かと言うと、雑種のAと雑種のBを掛け合わせると、第一世代だけ「トンビが鷹を生む」んです。非常に良い作物を採ることができる。これがF1なんですね。


 ところがそのF1とF1を掛け合わせるとどうなるかと言うと、今度は「鷹がトンビを生む」んです。全然ダメな種に戻ってしまう。そうするとF1の種を使って作物を作ると、永遠にF1を買ってこなくちゃいけない。農民というのは常に種屋さんから種を買ってこないといけなくなる。そしてその種がモンサントのような遺伝子組み換えの種だと、同時に除草剤を買わされることになっちゃうわけですね。


 そういう風にして今農業をやっている人たちちは今後どうなるかというと、ただの栽培人にされます。ただ栽培して売るだけの人にされちゃうんですね。だからやっぱり種が大事、種をちゃんと確保しておかないと。


 それに対して今回廃止になった種子法の場合には、この種をF1にしていないんです。完全な純粋種を作っていて、これが美味しいよ、例えばササニシキとかコシヒカリとか、たくさんの種がありますけど、あれらの種はそうやって純粋にして作ったものなんですね。F1じゃないんです。だからその種を農家が採ってもう一度植えると、きちんと良い作物が育つんですよ。ここが大きな違いなんです。

 そして農業の種の法律には2つあって、その種子法というのと、もう一つは苗の方の「育苗法」。この2つの法律があって、「種子法」が廃止されて「育苗法」の方に必要な条項は残すんだと言っているんだけど、「育苗法」って、実は特許パテントのための法律です。だからF1の種とか知的所有権が守られるパテント料がつく、そういう種なんです。今全部が一色に変えられようとしてしまっています。

 そうすると我々は種を国が守らなくなるので、市民なり農業者なりが自分たちで種を管理して守る、ということをやらないと、みんな企業に持っていかれてしまうというのが現在の状況なんです。

 そしてそういう農業になってしまったら、全く自由がきかない、農民というのは小作人どころか単なる育てるだけの「栽培者」にされてしまうわけですね。


 だから自由な形での農業というのを残すためには、やっぱり種が大事。
それをやっていきたい。それが必要になってきた、という状況なんですが、その一方で例えば地球温暖化の問題、というのが今問題になっていますが、その中で実に画期的な話が出てきました。


 世界の二酸化炭素を排出したものの中で、実はトータルで見ると半分を占めてしまうのが農地なんですよ。例えば「土」が、「土」がと言っても単なる無機質の「土」だろうと思いきや、生き物の死骸や種、そういったものがたくさん含まれている「腐葉土」になっているわけですね。その「腐葉土」というのは、生き物由来のものがたくさん含まれていて、炭素がたくさん入っている有機物なんです。それを燃やしてしまうと、ただの荒れ地になってしまって、土の中に含まれていた炭素がみんな燃えて二酸化炭素になってしまうんですね。

 ここに画期的な方法が出てきました。フランス政府が主張したのですが、農家の場合には、今やっている農地に0.4%だけ炭素を多めに入れてくれれば、現在人間が毎年排出している二酸化炭素の実に70%を安定させてしまうことが出来る。


 つまり、毎年出されている地球温暖化ガスの7割を貯めることができる。すると温暖化問題は解決できます。土に炭素をたくさん含めてやれば解決可能なんだというのを、フランス政府が出してきたんですね。

 そのフランス政府のアイディアというのが実は有機農業、有機無農薬の人たちが考えついたことで、それをやれば確かに土の中に二酸化炭素を貯蔵することができるんです。


 今の二酸化炭素の貯蔵は、昔堀った天然ガスの跡地のところに二酸化炭素を投げこんじゃえとうことで100万トンとかとんでもない量の二酸化炭素をそこに突っ込んでしまっている。でも日本人だったらわかりますね、地殻変動なんて始終起こるんですよ。そんなところに詰め込んだって、地殻変動が起これば100万トンの二酸化炭素がバーッとそこから出てくる、そんなことをしたら地球はその時からもうおしまいになることが決まるわけですね。

 だから二酸化炭素を貯蔵するのに、岩の間とかそんなところに突っ込むのはダメだよと日本の場合考えるわけです。それと全く違う方法が農地に二酸化炭素を貯めていくことなんです。要は土に炭素を入れてしまう、それは圧倒的な効果があるというのが出されたんですが、これについてさらに画期的なことがわかりました。

 アマゾンで、何度耕作しても連作障害を起こさない奇跡の土というのがあったんです。それを日本人などが移民で随分行っていたんですが、その日本人の移民の人はそのことに気がついていて、こういうやり方ができるといいね、なんてことを考えていたんですけども。それをアマゾンの先住民は長らくそれをやられていて、一番古いものは8000年前からしていたんです。

 8000年前に作られた「テラ・プレタ(黒い土)」というものなんですが、その「テラプレタ」のはすごいねと言われていたんですが、西暦2000年を超えて2002年のときに初めて研究者がそれを調べて結論を出したんです。


 何とテラプレタは人間が作ったものだった。だから人間のインディオの人たちが8000年も昔から作ってきた「土」だったんです。そしてその「土」は8000年経った今でも生きています。ちゃんと連作障害を起こさない肥沃な土として現在も存在しているんです。それを作ったのは「人間だった」というのがわかったんです。

 その方法は炭の利用だったんですよ。土の中に炭を一緒に耕して入れていくこと、そしてそれ以外のものもたくさん入っていて、ゴミ捨て場のように見えるほど色んなものが突っ込まれているんですが、それが微生物と共に土を作っていたんです。


 それらの「テラプレタ」、人間が作った「テラプレタ」がですね、8000年を超えていまだに生きていて、肥沃な土地になっている。なおかつ「テラプレタ」を入れた土地は、周囲もだんだん肥沃になっていくということがわかったんです。
「これはいったいどういうことだ?」ということで今世界中でテラプレタを人間が再現できないかということで調べているんですが、今のところまだできていません。


 でも炭で言うと、炭って世界の中で一番作り慣れているのは日本人なんですよ。
だから日本に「炭ってどうやって作っているの?」ということで調べに来ました。
だけど日本の炭って、白炭、黒炭、非常に高い温度で作ったものと、低い温度で作ったものと、どっちについても非常にソフィスティケイトされていて、精錬されすぎちゃっていて、その「テラプレタ」に使われた炭はたった200℃で焼かれていて粗野なものだったんです。そんな低温で炭を作るなんていうのは、残念ながら日本にもなかった。だから一からこの「テラプレタ」をやらなくてはいけない。

 そのテラプレタはどれくらいの炭素を土に含めているか、というのを調べてみると、さっき言ったフランス政府が0.4%だけ土に入れてくれれば現在排出している二酸化炭素の70%を回収できるというものと比べて、何と10倍以上の炭素を回収できてしまうんですよ。


 そうすると何が起こるかというと、これからその「テラプレタ」のような土の中に炭素を入れていくということをやると、本気で世界中がやったとすると、1年で現在排出してしまったものも過去に排出してしまったものも回収できちゃうんです。

 ただ1年でもしやるとしたら木なんかみんな炭にされちゃいますから少しゆっくりやった方がいいわけですが、それにしてもゆっくりやっていけば地球温暖化は炭によって解決可能だというのがわかったんですね。そしてそのテラプレタというのが面白いと思って、我が家でも炭を作ってみました。そして農地の中に入れてみました。


 そうしたら面白いことに炭というのはとにかく微生物のマンションになるんですよ。小さな微生物がたくさん住み着くことのできるマンションになります。
そのマンションの中に入った微生物たちが、土壌の中のミネラル分、これを一生懸命集めてきて、植物の根っこに渡すんですね。実は植物の根っこは微生物と共生していて、植物は微生物に液体化された炭素を与えるんです。どっちかがいなければ育つことができない。だからどちらもいなければ存在できないんです。
 それを、炭を入れてやることによってどんどん推し進めることができるんです。


 その結果、炭を入れてみたら、とにかくよく作物が育つようになりました。
これを世界中がやってくれたら、現在の地球温暖化の問題を全く別な形で解決することが可能なんです。その可能性を持っている農業というものを、一方で政府は「種子法の廃止」という形でダメにしようとしているんですね。
 これもったいなくないですか?


 せっかく地球温暖化防止の解決策が見つかったのに、その農業というジャンルをダメにしてしまう。でもそうすると人によっては、「いやでも今の効率の悪い小さな農家より大きな農家の方がいいんじゃないか」という風に考える人がいるかもしれない。


 でもね、農地の生産量は小さな農家の方が多いんです。だって大きな農場、例えばアメリカのコーンベルト、トウモロコシばかり作っているエリアは、トウモロコシを年に1回しか作らないでしょう? ところが小さな農家はそこに色んな野菜を混植して入れて、ずっと作物を育てていきますよね。だから収穫量を合計してみると、大きな農場は全然収穫量が少ないんです。小さな農家の方が、収穫量が圧倒的に多いです。そういう方向が見えてきているのに、その農業を台無しにするような方向の政策をとろうとしている。これはぼくにとってはもったいなくてしょうがないんです。


 有機無農薬の話で、キューバが有機無農薬ですごく飢えちゃうような時期を乗り越えたことがあります。今でも「スペシャルピリオド」とキューバの人たちはその期間のことを呼ぶんですが、それまで農薬バンバンの農業だったのに、何と1人の餓死者も出さずに乗り越えちゃったんです。


 その時に何をやったかというと、「有機無農薬」の農業です。その有機無農薬をやった人たちは、何とアジア系の人たちが多かったんですね。アジア系の人たちが「有機無農薬」を、全然推奨されない時期にもやり続けていたんです。でも旧ソ連が崩壊して、「今後どういう風にしていったらいいんだ?ソ連からの援助も止まって石油も届かないし農薬も届かないし」という時に、その人たちが未来はこっちの方向だと指さしたおかげで1人の餓死者も出さずに乗り越えられたんです。


 ぼくはその可能性を持っておく必要があると思っていまして、この松山の少し離れたくらいのところの農地には有機無農薬で真面目にやっている人がかなり多いんですよね。たぶんここにも出店されていると思うけども、そういった人たちの技術を継承して、それをみんなが自分の家でやっていてそれを種として自分で持っておく、そうすることで「いよいよ飢えるぞ、円が安くなっちゃうってもう何にも輸入できないぞ」という時代になったら、キューバのように乗り越えることができるようになります。それをやっておく必要があると思うんです。


 その時に日本の農家というのはかなり優れた技術を持っている人たちが多いので、この人たちと一緒に次の未来を作ることができたら、どんな事態も乗り越えられるかなと思っています。それほど農業は大事で、そして「種子法」が廃止になってしまっていよいよヤバイなという時代に今なったんだけども、だったら今度は自分たちでそれを守れるような仕組みを作ろう、農家と一緒に自分たちでその仕組みを作っていこうよということをやっていくのが必要かなと思います。


 ライヴアースまつやま、そしてそのアース(地球)を考えていくときに、私たちはそんな大きな力はありません。だから私が突然命を賭けたって大して社会を変えることはできません。


 だけどその小さな力がいっぱい集まったとしたら社会は変えられるんです。
ぼくはそっち側に期待をしていきたい、それを何とか実現していきたいと思っています。






(書き起こしにあたっては、読みやすくするため必要最低限の編集を行っています。 
文章作成:田中優スタッフ)



-- 種子法、テラ・プレタについて、より詳しくはこちらもご参考ください --


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バックナンバーのみでもご購読可能です


◆2017.5.30発行 第139号:「主要農作物種子法廃止」にどう対処するか(下)

◆2017.5.15発行 第138号:「主要農作物種子法廃止」にどう対処するか(中)

◆2017.4.30発行 第137号:「主要農作物種子法廃止」にどう対処するか(上)

◆2016.12.15発行 第128号:謎から読み解く地球温暖化問題(下)「幻の黄金都市、エルドラド」

◆2015.5.15発行 第89号:「生命の掟(下)吉田俊道さんの農法を考える」

無料:9月26日(火)天然住宅バンクミーティング

2017.9.25追記:【開催延期のお知らせ】

9/26に予定していましたバンクMTGは延期になりました。
次回は10/30(月)に開催します。

--*--*-*--*--*--

田中優を中心に非営利バンクの金融の仕組みを利用しながら様々な活動に繋げていくためのミーティングです。

毎月1回開催しています。


「無料&どなたでも参加OK」です!



■日時 9月26日(火) 19:00~21:00 (開場:18:50)

  
■東京都新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル4F


■参加費 無料


■お申し込み受付 下記フォーマットからお申し込みください。
http://tennen.org/event/bankmtg-2.html


■主催 天然住宅バンク



『伝統大工は頑固なままで』

天然住宅コラム第44回

第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議 の続き


■ 「日本の大工vsドイツの大工 勝負の行方」

 木材は生えている時の縦方向に強く、横方向に弱い。だから柾目の板というのは縦方向目が並んでいるのだから、その方向の木目を切らない方が強い。 だからドイツの大工の考え方は合理的で、木目を切らない水平の継ぎ手の方が強 くなることはわかる。それにしても「これほどの差が」と思うほど、強度に差があったが。

 木は自然のものだから個体差が大きい。しかしそれでは説明がつかないほど、強度に大きな差が出たのだ。しかしこれだけでは「ドイツの技術の方が優れている」で、終わりにされてしまいそうだ。しかし違うのだ。ここに気候・風土が関わるのだ。


■ 日本とドイツの違い 

 ドイツの建物が恐れるのは、強風のように建物にかかる荷重と上からの重みだ。しかし日本で家屋が倒壊する最大原因は、熊本地震の例を出すまでもなく地震だろう。日本の建物が耐えなければならない荷重は、上にかかるもの以上に下から突き上げるような揺れなのだ。したがって建物は上からかかる荷重に対応できる強度だけではなく、下からのあらゆる揺れに強くなければならない。

 もうお分かりだろう。「凄ウデ」で行われたのは上からの荷重実験で、継ぎ手の強さを上からの荷重で見ただけのものだ。これで大工のウデを見られたのではたまらない。日本には日本の気候と風土に見合った、強さとしなやかさが必要なのだ。

 たとえば京都の町屋の造りは非常に弱いものだ。上から荷重がかかるとしたら持つものではない。しかししなやかさは抜群だ。縦の柱を横に突き抜けていく 「貫(ぬき)構造」で柔らかな構造にし、地震や風の揺れにしなやかに揺れることで吸収して耐えていく。これを上からの荷重でテストしたら、もつはずがないのだ。


■ 日本の大工は頑固なままで



 だから日本の「金輪継」は、これまで通りの形でいい。ドイツのように柾目に沿わないままでいいのだ。荷重が下から縦横へかかるのだとすれば、上からの荷重だけに対応していたのでは、かえって弱くなりかねない。硬直した構造で強 くするよりも、しなやかに力を分散させる仕組みがいい。そう考えると『西洋かぶれ』と言いたくなると程ばかげた仕組みに目が行く。


 日本の建築基準法では、土台、構造の木材を基礎コンクリートにがっちり金属で留めなければならないが、地震の時には土台、構造材が割れてしまって使い物にならなくなる。
 
 一回目の地震に耐えられても、群発地震のような次の振動には耐えられなくなる。昔からの建物がそうであるように、硬い石の上に乗せるだけの「石場立て」の方がいいではないか。古今東西、「~かぶれ」の人たちは自分で考えようとしないからこういうことになるのだと思う。日本の大工は頑固なままでいいのだ。


石場立て


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田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」では、田中優のコラム「住まいと森のコラム」を始めています。

「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。

こちらの田中優メルマガでも順不同ですが紹介させて頂いています。


☆--★ 2017.9.22現在、コラムは第84回まで更新中!☆---★  

田中優の「住まいと森のコラム」 

月に3回記事を更新しています! 


■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを 
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす
第64回 虫対策、その後
第65回 おカネに依存しない暮らし、自営
第66回 おカネに依存しない仮想通貨
第67回 天然住宅はホコリが少ない?
第68回 住宅教育が必要だ
第69回 住宅費用のイニシャル、ランニング
第70回 無煙炭化器
第71回 偉いぞ、炊飯器
第72回 中国のシックハウス問題
第73回 のらぼう菜
第74回 孤独になる?自給生活
第75回 「自給住宅」と食べ物
第76回 ガーデンパーティー
第77回 「自給の家」の「たべるにわ」
第78回 「居ていい場所」というコミュニティー
第79回 我が家の庭でBBQ
第80回 自給の家と「たべるにわ」 
第81回 連休は出かけちゃダメ?
第82回 ネオニコチノイド農薬ふたたび
第83回 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ
第84回 ネオニコチノイドが水を汚染する

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ぜひHPでチェックしてみて下さい。

2017年9月18日

書き起こし デモクラTV ~田中優に聞く再生可能エネルギーの未来など~


2016年11月にインターネット放送の「デモクラTV」に田中優が出演させて頂いた際の、
田中優コメント書き起こしです。

動画はこちらより登録などをして頂くとアーカイブよりご覧いただけます。
http://dmcr.tv/index.html



▼「年金法案強行採決について」

田中優
「ぼく自身は「こんなことで強行採決をするの?」というところですね。

 つまり全ての人に関わる問題で、それを強行採決するって、そもそも少子高齢化がどんどん進んでいる日本では、やらざるを得ないことなのだから論を詰めればいい。それなのに無理筋でも何でもないことを強行するというところが、まず、おかしな話です。

 それともう一つ思うのが、もうだいぶ日が経ってしまっていますがGPIFの巨大損失の問題、これが突っつかれない方がおかしいのに、ところがそれをまだ強行採決で「年金はだからもうダメなんだ」というような形でその運用を民間に一気に移し替えて巨額損失を発生させた。その失敗についての反省なり総括なりが無いままやったということが、ここら辺の事情の裏にあるのかなという感じがします。」


-GPIFについて突っ込めばボロが出る可能性が非常に高い。
なのであえて今の内にこれをやってしまえと、やった可能性が強いということですね。



田中優
「そのGPIFにはもともと公務員の年金が入っていなかったんだけれども、ところが公務員のものもそれに倣う形で運用先を同じ方式に変えましたね。
ですから国民全員が大損したわけですよ。その国民全体が大損したことを脇に置いといて、「その代わり年金を下げるからね」ということだけを強行したように見えます。」



-そうですね。鋭い視点だと思います。


▼「トランプ政権と日本について」


田中優
「ぼくはまだあんまり読めていないんですけど、ところが問題なのは日本の側にあって、日本は旧態依然の思考が残っていて特にひどいのが外務省です。

 外務省の人たち、外国に行ってそこの外務省の人と話をすると、「今度何とか商工会の人たちが来るからその準備で追われていて」みたいな話ばかりです。本来外務省の担当者って、その国の情報を調べて、いうならばスパイ活動並みに調べる人であるはずなのに、日本のことばかり見ている。しばらく勤めると天皇陛下の表彰か何かもらえるんでしょ? それをすごく楽しみにしていて、遠くの地にいながら日本を恋しがっている人たちばかりに見えます。

 その人たちが外務省の担当者で、結局外国から日本を見ているだけでその国のことを全く見ていない。十分な調査に基づいた情勢分析ができていないので、全く間違った方向に進めていく。だから海外としては「ジャパンパッシング」、要は日本を素通りしていく、そういうパターンにならざるを得ない構図になっているように思うんですよ、ずっと。

 そのおかげでこういう流れになって、日本側の主体性がないままにパッシングされていくだけ、というふうに見えますね。」










▼「再生可能エネルギーの未来」

-2012年に岡山に移住されて電力会社と線を切ってオフグリッド生活を始められているそうですが、具体的にはどうやって電力を賄っているんですか?


田中優
「太陽光発電パネルがあって、それと充電コントローラーを経てバッテリーに流し込んで、バッテリーの電気も太陽光の電気も直流なので家の家電製品って交流なので、そこにインバーターを挟んで使う、という形ですね。それをやっていくことがもうそんなに難しい時代じゃなくなりまして。

 実は一番問題になるのは発電量の問題じゃなくて、バッテリーに貯める電気の量なんです。電気消費量が少なければ3日分の電気を貯めるのも簡単です。でも消費量が多ければその3倍になっちゃうからものすごく大量のバッテリーが必要になる。」



-3日分で大丈夫なんですか?

田中優
「ぼくの家はだいたい4日分のバッテリー量がありますけど、それくらいあれば大丈夫です。

 ところが今年(2016年)9月に雨が10日間くらい続きまして、その時に今回電気が足りなくなりました。その時のために、屋台の後ろに置いてあるような発電機を持っていまして、それで復活させたんです。

 ところが運悪くぼくが出かけちゃっている時だったんです。奥さんから連絡があってどうしたらいいのって言うから、その発電機を出してきてつないでということで教えたんですよ。ところが『どうなった?』ってメールしたら、『重すぎて運べないので近所の温泉ホテルに今泊まっています』って(笑)」



-電化製品の数っておっしゃいましたけど、だいたい普通のご家庭でもある程度のもので田中さんちにないものってなんですか?

田中優 「ぼくの家にないものはたぶんないと思います。(笑)」



-炊飯器あります?

田中優
「もちろんあります。電子レンジもあるしエアコンも2台もあるし何でもありますよ。基本的なポリシーが、努力忍耐はしないなんですよ」


スタジオ 爆笑


田中優
「ぼくが努力忍耐して自給したら、他の人は「田中優さんだからできることだ」と言うじゃないですか、それは困るので誰でもできるレベルのことでやろうと思って」



ードライヤーもあるの?

田中優「はいありますよ」


-普通の生活ですよね?

田中優 「はい」



-それで初期投資を含めて採算はとれるんですか?

田中優
「採算は、まだバッテリーが安くなるまでは厳しいですね。
 ただ逆に今電気料金の方が原発事故の後処理でこれからむちゃくちゃ上がるんですよ。だからそのむちゃくちゃ上がってきた時には10年以下で元がとれるっていう状況にはなるでしょうね。」


-田中さんの家のだいたいの規模とご家族は何人くらいか教えて頂けますでしょうか?


田中優
「実は最近建て直したばかりなんですが、建坪で26坪くらい、家族は3人です」




-家族3人で今おっしゃったその電力でまかなえると?

田中優
「はい、まかなっています。
実は私の家はそれだけではなくて、NTT回線も切っちゃって全部無線LANを使っているようにしてます。あとは水道管も全部切っちゃいまして井戸に替えちゃいまして。ですからぼくの家はほとんど公共的なインフラがつながっていないんですよ。」


-井戸のポンプは電動で?

田中優「はいそれも太陽光発電パネルで作った電気で動かすんですね。」



-ガスはどうしているんですか?

田中優
「ガスはプロパンガスをつけています。
ただ太陽温水器をつけているので、だからガスの消費量は普通の世帯の3分の1なんですね。」




-なるほど、温水で温まるんですね?

田中優
「はい。ただ最近イスラエルの会社が「ホームバイオガス」という装置を作りまして、たった10万円でイスラエルで売っているんですよ。生ごみを放り込むだけでガスを作ってくれますよという装置なんですね。」



-それが実際に燃料として使えるということですか?

田中優
「そうです。何と一日6kwh分のガスを作り出すっていうもので、うちなんかにとってはもう十分なので、それが早く日本で発売されたら真っ先に買いたいと思っているんですが。」



-でもやっぱり田中さんというと、理系に強いという

田中優「いやぼく文系なんです(笑)」


-いやでもそういうのに強くないとインバーターとか難しいなぁと

田中優
「いやそんなことないですよ。
 「自エネ組」と団体があって、「自給エネルギーチーム」で自エネ組なんですが、そこは「エネルギーは自給するものだから、地域の人たちで自給するような仕組みを作りなさい」ということで装置を売ってアドバイスもしてくれるんだけど、あとは「地域の人たちが自分でやっていきなさい」と進めているんです」



-地域というのはどういう感じですか?

田中優
「例えば全国で東京で入れたいというと「自エネ組東京」というグループがあっ
て、うちの長男がやっているんですが、その長男が設置しに行ったりします。
その時電気工事士が必要になるんですが、実は工業高校で電気科を出た人はだい
たい持っている資格なんですよ。それくらいのレベルの技術なのでその人たちが
参加して一緒に設置するという形です。」




-ちなみに、うちは普通に電力会社からの電気を引いているんですね。
たとえば田中さんの真似をしたいと思ったとして、まず電力だけでもいいから電線を思い切り切って上に太陽光パネルを乗っけるとしたら、コストはだいたいどのくらいですか?


田中優
「それなんですけど、省エネのレベルによるんですね。
これが徹底的にされていれば100万円を切るくらいでできちゃうんだけど、ところがそこまでいかないレベルだと、250万円くらいですかね。

 まず投資をすべきなのは省エネ家電への買い替えです。
45万円くらいで足りちゃうんですが、家電を省エネ製品に替えると電気消費量が劇的に減るんです。家庭の最大消費である冷蔵庫は、マイナス97%も節電していますから。」


-ですよね。冷蔵庫を買い替えてビックリしたんですよ。
こんなに電力消費が違うんだと思って。


田中優「そうなんです。」



-田中さん、車は?

田中優
「最近車を新たに買いまして、それがクリーンディーゼル車なんです。
マツダが作ったディーゼルが無公害のディーゼルなんですよ。
それにバイオディーゼルと呼ばれる廃食用油から作ったディーゼル燃料入れちゃうと、完全にCO2に関してはゼロになります」





-えーっ!!

田中優「なおかつ値段の方も軽油ですから安いし、ぼくが実際に走ってみましたけど、リッター22キロ走ります。」


-すごいですね。

田中優「そういうような形に変えて、その後に電気自動車にしたいです。
今は電気自動車への過渡期なので、それをバイオディーゼルでつないでその後電気自動車かなと思っていますね。」



-マツダももうちょっと東京で上手く宣伝すればいいのになと思いますね。
今初めて聞きました。

田中優「本当に。すごいですよ、マツダの技術は。」



-実際にこうやって田中さんのお話を聞くと電力自給自足、あるいは本当の意味での省エネルギーというのが現実問題できる段階なんだなというのがよくわかるんですが、一方でこれは今日田中さんがいらっしゃったのでぜひ聞いてみたいことがあって、そうは言っても原発を推進したい方々は、電力会社を一生懸命再稼働を勧めて維持していきたいということをやっている。

 大っぴらに電力会社は原発を維持しますよっていうことをなかなか広告なんかで言えないんですけれども、その代わりに電力会社り業界団体である「電気事業連合会」が色んな広告をうっているんですね。





 これが昨年(2015年)の6月に読売新聞に掲載された広告なんですけれども、左側にいらっしゃるのが八木さんという関西電力の社長、右側が読売の論説員の橋本五郎さんが対談するような形の記事風広告なんですが「なぜ原子力が必要か」ということを言う上で、彼らがよく言うのが「日本全体の電力の自給率が下がっていると、原発が止まったことによって原発は純国産エネルギーと言っていたんだけれども、これが止まったがゆえに今は6%くらいの自給率でしかないんだ」と、だから原発を動かして自前の電力を作りましょうよ、これが一つ。


それからもう一つがCO2の問題。
「原発を止めるとことによってCO2が増えていますよ」と。それともう一つが原発を止めたことによって電力のコストが上がってきていると。実際に電力料金がどんどんどんどん高くなっているじゃないか。海外に原発を止めた分の火力燃料の天然ガスや石油を買いに行くと、今は下がっていますけど少し前はものすごく高かった。それによって火力の燃料費の輸入費というのがどんどん上がって電力コストが高くなっている。

 だいたいこの3つくらいを理由にしているんですね。


 なおかつじゃあ再生エネルギーというのはCO2削減にも自給率の向上にも一番良いエネルギーと言うんですけども、じゃあこれがなぜダメなのかという話になると、技術的な壁が高いと。

 太陽光だったらやっぱり天候に左右されるとか、あるいは導入するにはまだたくさんのコストがかかると、こういうことをこの広告では一生懸命おっしゃっている。
これが今の電力会社側の現状なんですね。

これに対して田中さんから今挙げてきたいくつかの問題点というかポイントに対してひとつひとつお願いします。


田中優
「はい、まずコストの話にすると今回新たに政府が出してきたのは、この間の原発のコストで取りそびれた部分が8.1兆円あって、事故処理を合計するとおそらく50兆とか80兆とかかかるんじゃないかということで、その費用を今頃後出しジャンケンで出してくるわけ。だから原子力は高いんですよ、明らかに。

 にも関わらずそれを6年後の今頃になって出してきて、「実はこれまでも本当は電気料金は高かったんだから」と言って国民の理解を得ようとしている。どの口で原発は安いんだと言えるんだ、という話ですね。

 そして「準国産エネルギー」なんて変な言い方していますけど、でもその準国産というのは日本の中で作ったウランなり、再処理したウランなりを使わなくちゃムリな話で、それが出来ていないんだから、「完全輸入エネルギー」だったわけです。」



-要するに核燃料サイクルが確立されるというのが前提で、「準国産エネルギー」だと言ってきたわけですよね。でもできていないということです。・・

田中優
「高速増殖炉もんじゅもついに廃止になるし、もう実現不可能な状況になっているにも関わらず、そのロジックをいまだに持ち出すということで、まぁ無茶な話と言えると思います。

 そして自給率で言うと、日本って自然エネルギーを含めて考えるとかなり条件が良いんです。だって世界で3番目に地熱が使えて、日本は領海がものすごく広いんです。国土の11倍あります。」


-世界で5番目か6番目くらいですよね?

田中優
「はい、しかも風車を並べるには海の上が最も効率が良くて、これは東京電力が調べたんですが、東京電力の管内の50kmの範囲だけに風車を並べたらどれだけ発電できるか?と。何と、東京電力の電気、全部自給できちゃうんですよ。」



-風力だけで!?

田中優
「はい。それが彼らのレポートで出ています。そういう意味では可能性があるものがいっぱいあって、しかも黒潮が流れているでしょ?黒潮っていう世界で一番強い潮流が、国土のすぐそばを流れているんですよね。しかも風車というのは空気の密度で発電するのでどうしても発電量が少ないんです。水は空気の800倍の密度があるので、はるかに発電量が大きくなります。」


-風力だと風が止まったり太陽光だって夜は使えないけども、海流というのは地球が自転して起きているんだから永久に止まりませんから。あれを使わない手はないですよね。


田中優
「年中無休ですよね。

 それとCO2の問題で言うと日本は言えない立場ですよ。11月4日にパリ協定がやっと成り立ったわけですけど、それが成り立たないだろう仕組みを日本は中に入れていたんです。「55カ国以上55%以上」という条件を。

 ところがアメリカと中国が手を組んで成立させてしまった。成立したら日本だけ乗り遅れていて、今頃参加しようとしているんです。本当にみっともない状況で。しかも世界で唯一、世界中に石炭火力を売って国内にも作ろうとしています。そんな国がCO2の話が言えるかという状態で、ものすごく話が違いますね。

 ぼく正直言って電力会社が今原発をやりたがっているというのはもちろんなんだけど、もう一つ彼ら気づいた点があると思います。

 自然エネルギーに変えるとなると、これまでの送電線が使えないということです。つまりこれまでの電気は「上から下」に流す大きな仕組みで作られているんです。今、電気は「下から上」には流せない上に、自然エネルギーで地域の中で電気を自給するという仕組みに変えると、送電線網がいらなくなってしまう。本来は地域化した「スマートグリッド化」しなくちゃいけないんです。

 そうした時に自然エネルギーを勧めている人にも問題があって、一つは自然エネルギーだと二つ問題点が出ます。それは周波数の中の短周期、短い周期の20分以下のところですごく上下するのでこれをなだらかにする必要がある。これにはバッテリーを入れてやれば解決する。その費用が高いものだから、そのまま巨大送電線網につなごうとする。電力会社が作った自然エネルギーではバッテリーが入っています。逆に言うと、電力会社はつけなければ周波数などの問題を解決できないと思っている。でもその費用を負担したくないから問題を放置している。

 もう一つは送電ロス問題ですね。それがあるので、彼らの送電線任せにした自然エネルギーになっている。」


(CM明け)
-自然エネルギーを入れるのに電力会社が渋っている2つのポイントを先ほど聞きました。

 ひとつは短期間に変動することをおさえるためにバッテリーを入れなければいけない。その設備投資にお金がかかるということ。

 もう一つが送電ロスですか、送電する上で電力がどんどん落ちていくというかこぼれてくると、それを補うためにやはり送電線に対しての設備投資をしなければいけない。

 しかし、設備投資をしたとしても、それが従来の自分たちの資産としてのインフラになるのではなくて、地域が独立的に電力をまかなえるようなものになっていくので、電力会社の身入りにはならなくなっていくと?


田中優「その可能性が高いですね。」



-この2つの問題を自然エネルギーを阻んでいる大きな壁だというご指摘でよろしいでしょうか?

田中優
「はい、それはしかも残念ながら市民側がよく理解していないということがすごく悩ましいポイントかと思うんですよね。実は先日計算してみたんですが、50万ボルトの高圧送電線と比較すると、今家でつけた太陽光発電からの電気をそのまま100ボルトの送電線につないでいいんですが、送電ロスが2億倍違いますよ。」



-2億倍!?

田中優「はい」


-50万ボルトで起こしたものが100ボルトになるために、どんどんどんどんその間にロスしていると


田中優「それもありますが、100ボルトの送電線を使ったときは、送電ロスは電圧に反比例するので、50万ボルトの送電線と比べると2億倍送電ロスします」

-2億倍送電ロス!?

田中優「はいですのでそれを考えの中に入れていくと、その従来のように遠くに運ぶという発想があり得なくなるんです」


-完全に地域の中で?

田中優「はい地域の中で回していくということです」






-エネルギーは優さんが昔から言っているエネルギーの地産地消をやれば大きな大規模送電線はNGだと、逆にそれが要らないということですね。電力会社が生存を図るのであれば、海流発電をすれば、あれに切り替えれば東電だって・・


田中優
「ところが困ったことに東京電力の収益の91%は、何と個人と小さな事業者から得ていて、ところが電気の消費のほとんどは大きなところが消費するんです。そこは収益にはならないんですよ。そうすると、例えば海洋発電で大きなすごい電気を生むとそれは大きなところにいっちゃう。小さなところは自宅で太陽光とバッテリーで簡単に自給ができるようになってしまうので、そうするとそれは二分割されるという方向になっていくと思います。」



-日本の電気料金は工業用も高くてね、だから日本では軽金属があまり発達しないんですよね。


田中優
「はい、1970年代に、発電所は実はピークの電気消費のために必要になるので、そのピークの比率に合わせて料金負担を決めました。それを反映させたのが80年代の電気事業改革だったんです。そうしたら事業者の値段がぽーんと跳ね上がって、電気を大量消費するアルミ産業などは海外に逃げちゃった、という流れですね。」










(書き起こしにあたっては、読みやすくするため必要最低限の編集を行っています。 
文章作成:田中優スタッフ)

2017年9月13日

10/7(土)天然住宅「森のようちえんで森を守る家のはなしをしよう」@もあな保育園

2017.9.28追記:【開催延期のお知らせ】
大変申し訳ありませんが、今回のセミナーは延期とさせていただきます。
また、日程が決まりましたらお知らせいたします。
何卒、よろしくお願いいたします。

--*--*-*--*--*--*--*--*--*--

10/7(土) 森のようちえんで森のはなしをしよう@もあな保育園 開催します!

天然住宅の木材を提供してくれているくりこまくんえんの大場さんにお越しいただきお話してもらいます!

栗駒ツアーに参加しないと聞けなかった大場さんのお話をぜひこの機会に聞いてみてください!!

田中優より「くりこまくんえんの大場さんと話します。
大場さんはもっと知られていい人です。ぜひお越しください。」





無垢の杉に触れたことはありますか?

もあな保育園は、内装のほとんどが無垢の杉です。そして、そのすべてが国産材です。
そこで子どもたちは、のびのびと気持ち良く過ごしています。
その裏には森を守っている人たちがいます。

山側で森を守っているのが、「くりこまくんえん」の大場さんです。
くりこまくんえんでは、有害な化学薬品処理などをしない、安心安全な木材を提供してくれています。
また、木を隅々まで使い、持続可能な森づくりをしています。
そこには多くの工夫と努力があります。

その木材を使って、家をつくり街側で森を守っているのが天然住宅です。
もあな保育園では、化学物質を含む建材を使用せず安全に配慮した空間づくりをしています。
だから、室内の空気はとてもさわやかです。


くりこま木材の大場さんからは森や木のお話を、
天然住宅の田中優からは、森を守る家、無垢材のもつチカラについて、
お話させていただきます。

森を感じられる空間で、
森と私たちの暮らしをつなげ、森を守れるお話をしましょう。


<<開催概要 >>

開催日程:2017 年10月7日(土)
時間:13:30 ~ 16:30(開場 13:00)

参加費:大人1人 1,000 円
※事前申し込みの上、当日受付でお支払下さい。
※中学生以下のお子様は無料です。


●プログラム●

1 安全な木材を提供して森を守るお話(大場隆博)
2 森を守れる家のお話(田中優)
3 質疑応答・トークセッション(大場隆博・田中優・関山隆一) 


●登壇者紹介●

株式会社くりこまくんえん 大場隆博 http://www.kurikomakunen.jp/
NPO法人日本の森バイオマスネットワーク副理事長 NPO法人しんりん理事長
森林の環境保全機能を十分に発揮させるために、持続可能な自伐林業を行いつつ、森林資源を有効活用する社会システムをつくり森林を育てる人材育成に取り組んでいる。


天然住宅共同代表 田中優 http://www.tanakayu.com/
1957年東京都生まれ。地域での脱原発やリサイクルの運動を出発点に、環境、経済、平和などの、さまざまなNGO活動に関わる。
現在「未来バンク事業組合」 理事長、「日本国際ボランティアセンター」「足温ネット」理事、「ap bank」監事、現在、恵泉女学園大学、横浜市立大学大学講師。

NPO法人 もあなキッズ自然楽校 関山 隆一 http://moanakids.org/
アウトドアメーカー“パタゴニア”での勤務を経て、1998年からニュージーランドの国立公園でガイドを経験。
その過程で、日本の子どもたちが自然とふれあえる場所や、自由に遊べる環境がどんどんなくなっていくことに危機感をおぼえ、2007年に「もあなキッズ自然楽校」を設立。


■お申し込み■


■お問合せ先■ 
天然住宅(担当:田中・井上)メール info@tennen.org  電話 03-5726-4226
※ なるべくメールにてお問い合わせ下さい。