2017年11月8日

『 ネオニコチノイド農薬ふたたび 』

■ネオニコチノイド農薬

 ぼくは「ネオニコチノイド系農薬」の農薬を使うことに反対している。ネオニコチノイド農薬とは「新しい(ネオ)」「ニコチン系の物質」と結びつけたもので、殺虫性能が高いがヒトには影響が少ないとして、神経毒性が問題とされた「有機リン系農薬」に代わる形で1990年頃から急速に使われ始めた殺虫剤農薬だ。ところが残念ながらヒトに影響しないというのは誤りだったようで、ヒトの脳やリンパ腺への悪影響が認められ始めた。

 これは神経伝達系である「ニコチン性アセチルコリン受容体」に作用し、シナプスをオンのままにしてしまうことで虫を狂わせて殺していた。それが高度に社会的な暮らし方をするミツバチには悪影響があるとして、使用の注意書きにも書かれているのだが、それが世界中のミツバチの暮らしに影響して、飛んだら最後、巣に帰ることができなくさせてミツバチの巣の崩壊症候群(CCD)を起こさせていた。


■子供たちへの影響

 ところがその害は人体にも同じ「ニコチン性アセチルコリン受容体」があるために作用した。岩波新書で「脳を守ろう」などの著書がある黒田洋一郎氏の調査によると、図のように人間にも作用する可能性がある。


ネオニコチノイドによる脳発達障害のメカニズム
黒田洋一郎講演「自閉症・ADHDなど発達障害の原因と有機リン系、ネオニコチノイド系など農薬の危険性」


 その実際の被害をレポートした報告もある。

 長野県千曲市の小学校で起こっている事態が「松本の松枯れを考える住民の会」のFacebookページに紹介されている。

 数値で述べると27人の小学校の学年の中で、1人は長期入退院、1 0人が授業中に外へ出てしまったりするADHD(注意欠如・多動性障害)状態、7人は教室にはいられるものの勉強が追いつかない状態で、通常通り授業を受けられる子が八人しかいないという手記の内容だった。

 学校には補助教員もいるが間に合わず、校長・教頭もマンツーマンでケアに駆り出されていた。8人の通常通りの授業が受けられる子たちが、授業に追いつけない7人の面倒を見ながら授業を受けている状態だというのだ。

 この話はぼく自身が聞いた同じ長野県内の小学校の状態とそっくりだった。



■ネオニコチノイドの規制

 ネオニコチノイド系農薬はヨーロッパ、アメリカで禁止されつつあるのに対し、日本では規制緩和が続いている。この農薬が家の木材の防カビ剤としても、防虫シロアリ防除用にも使われているし、家具はもちろんペットのノミ取りやコバエ取り、殺虫剤に使われている。

 『ミツバチが疾走している時代は良かった』と言わなければならない時代が来るかもしれない。放置され続ける日本では、子どもが壊されつつあるように思えるからだ。


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☆--★ コラムは第88回まで更新中!☆---★   
田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」のHPでは、田中優のコラム「住まいと森のコラム」を配信中です。

「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。



田中優の「住まいと森のコラム」 


■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを 
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす
第64回 虫対策、その後
第65回 おカネに依存しない暮らし、自営
第66回 おカネに依存しない仮想通貨
第67回 天然住宅はホコリが少ない?
第68回 住宅教育が必要だ
第69回 住宅費用のイニシャル、ランニング
第70回 無煙炭化器
第71回 偉いぞ、炊飯器
第72回 中国のシックハウス問題
第73回 のらぼう菜
第74回 孤独になる?自給生活
第75回 「自給住宅」と食べ物
第76回 ガーデンパーティー
第77回 「自給の家」の「たべるにわ」
第78回 「居ていい場所」というコミュニティー
第79回 我が家の庭でBBQ
第80回 自給の家と「たべるにわ」
第81回 連休は出かけちゃダメ?
第82回 ネオニコチノイド農薬ふたたび
第83回 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ
第84回 ネオニコチノイドが水を汚染する
第85回 不吉な虫、その名も「死番虫」
第86回 湿気のない腐らない家
第87回 阪神淡路大震災のあった土地は危険?
第88回 病気の話


★☆★ 天然住宅 ホームページはこちら★☆★
http://tennen.org/ 

・施工例 http://tennen.org/gallery
・お客様の声 http://tennen.org/voice
・こだわり ~高断熱適気密・お家で森林浴・工法~ http://tennen.org/kodawari
・プラン集 http://tennen.org/plan
・見学会のお知らせ http://tennen.org/event
・住宅コーディネートって何? http://tennen.org/coordinate
・資料請求 http://tennen.org/request


他にもたくさんのこだわりがあります。
ぜひHPでチェックしてみて下さい。

「天然住宅short movie 森を守る編」書きおこし

(Facebookでの)再生回数が1万5千回!

「天然住宅short movie 森を守る編」
(再生時間6分14秒)のインタビュー書き起こしをしました!

田中優よりこの映像について

「天然住宅の森に関する部分の映像です。 今回のものは鎌仲監督の事務所(ぶんぶんフィルムズさん)で作ってもらったけど、クォリティーが違うなぁ。 良い映像です。ぜひご覧ください。」





大場さん
「家を建てる人たちって、最初から木のことを知ってですね、家のこともわかって来るとは思わないんですね。


だから僕らはやっぱりプロとして、僕らの木材を使って住みたいというお客さんにも木のこと山のことを知ってほしいですし、ぜひ自分の家の木がどういうところに生えていたのかっていうのを知ってもらうだけで、100年続く“住み継ぐ家”、次の孫の世代まで住み継いでもらえるような家づくりができるんじゃないかと思っています。

 木の家に住みたいというお客さんには、本当の木を届けたいんですよ。


接着剤をボンボン使った合板とかじゃなくて、本当の植物としての木の家を提供できればなと思っています。」

 


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田中優
「日本の場合には森に手入れが必要で間伐する必要があるんですね。ところが従来の間伐方法だと、倒れてくる木が危なくってそのせいで素人ができなかったんです。
 それを皮むき間伐というかたちで皮をむいてしまうことで葉っぱに栄養を与えなくして、立ち枯れ状態にしてしまうという方法を知って、じゃあその皮むき間伐をやってみようかとここの森を使わせてもらって皮むき間伐を始めたわけです。」




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大場さん
「牛の場合はですね、下草刈りしてここの場合二度刈りというぐらい草が生えてくるんですね。一回下草刈りをしてそこに牛、馬を放すと二度刈りが要らないんですね。そこまでキレイに食べてくれますね。」





 

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田中優
「山の中に重たい車を入れない、高性能林業機械を山の中に入れさせなければ、林道が細くて済むんですよ。林道が細いと山が壊れないんですね。


 じゃあ細かいところに入っていくのどうするか?そう考えたときに、馬に運んでもらうという技術がもともと日本にあって、馬搬(ばはん)と言うんですけど、その馬搬を入れていったら上手くいくんじゃないのということで馬を入れたわけですね。


 それらのものが入ってくることで共生した林業ができる、ハイブリッド林業とも呼んでいるけれども、動物たちと共生しながら森を守っていくことが可能なんだと見えてきたんです。」

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ー日本の3分の2は森林  でも自給率はわずか30%弱
 天然住宅は100%国産無垢材を使用ー






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大場さん
「要はやっぱり森を守りたいというのがあるんですね。


 やっぱり皆伐するっていう方向は森を無くすっていうことだと思うんですよね。またゼロから森を作ろうっていう。
 そうじゃなくて森はやっぱり守っていく、森をずっと100年も200年も森のままでいさせるっていうことを今僕らは目標にしています。


 ほとんどは建築材としてまず使います。建築材にならない部分はチップ材になるか、林地残材については薪ですね。ボイラー用の薪、あとは家庭用のストーブの薪になります。工場から出たおがくずとかプレナーくずとかはペレットとして利用しています。ほぼここの場合だと100%近くが伐採した木は何らかのかたちで利用されています。


 昔は素材業者から材木を買ってそれを製材して大量に同じものを製材して、東京の市場とか商社さんに出してたんですけど、今は工務店さんと直接のお付き合いなので、一棟一棟、家一棟まるごとの材料を全部準備してお客様のためだけにそろえるというやりかたに変わったんです。


 山は今僕らが切る木もどこに使われるか分かって切っていますし、これは家具になるよとかこれは天然住宅さんに行くよとか天然住宅さんの場合はお客さんをどんどんどんどんここに送ってくれるんで、一緒に木を切って家の話をして僕らのことを知ってもらってというかたちに、そういうやり方に変わった、前までは顔の見えないお仕事をしていたけど、今は顔の見える仕事に変わりました。」(文責 田中優スタッフ)






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ー顔の見える安心の家づくりー
-森と家族を守るー


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ぜひ動画でもご覧ください↓
https://youtu.be/UTwg-Lq5RUY



 
「動画「天然住宅short movie 森を守る編」ができました!」
http://tanakayu.blogspot.jp/2017/02/short-movie.html



▼天然住宅
 http://tennen.org/



▼鎌仲ひとみ監督の事務所(ぶんぶんフィルムズ)
 http://kamanaka.com/

2017年11月2日

『 人口減少に抗する社会を 』




日本がなくなる?


 人々の心がざわついている気がする。歴史上何度も「末法思想」が唱えられ、今の世代が最後の世代とばかりに世間はざわついた。その新しいバージョンが、今回の「国立社会保障・人口問題研究所」の発表した「日本の将来推計人口」ではないか。人口が減少していくのは確かだが、この推計は2065年までの推計だが、そのままのトレンドが続くとすれば、西暦3000年には日本の人口が2000人になってしまうのだ。 


人口予想2017


 これを受けて地方はインフラを維持するのが困難になり、人々は地方都市に移り、やがては都市部だけに人が集まるようになると予測する人もいる。もしこれが事実になるとしたら末法だ。もし日本の地方に住んでいたら、イノシシに会うより人間に出会う方が難しくなる。購買力を失った人々は自給せざるを得ず、生産力ももちろん失う。人間は日本の片隅にまとまって住まざるを得なくなる。特に地方は絶望的だ。そこに住み続けることもできなくなり、この日本の文化も失われてしまう。


 この予測は誤っていると思う。それは人口曲線などを、ただ今のトレンドに従って直線的に伸ばしただけのもので、諸条件の変化を無視していると思うからだ。もちろん統計そのものにもエクスキューズは書かれている。いわく「ただし将来推計人口とは、決して確定した運命を示したものではない。それはこの社会がこれまで進んで来た方向に進み続けたときに帰結される人口の姿であり、将来推計人口とは真に実現したい社会と現状との距離を測るための測距儀にあたる。どちらの方向に進むかはわれわれに託されているのである」と。


 これを将来予測のために参考にしてほしいというが、参考にしたら「末法思想」になってしまうのだ。参考にするとしたら「今のままではいけない」という方向に参考にすべきではないか。国の政策が以下に誤っていて、そのままにしたらどんな未来が来てしまうのかと読むべきではないか。

 これを今進展しつつある事態から考えてみよう。




別な未来を考える

 かつての電話料金を思い起こしてほしい。かつてぼく自身の姉が沖縄に住んでいて、そこに電話することが多かった。電話料が安い深夜に電話していたが、一回の長電話で一万円以上かかっていた。もう忘れてしまったが、これが少し前までの現実だった。電話代が高すぎて、電話するのを月一回にしていた。しかしもし今なら、スカイプを使った電話にしたりメールにしたり、携帯の使い放題契約にしていただろう。気づかぬうちに大きく変わっているのだ。同様に宅配も発達した。今なら重くない負担で送ることもできる。


 そして大きく変わったのはもう一つ、インターネットの販売が利用できるようになったことだ。家電などの量販店で製品を吟味したとしても、かつてのようにそこで買わずにインターネットで商品価格を調べて、注文するようになった。その宅配料金も安くなった。


 そのおかげで商品販売の形も変わりつつある。先日ニュースで、玩具量販店の「トイザらス」が破産申請したと報道された。いわく旗艦店のニューヨーク店の地代などの負担が大きすぎるためと言われる。このことは時代の変化を大きく示すことではないか。


 我が家のある岡山の郡部で、うきく経営している家具屋さんとゲーム屋さんがある。なんと家具屋のインターネット販売比率は八割、ゲーム屋では99%だという。そこでの地代などは大きな負担ではない。どちらが持続性のある販売方法かは明らかではないか。こうして見たときに、地方がイノシシしか会わない場所になるとは思えないのだ。


 
 もう一つある。知っての通り、我が家は水も電気も自給している。水道は法律から改正し、民営化を目指している。水道管の更新が1%に満たず、料金の値上げができずに管路の更新すらできなくなるという事態に、人口減少が重なって民営化を進めるのだ。しかし残念ながら世界のトレンドは「再公営化」になっている。


 水道の料金が高くなる上、水質悪化を招いたためだ。料金を値上げしたとしても自給していれば困ることはない。電気も同様だ。電気も送電線の劣化が進んでいる。2020年に電力自由化がさらに進展して送電線網が自由化されることが決まり、送電線網に費用を掛けても回収できないことから、電力会社は整備に熱心でなくなったためだ。これもまた値上がりが予想される。

 インフラが危うくなっている一方で、自給できる可能性が高まっているのだ。新聞も取らなくなった。必要な情報は自分から取りに行けばいいし、一般のニュースならどこのネットでも公開している。わざわざ新聞を届けてもらわなくても良い時代になった。


 自動車は世界で電気自動車に変わろうとしている。そのときの電源は自然エネルギーからの電気に変わろうとしている。発電効率が4割しかない既存の電力会社の電気を使ったのでは、地球温暖化対策にならないからだ。我が家もいずれは自宅で使った電気を使って走らせようと思っている。


 大事なのは変更するためのコストだ。その費用も技術の進展とともに安くなりつつある。インフラに依存しなくても得られるとき、なぜわざわざ都市や地方都市に移住しなければならないのか。



見方を変えよう


 こうした未来の可能性を見るとき、地方が崩壊して無人化するという想定が間違っていることがわかる。地方が有利だが、今までのように都会化させること地域おこしでは解決しない。地域は地域のメリットを最大に活かすことが地域おこしになるのだ。


 そして人口減少の大きな要因になっているのは、暮らせるだけのサラリーが得られなくなったことだ。でも地方ではカネが十分に稼げなくても暮らせる可能性が高い。その可能性がさらに広がったとき、子どもを持たない決意をするだろうか。現実に311事故からあと、岡山県に移住してくる人は多い。我が地域は人口減少が緩和されたほどだ。そしてその移住者の人たちは子どもをもうけることが多い。

 今までの濁った見方を捨て、新たな可能性に向けて進むべき時なのではないかと思う。

水は井戸を復活して使っている

電気は太陽光パネルで自給自足

自宅でとれたしいたけ


2017年10月31日

『 fragile(上・下) ― 主な意味(壊れやすい、もろい、虚弱な、かよわい、はかない)―』

【田中優の子育て論】

今月(2017.10月)発行しました有料・活動支援版メルマガ 田中優の未来レポートは、
 
『 fragile(上・下)
― 主な意味(壊れやすい、もろい、虚弱な、かよわい、はかない)―』


です。



(本文より)
 

「ぼくの子どもたちの今を知っている人から、ときどき「子育て術」を聞かれることがある。わざわざ言うほどのことをしているつもりはないから、なんだか正面から答えることはしてこなかった。 
でも今回、たまたま「ギャンブル依存症」の方の手記を読んでいて、ちょっと思い出したことがあったので書いてみることにした。 ・・・」
 





なかなか他でも書かない田中優の子育て論
かつてケースワーカーとして働いていた時に出会った人々
現代の子どもを蝕むもの

などが書かれています。
 


本日(10/31)中のご登録でこの上・下(10/15、10/30号)が無料でお読み頂けます。
ご興味のある方はこちらよりお願いします。
http://www.mag2.com/m/0001363131.html

2017年10月27日

『 病気の話 』

田中優メルマガより
今回ご紹介するコラムは、今年の夏のある日、突然のめまいで田中優が救急搬送され帰宅した際の話です。

--*--*-*--*--*--*--


天然住宅コラム第88回  

『 病気の話 』

■突然の疾患

 病気になった。朝仕事していたら突然に視線がぐるぐる回り出し、椅子に座っていることすらできなくなった。そのまま崩れ落ちるように床に転がり、そのまま救急車で病院に運ばれた。目が回って吐き気が続き、何も食べることもできなかった。

 しかし病院で検査した結果、命に別条のない神経炎にすぎなかった。その途端、脳神経外科の専門医たちは興味を失った。医師たちは「(早く退院させたいのだけれど)どうしよう」というようなことを話し合っていた。いやぼくの方だって一刻も早くここを出たいのだ。

 結局一泊二日で家に帰ってきた。ただ看護婦さんたちだけは吐き気の去らないぼくに同情して、もっと入院していたらどうかと言ってくれたが。


■体調が悪い時に感じる臭い


杉板の床


 家に帰ってみると心地良い、さすがは天然住宅仕様、一切の有害化学物質の臭いがないのだ。

 しかしそれ以上に敏感になめところがさすがの病人、それでも臭いが気になる。
子どもの使っている小麦粘土が臭い、「しまじろう」の玩具が臭い。それまで気にも留めていなかったものが臭く感じるのだ。もしこの家が天然住宅仕様でなかったら、それこそ絶命してしまっていたのではないかと思う。


■弱気になったとき

 そうなのだ、人はいつも頑強・屈強なときばかりではないのだ。ちょっと弱気になってしまうようなとき、どうにもならないときにだって安心して暮らしていたい。そうなると天然住宅仕様の家がいいんじゃないかと思う。

 天然住宅はベーシックなニーズを満たすものとして作った。いつも考えているのはもっと所得の少ない人にも買えるものにしたいということばかりだ。おカネがあるならどんな贅を尽くした家でも作れるから、最低のニーズを満たすつもりで設計していった。もちろんもっと安くできた部分もあるのだが、「森を守って健康・長持ち」を実現するためにはこれ以下に下げられない部分もある。

 弱気になったとき、この住宅は力を与えくれるのかもしれない。




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「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。



田中優の「住まいと森のコラム」 


■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす
第64回 虫対策、その後
第65回 おカネに依存しない暮らし、自営
第66回 おカネに依存しない仮想通貨
第67回 天然住宅はホコリが少ない?
第68回 住宅教育が必要だ
第69回 住宅費用のイニシャル、ランニング
第70回 無煙炭化器
第71回 偉いぞ、炊飯器
第72回 中国のシックハウス問題
第73回 のらぼう菜
第74回 孤独になる?自給生活
第75回 「自給住宅」と食べ物
第76回 ガーデンパーティー
第77回 「自給の家」の「たべるにわ」
第78回 「居ていい場所」というコミュニティー
第79回 我が家の庭でBBQ
第80回 自給の家と「たべるにわ」
第81回 連休は出かけちゃダメ?
第82回 ネオニコチノイド農薬ふたたび
第83回 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ
第84回 ネオニコチノイドが水を汚染する
第85回 不吉な虫、その名も「死番虫」
第86回 湿気のない腐らない家
第87回 阪神淡路大震災のあった土地は危険?
第88回 病気の話


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・施工例 http://tennen.org/gallery
・お客様の声 http://tennen.org/voice
・こだわり ~高断熱適気密・お家で森林浴・工法~ http://tennen.org/kodawari
・プラン集 http://tennen.org/plan
・見学会のお知らせ http://tennen.org/event
・住宅コーディネートって何? http://tennen.org/coordinate
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他にもたくさんのこだわりがあります。
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2017年10月23日

栗駒・伐採ツアーに木のスプーン作りのオプションが登場!

田中優より

「11月3日からの二泊三日のくりこま間伐ツアーに、木地師(きじし)に教わりながらする
スプーンつくりが加わりました。
楽しくてハードな仕事をするんだけど、楽しみながらしないとね、
木地師の作る木製品、本当にホンモノの味わいがありますよ。ぜひ。」


  ◇   ◇   ◇   ◇  


ツアーの開催地、鳴子(なるこ)に工房をかまえる、木地師の富張菜々子さん(工房とみはり)による木のスプ ーンづくりワークショップが新たにプログラムに加わりました。


世界に一つだけの広葉樹のスプーンを作り、お持ち帰りいただきます。
旅の素敵な思い出づくりになりますように♪


※ワークショップは3日目に開催します。
 参加される方は製材所見学はありません。

※対象は小学校4年生以上、参加費は別途2000円、
所要時間1時間~1時間半です。



▼スプーンの写真、詳細はこちら
http://tennen.org/news/kurikoma-3.html
 

▼「工房とみはり」のサイトはこちら
http://kobotomihari.com/

2017年10月20日

無料:10月30日(月)天然住宅バンクミーティング

田中優を中心に非営利バンクの金融の仕組みを利用しながら様々な活動に繋げていくためのミーティングです。

毎月1回開催しています。


「無料&どなたでも参加OK」です!



■日時 10月30日(月) 19:00~21:00 (開場:18:50)

  
■東京都新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル4F


■参加費 無料


■お申し込み受付 下記フォーマットからお申し込みください。
http://tennen.org/event/bankmtg-2.html


■主催 天然住宅バンク


2017年10月19日

10/29(日)・30(月) 天然住宅 無料完成見学会@我孫子



千葉県我孫子市にて完成見学会を開催します。
日曜日と月曜日の2日間、オープンハウス形式(予約制)で開催します!
建て主様のご厚意で実現しました。ありがとうございます。


■日時 2017年10月29日(日)・30日(月)  10:30~15:30


■場所 千葉県我孫子市(JR常磐線「我孫子駅」から徒歩)

■参加費 無料


■内容
オープンハウス型完成見学会(スタッフがご案内いたします)
※田中優は都合により出席できません


■お申込み 下記、フォーマットよりお申込みください
http://tennen.org/event/abiko.html




広めのお土地にお庭をとり、
家庭菜園などを楽しめるよう配置計画を考えました。


キッチンの窓からはお庭を眺められるようにしています。
家事動線、将来の間取りを検討し、
シンプルながら、可変性のある空間になりました。


**見学会の見どころ**


☑ 建物は25坪の規格プラン「繋の家」。ストリップ階段でリビングが広く感じられるようにしました。


☑ フローリングは天然住宅の標準仕様、厚さ30mmの無垢杉です。やわらかくあたたかな感触です。


☑ 壁紙にはグループ会社「素材工房」のオリジナル商品「和紙クロス」を。
  裏紙との貼り合わせや施工時にも接着剤は一切使いません。


☑ 広めの玄関は暮らしながら収納などを検討する予定です。


☑ 1坪のゆったりとした浴室、洗面室とトイレの壁は将来バリアフリー対応も可能です。


☑ 2階のスペースは今は広く使えるよう、将来の可変性を考え、間仕切りは最小限にしています。


☑ 内装の仕上げは、漆喰と和紙クロスを部屋によって貼り分けています。


☑ 太陽光の利用を考え、南側の窓は通常のペアガラス、東西北面には省エネ性の高いLow-eガラスを入れています。




特徴はたくさんありますが、
何より感じていただきたいのは、家の中の「空気」です。


木のいい香りがして、いわゆる新築のニオイ(これは化学物質の匂いなんですね)がしません。

これはいくら説明しても体感しなければわかりません。
ぜひ、実際の建物を体感いただきながら、深呼吸をしていただけたらと思います。


施工は松戸の工務店、サンヨーホームにお願いしました。
ご来場をお待ちしております。



★建物データ
敷地面積:172.54㎡(52.19坪)
延床面積:87.79㎡(26.55坪)※ロフト含む
間取り:2LDK
工法:木造(強化筋交い工法)

2017年10月16日

天然住宅 無料完成見学会 10/28(土) グループホーム@江戸川区松江

■日時 2017年10月28日(土)
午前の部:10:30~12:00(田中優セミナー+見学会)
午後の部:13:30~14:30/14:30~15:30(オープンハウス形式)

■場所 東京都江戸川区松江
(都営新宿線「船堀」駅よりバスまたはJR新小岩駅よりバス)

■参加費 無料

■内容
午前の部:田中優セミナー+見学会
午後の部:オープンハウス形式の見学会

■お申込み
下記フォーマットからお申し込みください。
http://tennen.org/event/edogawa.html



東京都江戸川区にて完成見学会を開催します。

知的障害を持つ方が共同生活を送るグループホーム
周辺は高速道路や幹線道路が走り、車や人通りも多い場所です。
その中で、いかにプライバシーを保ちつつも豊かに暮らすことができるのか。
そのひとつの答えとして、街に対しても緩やかにつながる中庭を設けました。

一方で、法規制的にも特殊な敷地であり、防火地域(西側)と準防火地域(東側)の境界線が敷地内を通っています。防火地域であっても木造の建築物を建てることは可能ですが、コストとのバランスも考えなければなりません。法規的には、面積を小さくすることで、大幅なコストアップとならないつくりとすることができます。

そこで、防火地域と準防火地域に棟を分け、防火地域側には面積をおさえた棟を計画しました。周辺環境の読み解きと法規の読み解きがうまく重なり、2つの棟が中庭を囲う形となりました。西側が個室、東側がリビングダイニング空間という構成です。

外観はガルバリウム鋼板。
中庭側はホワイト系にすることで、明るい中庭空間となります。
床はくんえん杉のフローリング、壁はオリジナルの和紙クロスです。
一部にカラークロスを使用して、空間のアクセントとしています。
構造はくんえん杉の木造軸組工法。もちろん大工さんの手による手刻み加工です。


今回、建主様のご厚意により完成見学会を開催することができました。
天然住宅グループともつながりの深い建主様。
ご住職でもある建主様ですので、地鎮祭・上棟式は仏式で執り行いました。
地域や社会に対する建主様の想いが形になり、これからの使われ方も楽しみな建物です。
住宅以外の見学会はなかなか開催することができませんので、ぜひこの機会に体感しにいらしてください。

★建物データ
敷地面積:263.94㎡(79.84坪)
延床面積:222.76㎡(67.38坪)
工法:木造軸組み工法
間取り:リビングダイニング(東棟)、個室5部屋(西棟)