8bitnews
での番組「ペイフォワード環境情報室」にてインタビューをして
頂きました。
▼インタビュー音声はこちら
【ペイフォワード環境情報教室】
「原発とエネルギー需給のうそ。
電力会社から電気を買わない、電力自給生活の実践。」
http://8bitnews.asia/wp/?p=13147#.UZ85nLX0GmB (収録日2013.5.15)
▼youtubeはこちら
http://youtu.be/aX5iyFumKmo
※「8bitnews」とは
元NHKアナウンサーの堀潤さんが立ち上げた市民発信メディア。
その一番組として今回のペイフォワード環境情報室があります。
HP http://8bitnews.asia/wp/
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-そもそも、原発がなくても電気は足りているんでしょうか?
これは実際問題として足りているんですが、問題なのは「電力消費の最大ピーク
の時」なんです。
その電力消費の最大ピークというのが、イメージ的には家庭のせいでしかも夏場
になると毎日最大消費が出る、みたいに勘違いしがちなんですが、実際ピークが出
るのが「夏場・平日・午後1時~3時・最高気温を記録するとき」と、極めて限ら
れた時で、その時というのは実は2010年の東京電力のデータで見ると1年間に5時
間しかなかったんです。
1年間は8,760時間あるんですがその中でわずか5時間しかないので、これを
「電気が足りない」ともし言ったとすると、それは年間の中の1000に1つ以下
ですね、それっぽっちの話をもってきて電気が足りないと言っているのに等しい。
そうだとしたら、解決策はむしろ逆で「その(ピーク時の)5時間だけ電気消費
を減らさせてしまう仕組みを作っていく」、そっちの方がずっと大事だと思います。
-具体的にはどんな仕組みがあるんでしょうか?
ひとつは、昨年実際に北九州市の八幡東区で新日鉄が電気を供給しているエリア
があって、そこで現実にされたんですが「ピークの最大消費の時だけ電気料金を高
くした」んですよ。
そこは九州電力の電気ではなく新日鉄が電気を供給しているんですが、何と普段
の電気は16円なのですが、最大消費の時は160円まで値上げしたんですね。
その結果最大消費は「16%ダウン」しました。そうすると、よく「原発を動か
さなくてはいけないのは3%の余力が必要だからと言われる」んですが、そんなこ
とはなくて、電気料金の仕組みを少しいじりさえすれば16%ダウンするわけです
から、その最大消費のピークは簡単に減らすことができるので、それを対応策とし
てすべきだと思います。
こういうのを「DR(デマンドレスポンス)」と呼んでいるんですが、昨年は実
はこのデマンドレスポンスは政府も有効だと認めていたのですが、政権が変わって
しまったのでゼロベースで見直し、要はなかったことにするという状況になってい
るので今怪しくなってしまっていいます。
-独占企業である東京電力は、ただ電気料金をあげるという単純な設定を出してき
ていますが、料金設定を変えるなどすればいいんですね?
そうなんです。これは実は日本以外のアメリカやヨーロッパでは盛んにやられて
いる方法で、こいういうのを「デマンドサイドマネージメント」とも呼ぶんですが、
世界ではけっこう当り前にやられている仕組みで、例えば(日本では)使えば使う
ほど高くなるように家庭の電気料金はできているのですが、事業者はその逆で、消
費を増やすと値段が下がるんですよ。
それはおかしな仕組みなので、家庭と同じように使えば使うほど高くなる料金の
仕組みを入れるとか、ピークの最大消費だけは電気料金を高くするとかそうすれば
解決できることだと思います。
-それなのに相も変わらずマスメディアは節電が必要だと言いますが、私たち消費
者もしっかりと見なければいけませんね。
本当にそうで、日本のメディアは何だか電力会社と政府の広報担当みたいですね(笑)
-優さんは今具体的に行動を起こされていると聞きましたがどんなことを?
ぼくは自然エネルギーの買取が始まって急激に今太陽光発電を導入するところが
増えているんですが、それにちょっと困ったなと思っている部分があるんです。
何かと言うと、あまりにも買取価格が高いのでその結果、「投機」に使われいる
んですよ。実は北海道でアラブの大金持ちが太陽光発電のメガソーラーを作まして、
それを50kwずつに分譲するんです。50kwずつに分譲すると、北海道電力は買わ
ないということができなくなるんです。
それによって高い値段で売れる「金融商品」としてそれを小口に分けて人に販売
するということをやっているんですが、この電気って実はほぼ電信柱1本を次の1
本にいくところで1%ほど電気をロスするんですね。そうすると50mに1本電信柱
があったとして、5,000mあったら100%消えちゃうんですよ。
あの北海道の広大な土地の中で太陽光発電を大きく入れてそこから送電線をつな
いでいったとしても、実際には使えていないという可能性があるんです。
そういうことを考えると、やっぱりおカネのために売っていくよりは、自給に使う
ということが大事だと思いまして、ぼくの家ではバッテリーと電気をコントロールす
るパーソナルエナジーという装置を、経済的にはマイナスですがそれを導入して今は
もう電気は80日間電力会社からの電気を全く使っていません。自宅の太陽光の発電だ
けで完全に自給ができています。
ですから今やついに、「人々が自分の家の中だけで電気の自給が可能な時代」に
入っていたんです。
それはぼくは大きな可能性ではないかなと思っています。
-ソーラーで発電してバッテリーで充電して、一式おいくら位でしょうか?
太陽光発電込みで500万円+税くらいの感じです。ちょっとやや高いなと感じると
ころですが、でもぼくにとってみるとそれで電力会社との縁が切れるんだったらそ
の方が良いなと思いまして。
-以前鎌仲ひとみ監督とお話した際に、東京の借家のため太陽光パネルを乗せられ
ないということで、長野の別の方にソーラー発電を乗っけて頂いてその方に代わり
に発電してもらっていると・・
「あいのりくん」ですよね。
-はい、そういう形もできると聞いていまして、色んな形でそういう可能性があり
ますね。
そうですね、あともう一つの可能性があるのは実はマンションで窓の部分てよく
日が差す、その窓の部分に太陽光発電を入れるということも可能なんですよ。
透き通ったまんまで発電もするんです。それをぼくの家で入れている装置の場合
には発電した電気をそのまんま全部吸収して入れることができるので、例えば発電
効率が低いとしても、もし2kw発電するのがやっとだとしてもその2kw、5時
間で10kwですね。
ぼくの家ではその電気が2.8kwの太陽光発電なのですがむしろ晴れが多いの
で電気が余ってしまって困っているほどなんですよ。(笑)
ですからまだまだ可能性はどんどん広がってきているので、むしろ「人々がどっち
に進むという意志を持つか」によって事態は変わると思います。
-この500万ほどの発電システムを使いながら、優さんの家はどのくらい節電された
暮らしをされているのでしょうか?
まるっきり普通の暮らしです。
それが、翌日から3日間雨が続くと電気が足らなくなっちゃうので、その時には
ハラハラして節電しなくてはとなるんですが、翌日が晴れだとだいたい電気が余っ
ちゃうんですよ。だから昼間は逆にあり余っちゃった電気を何に使おうかと悩む状
態なんです。(笑)
今日も天気が良かったので電気が余っちゃってまして、この電気をどう使ったら
いいだろう?と、その電気を消費するために逆に電化製品が増えちゃいました。
次には電気自動車を入れて、その車で走るガソリン代についても全部電気に切り
替えていっちゃいたいなぁと思ってます。
-今の技術で基本的には普及が足らないということで金額も廉価版までいかないに
しても、十分オフグリッド生活ができるんですね。
そんな難しくなくて、例えば「1万人が買う、1万台売れる」ってなったら値段
は落ちますから、要は「みんながそこに進む気があることを表明するかどうか」、
そこは大きいんじゃないかと思うんですね。
-優さんの周りでも、完璧にオフグリッド生活までされている方はいらっしゃいま
すか?
(おそらく)ぼくの家が史上初というか日本では初めてやったものですから、小さ
くオフグリッドしている方はもちろんこれまでもいらっしゃったんですが、今までの
暮らしを全然省エネせずにやったのはおそらく初めてだと思いますが。
-1日に何kw必要であればオフグリッドできる、という目安はありますか?
まずそういう暮らしに入りたいと考える人がいたとしたら、まずやって欲しいの
は「自宅の電気の消費を見直し」て欲しいんですね。
「何か無駄な電気消費をしていないか?」と見直してもらうと、1日うちの場合
だとだいたい3kw位しか電気を消費していなかったので、1か月で約100kw
以下だったんです。
それくらいだったら結構簡単にオフグリッドはできちゃいますね。
-それは一般的な家庭がそれ位の目安なんでしょうか?
うちは特別努力・忍耐はしていませんし、家電製品に至っては普通の家より多い
と思います。全然問題なく。
ただ省エネ製品を選ぶということだけは気を付けています。
-これから普及が多くなれば廉価版になれば本当に普及が広がってきますね。
そうなんですよ。それがこれまでの送電線の仕組みって、「上から下に配る仕組
み」になっていたんだけど、今後の電気の仕組みって「横にネットワークする形」
に変わると思うんですね。
そうすると発送電の分離をして自由化して今の送電線を市民が受け取るってして
も、あんまり意味がないんですよ。むしろ必要になるのは、今後「地域で電気を
ネットワークしていく」ことの方が重要になっていくだろうと思います。つまり
我々の発想を技術がその先までいってしまったということではないかなと思ってい
ます。
-ドイツのシェーナウという小さな村で地域で電力会社を作ったものがありますが、
個別の家から始まるオフグリッド生活はひとつの流れとしてありそうですね。
これはスマートグリッドの最先端にたぶんなるんですね。「こんな技術がすでに
ある」ということをみんな本当に知って欲しいんですよ。その選択肢を見たうえで
「どっちを選びますか?」という判断にしてもらえば、そんなに難しい話じゃなく
なるかと思います。
ーこれは優さんのHPなどで参照情報がありますか?
はい、いくつかあると思いますが、このあとブックレットを合同出版から「未来
の当り前」というタイトルで出す予定でいます。
-その際はまたこちらでもフェイスブックなどで紹介させて頂きます。ぜひ広まると
いいですね。今日はありがとうございました。
どうもお世話様でした。
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※書き起こしにあたっては、読みやすくするために必要最低限の編集を行っています。
文章作成:田中優スタッフ
【過去のインタビュー】
今回は最終回の3回目でした。
1回目と2回目はこちらです。ぜひこちらもお聴きください。
■「チェルノブイリからはじまった脱原発活動と、311を経た日本のこれから」
http://8bitnews.asia/wp/?p=10677#.UXX4ObUqymA (収録日2013.4.9)
☆文字起こし
http://tanakayu.blogspot.jp/2013/04/bitnews.html
■「長年放射能と闘ってきた優さんが考える、311後の生き方」
http://8bitnews.asia/wp/?p=11256#.UYhajLUqymC (収録日2013.4.20)
☆文字起こし
http://archive.mag2.com/0000251633/20130509133846000.html