2015年10月1日

『住むんだったら健康な家がいい』 (天然住宅「住まいと森のコラム」第1回)    

田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」では、 
ホームページのリニューアルに伴い、
田中優のコラム「住まいと森のコラム」を始めています。

月に3回更新していますのでぜひチャックしてみて下さい。 
2015.10.1現在、第17回まで掲載されています。 

「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。 

 □◆ 田中 優 より ◇■□■□ 

天然住宅「住まいと森のコラム」 第1回    

『住むんだったら健康な家がいい』  

 「一般社団法人 天然住宅」を設立してから8年目、ついにそのぼく自身が家を建てることになった。岡山の片田舎、山側から数えて二軒目。その奥に住む人はいない。 

今建て替えのために、欲しいという人にランプシェード、格子戸や建具、棚、石臼などを譲ったら、家の中はとても殺風景になっていた。    

建て替え動機はやっぱり寒さと臭い、それと昆虫、動物対策だ。庭にキジやキツネ、 タヌキなどが来る。それだけなら愛らしい話だが、家の中で出会うのだ。『どこまで隙間だらけの家なの?』と聞きたくなるような古民家なのだ。  

次の家はもちろん天然住宅仕様。暮らしは豊かではないが、建てるんだったらやっぱり森を守れて健康、長持ちの住宅がいい。まだ給与を得たことはないものの天然住宅の経営者だし、今回の家もまた実験的な試みをさまざましてみることにした。  

そこで、このタイミングで田中優の「住宅と森のコラム」を書いてさまざま紹介してみることにしたいのだ。 

 ■住まう人と森を守っている人のために  

天然住宅は非営利のせいか、お客様との関係がちょっと違っている。普通はモデルハウスを建ててそこを飾って見せるのが常だが、そんなものはない。逆に建て主さんにお願いして、建物を見せてもらうのだ。  

新築見学会や建物の構造見学会(建ててしまうと見えなくなってしまう基礎、土台や柱などを見てもらう)もあるが、『天住マニア(?)』にたまらないのが築後10年以上の住宅だ。  

木材は生き物だからひぴも入れば傷もつく。軋んだり、カビが生えることもある。 それをそのまま見てもらい、住まい手に直接住み心地を聞いてもらうのだ。その際のやりとりが、工務店と建て主との関係に見えないと言われる。仲間のような友だちのような感じだ。中には見学会の前に大掃除が必要な人もいて、スタッフ総出で掃除することもある。

 「また見学会してくださいね」
 『いや、見学会じゃなくて掃除に来てほしいんでしょ』と思うこともないわけじゃない。 

 ■カンナ・マジック  

でも建ててくれた人たちが喜んでいる姿を見るとうれしい。  
世間には、「儲かる」会社と「うれしい」会社があるんじゃないかな。儲かると会社はうれしいだろうが、住まい手がうれしいわけじゃない。天然住宅のスタッフの努力が報われるのは、建て主さんに喜ばれたときだ。  

しかしそれ以上に喜んでくれるのが山のスタッフだ。「くりこま木材」という宮城県栗原市の会社からほとんどの木材を入れているが、そこの大場さんからお願いされることがある。 「ぜひ建て主さんを山に連れてきてください」と。    

そこで建て主は自分の家に使う木を切り倒す経験をする。周囲を森林班のメンバーが固めた上で。お神酒を備え、祈ってお礼を伝えてから切り倒す。




大きな音を立てて、木が地響きとともに倒れるとき、「カネ出せば買える」と思っていた家がそうではな くなる。「命をいただいて建てさせてもらった」家になる。キコリの彼らはそれがう れしいのだ。    

カビを完全に出さないことは難しいが、出にくくすることならできる。でんぷん質 の多い夏場に伐採せず、くんえん乾燥で木材を煙で燻し、木の表面をカンナがけすると出にくくなる。  

最後のカンナがけは不思議な工程だ。普通ならニスなど塗料を使ってしまうところだが、日本にはカンナがけという方法がある。木の細胞を押しつぶさずに薄く切ることで木の精油分が溶け出して、カビを寄せつけなくなると同時に美しく輝き始めるの だ。 

 「カンナ・マジックだね」  

「昔の人の知恵はすごいんですよ」とくりこま木材の大場さんが言う。  

そんなとき、そんなマジックをもっと知りたいと思うのだ。



  ☆--★ 現在、コラムは第17回まで更新中!☆---★   

田中優の「住まいと森のコラム」   月に3回記事を更新しています!  

 ■目次一覧 http://tennen.org/yu_column  

第1回 住むんだったら健康な家がいい 
第2回 そのどこがエコなの? 
第3回 天然住宅は高い? 
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲 
第5回 いい湯だな、バハン 
第6回 次の世代に引き継げる林業に 
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い 
第8回 日本ミツバチ 
第9回 カビを寄せつけない技術 
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐 
第11回 小屋礼賛 
第12回 皮むき間伐の弱点 
第13回 低周波騒音問題 
第14回 上下階騒音問題 
第15回 住宅リテラシーを 
第16回 湿気で溶けていく家 
第17回 住宅貧乏