2010年9月12日

8月19日神戸講演会レポート 

いつもお世話になっている岡林 信一さんよりおしらせいただきました!
ありがとうございました。

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8月19日で神戸で開催された、
「田中優さん講演会 くらしの根っこにある〝核〟」
http://civil-society-forum.com/?p=239
のレポートを2本いただきましたので、ご紹介します。

 まずは、神戸YWCA平和活動部の寺沢京子さんの寄稿です。
http://civilesociety.jugem.jp/?eid=5124

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田中優さん講演会 


 8月の市民学習会は、田中優さんに講演していただいた。 現状の様々な問題を批判する人は多いが、代替案を示してくれる方は少ない。田中さんはまさに後者で、エネルギー問題について「仕組みを変えればよいのだ」と、希望のもてる話をして下さった。

 まず、石油の需要は増え続けているのに、石油の生産量は減り始める〈ピークオイル〉問題。私たちは、石油依存から脱却していくべきだが、例えば今の車は発熱したエネルギーの12%しか、移動エネルギーに用いられない。今こそ効率の良い電気自動車に替えるべきで、日本には既に、慶應義塾大学の先生が開発した世界最強の電気自動車〈エリーカ〉もある。
 次に、電気の送電網について。アメリカでは〈スマートグリッド〉という壮大な実験が進行中である。家庭に太陽光発電などの自然エネルギーを設置して、発電所と家庭の双方向でエネルギー情報をやり取りする仕組みだ。そのための重要な装置、バッテリーは、日本企業の製品が優れている。
 発電方法について。千葉県銚子沖に風力発電を設置した場合、国の3分の1の電気が賄えるという研究がある。日本の地形に向いている小規模水力発電もある。「原子力が温暖化に役立つ」という〈神話〉に惑わされてはいけないのだ。また、地域内で発電した電気を地域内で供給する方が、温暖化防止にも経済の活性化にもつながる。

 田中さんの提案はどれも説得力がある。(詳しくは著書を読んでほしい)今回の話をうかがい、一部の大企業の思惑に振り回されない確かな眼識が、私たち市民には求められているのだと実感した。         (寺沢京子)

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続いて、日本科学者会議兵庫支部の廣森勝久さんのレポートです。
http://civilesociety.jugem.jp/?eid=5125 
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市民学習会 ひらく


 8月19日、「非核の政府を求める兵庫の会」の市民学習会(科学者会議兵庫支部など協賛)が神戸市勤労会館で開かれ、「くらしの根っこにある<核>」と題する田中優氏(「未来バンク事業組合」理事長)の講演があった。概容を以下に紹介させていただく。


(講演要旨)
 電力会社は「原子力はエコ」と宣伝しているが、例えば、ドイツの放射線防護庁の発表では、1980年から2003年までの子どものガンの発生率は原発周辺5km以内で有意に高い。放射線の被害は無視できず、原子力発電はやめるべきである。

 エネルギー問題として石油を考えると「ピーク・オイル問題」がある。1980年代以後、大きな油田は見つからないのに石油の消費量が増大して、2010年頃から供給不足になるというのである。石油、天然ガス、鉱物資源の争奪が戦争を招いていることからも、石油依存を脱却して自然エネルギーへシフトすることが必要であろう。 温暖化対策に関し、二酸化炭素の排出量を見ると、家庭からの排出は20%程度であり、発電所(84、30%)、大口工場(69、19%)の約150事業所が半ばを占めている。とくに、発電所のCO2を削減することが重要になる。
 電気は貯められないが、需要のピークは1年間8760時間の内の10時間に過ぎず、しかもその90%は産業需要である。家庭用の電気料金は使うほど単価が高くなるが、産業用は逆に使うほど安くなる。このような仕組みを変えて需要のピークをなくせば、発電所の25%は必要がなくなる(原発は22.3%)。電気事業法を改正して、家庭が電気を自給できるようにすることも必要だ。
 自然エネルギーとしては、海上に浮かぶ風力発電、アイスランドの地熱発電、小規模水力発電、波力発電、ゆっくり回るマグナス風車など、いろいろなものが開発されつつある。

 家庭での省エネについては、エアコン、冷蔵庫、照明器具(LEDなど)が注目され、電気自動車も望ましい。 日本は米国債を買ってイラク戦争を支えた。我々は無力ではなく微力であるが、それを有効に使って社会のあり方を変革してゆくことが大切と思う。
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 質疑では、田中氏が関わる「天然住宅」、LED、風力発電、太陽光発電などが話題になり、「エネルギー自給をキーワードに地域の自治を」との意見も出された。核問題というより電力問題が中心の学習会であったが、興味深いものであった。
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