2019年10月7日

天然住宅の耐火性

天然住宅の設計士たちが自分で発信を始めました。
今回は「耐火性」についてです。

とてもいいことだし、建てる側だって知りたいですよね。

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天然住宅 小野寺ブログより

『天然住宅の耐火性』

木造は燃えやすく、火災被害のリスクが高いと思われがちです。


法令で定められていることや木の特徴に加えて、天然住宅ならではの考え方もご紹介します。

■外部で起こる火災

家の外で起こる火災に対しては、屋根・外壁・窓などを燃えにくい構造にしなければなりません。

建物の敷地が防火規制区域(準防火地域など)に定められているか、建物が隣地や道路からどのくらい離れているか(延焼ライン)により、仕様が変わります。

天然住宅の外壁は、ガルバリウム鋼板や塗り壁を使用しています。
下地を燃えにくい材料にすることで、外壁に木を使用できる場合もあります。

 
■内部で起こる火災
 

家の中で起こる火災については、火気使用室(キッチンなど)の内装に制限があります。


天井と壁は準不燃材料や不燃材料とする必要があり、天然住宅では漆喰・タイル・ホーロー(いずれも不燃材料)などを使用しています。


■木は燃えやすい?


火気使用室以外の部屋については、法的規制を受けないことがほとんどです。
とはいえ、やっぱり木をたくさん使用していると、火災時のリスクが高いと思われがちです。


まず、火災は本や家具などの可燃物が燃えることで起こる場合がほとんどです。
発生するリスクという意味では、木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造にあまり差がないとも言えます。
構造体が燃え始めるわけではありません。


では、燃え始まってからはどうか?
 

木は可燃物ですが、燃え抜けるまでに時間がかかるという特性があります。


熱伝導率が低く、内部に水分も含んでいるため、なかなか燃え始める温度(250℃くらい)にまで達しません。
(熱伝導率が低いほど熱が伝わりにくい)


また、表面が燃え始めても、すぐに炭化層を形成します。
炭化することで、まだ燃えていない部分への熱の侵入を低減し、酸素の供給を阻止します。


杉の炭化速度(燃え進む速度)は「0.6mm〜1.0mm/分」と言われています。
 
天然住宅でよく使用している30mm厚のフローリングが燃え抜けるのにかかる時間は、30分ということになります。


30分の間に逃げることができ、消防車が到着できると考えることもできます。(消防車が到着する平均時間は10分以内)
 

燃えないことも大切ですが、燃え抜けないようにするという考え方も大切です。



■天然住宅ならではのこと

天然住宅の家は有害な化学物質を使用しておりませんので、火災時に有害ガスが発生するリスクが低いと言えます。


ビニールクロスに含まれる塩化ビニル、塗装や断熱材として使用されるウレタン、その他薬剤等を使用している建材からも、有害なガスが発生する可能性があります。


燃え方やガスの濃度によってもリスクは変わりますが、なるべく使用しないという選択は持つべきなのだと考えています。



▲焼杉を製作している様子。
バーナーを当てている付近は一時的に火が着くが、
写真上の方は火が消え、炭化層を形成しているのが分かる。



▲焼杉板の炭化層