天然住宅コラムでは今回3回に渡りベニヤ板について書きました。
前回(第123回 天然住宅はベニヤ板(合板)を使用しない)に引き続き「私たちが合板を使わない理由」の続編です。
なぜベニヤ板とは接着剤で貼り合わせたもの。
ではその接着剤の寿命は?
そして水害での被害状況に、天然木と合板との大きな違いがはっきりと出てしまいました。
ぜひご一読ください。
田中優 天然住宅コラム第124回
『 天然住宅はベニヤ板(合板)を使用しない2 』
▼ベニヤ板を使わない2
しかしベニヤ板の問題はそれだけではなかった。
やがて熱帯材が使いにくい事態になると、すでに述べたようにスギやシベリヤ材などの針葉樹合板に替えられていったのだ。しかし木材を接着剤で貼り合わせるのだから、その接着剤の効果が落ちるまでしか効果がない。寿命が家には不向きな短さなのだ。
あなたが家の寿命に何年ぐらい期待するかによるが、ベニヤの接着効果が半分以下に減るまでの期間は実に短いのだ。ラワンと呼ばれる「熱帯材」で15年程度、なんとラジアダパイン材(ニュージーランドの松材)では3年しかないのだ。あなたがその寿命でいいとしても、持続的に利用できない素材のせいで持続できない社会になるのだ。
スギは育つのが早くて50年だとしても、持続可能な社会のためには使える年数は最低でも50年は必要になる。ところがあなたの家は、ベニヤ板のせいで3~15年で壊れてしまうのだ。
図:合板の接着剤の寿命
https://tennen.org/yu_column/beniya-3.html
▼再生不能の木材
さらに去年(2018)の集中豪雨で水中に没してしまった家が問題になった。
それの修繕が人手不足のために進まないと問題視されているが、ベニヤ板を多用した家では修繕が効かないという問題もあるのだ。
水に漬かった建物では、ベニヤ板、集成材、MDFのような人工的な木材は水を吸って膨れ上がってしまって元に戻らない。
天然の木材なら洗えば使えるし寸法が狂ったとしても削って直せば使えるが、膨れ上がった人工的な木材ではどうにもならないのだ。
木だと思い込んでいても、集成材にプラスチックを貼っただけのものも多い。
そんな偽物の木に囲まれた建物では、全部解体して再度建て直す以外に方法がないのだ。
だから水没地の復興は簡単ではなく、再度古い家を取り壊して建て直すだけの手間と時間と費用が掛かってしまうのだ。
写真:雨の吹込みで濡れてしまった後の下駄箱のツキ板
写真:乾いた後、元に戻らなくなってしまいました
▼「ベニヤ板を使わずに建てていますか」という質問
私たちはそんな中で本物の家づくりをしようとするネットワークに参加している。
全国にわずか数社だけのネットワークだ。
できれば広げたいと思うのだが、ほとんど広がっていかない。その理由の中で一番多いのが「ベニヤ板を使わずに建てていますか」という質問のあることだ。多くの工務店がクリアできない。安く建てるためにベニヤを使うのだ。
さらによくある話で「F★★★★(エフフォースター)だから安全だ」という。「F★★★★(エフフォースター)」はホルムアルデヒドの放出量が少ないということで、「ない」ということではない。
こちらから見ると「ある」ことの証明に思える。
参照:「エフフォースター」って?
https://tennen.org/kodawari/sinrinyoku/anzen
今の家を建てる前の古民家ですら、ぶかぶかする床の畳を剥がすと下のベニヤ板が折れていた。修理のため同じサイズのベニヤ板を買ってきて貼りながら、「こうやって使うのか」と思った。その家は少し家を空けていると押し入れにカビが出た。ベニヤ板は湿気を吸い込まないのだ。
今のスギの無垢板の家では全くカビがでない。
このベニヤ板を使うかどうかが本物の家との一番の違いだと思う。
ビッグモリーズという岡山県和気町家具屋さんによる、各木材の水没実験の動画もご参考ください
↓
【閲覧注意】人体への影響は!? MDFから出てきたものは。。。
【家具屋が検証!!】家具の材質水没実験/ビッグモリーズ家具の裏側
https://youtu.be/qn5dgadym9c
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