2017年8月23日

『 リニア中央新幹線の夢は、夢のままがいい 』

田中優無料メルマガより

「自分のおこずかいで買うからいいでしょ!」
そう突っ張ったJR東海にみんなの
財政投融資から3兆円

葛西会長のペットプロジェクトと呼ばれた葛西会長は、「朝鮮戦争が再度起こって景気が良くなればいい」とする論者。アベと共に消えてほしいです。

今回公開します有料・活動支援版メルマガバックナンバーは、この
JR東海のリニア新幹線についてです。

※参考記事

「“超黒字”JR東海に公的資金3兆円投入!?
リニア建設資金不足で、やっぱりツケは国民に…(樫田秀樹さん)」

http://www.excite.co.jp/News/column_g/20170701/Shueishapn_20170701_87127.html

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『 リニア中央新幹線の夢は、夢のままがいい 』


    (田中優 有料・活動支援版メルマガ バックナンバー2012.12.15号)


■リニア中央新幹線の夢

リニアの夢は何だろうか。

 とても速くて名古屋まで40分、大阪まででも67分、すると東京~大阪間が都内のように行き来できて、同一エリアのように活用できる。すると当然効率的になるので地域経済の活性化が図れる。東海道新幹線の混雑が緩和でき、中央ルートなら次の東海地震でも被害を受けずに東京~大阪間のルートを確保できる。

 いやいやそれよりも世界初の技術で世界をリードする鉄道になれる点だ、といった感じだろうか。


■速度の制限因子は何か

 しかし調べてみると、時速500キロと言われるリニア新幹線も、平均速度では429キロなのだ。この速度は従来型の新幹線でも夢ではない。現実に今でも姫路から先の山陽新幹線では300キロの速度で走行しているし、フランスのTGVでは320キロで走行しているし、最高速度で言えば429キロを超える従来型の列車はたくさんある。

 では何が違うのか。直線性なのだ。直線であればスピードが出せるが、山岳地帯が多く小さな日本では、その条件が整わないだけなのだ。

 そして今回の中央新幹線の線路はひたすら真っ直ぐなのだ。その理由はリニアの欠点のせいでもある。リニアは小回りが利かず、最小曲線半径が8000メートルもあるのだ。250キロで走行する東海道新幹線の最小曲線半径が2500メートル、300キロを出している姫路から先は最小曲線半径4000メートルであるからだ。


 つまりこの8000メートルの最小曲線半径なら、リニアでなくても429キロの速度で走行できる可能性が高い。違いができるはリニアは勾配に強く、従来型ではそこまでの能力はないということだろうか。


 ここでもうひとつの選択肢が登場する。リニアではなく、従来型の新幹線を走らせるという方向だ。


■東海道新幹線は満杯か


 以前はJR東海も、「東海道新幹線が輸送力の限界に近付いている」としていた。しかし2010年5月の政府審議会以降、「輸送力の限界」説は取り下げてしまっている。理由は簡単だ。

 図1にあるように、座席利用率は2003年の66.2%を上限に、2009年の55.6%まで下がり続けてしまっているからだ。今後は人口も減る。そんな中で「輸送力の限界」説は維持できなくなっているのだ。

図1 (メルマガにて公開中)


 もしそれが事実だとしても、JR東日本が導入している二階建て新幹線を入れれば足りてしまう。東海道新幹線のN700系が1323席であるのに対し、二階建て新幹線では同じ16両編成でも1634席と23%増加する。


■東海地震と老朽化した設備の更新のため


 東海道新幹線は鉄道が造られてから、実に50年経っている。そのためJR東海は、老朽化した設備の更新のために二重系化が必要としている。また同時に来たるべき東海地震対策としても必要だとしている。

 もし設備の更新だけなら、今のままでも一部運休すればできるだろう。座席利用率は55.6%(2009年)なのだから、不可能とは言えない。JR東海の言葉で言えば、「長期間にわたる部分運休や徐行運転が想定される」だけだ。

 しかしもう一方の東海地震対策となると、不要とも言えない。東海地震が被害を及ぼすであろう地域と中央新幹線のルートを比較してみると図2のようになる。確かに東海地震では沿岸部を走る東海道新幹線には不安がある。その範囲を避けて通る中央新幹線のルートには確かに二重系化のメリットがある。ただしそのことは、リニアでなければならない理由にはならない。

図2 (メルマガにて公開中)


■本当に速いのか

 JR東海は9兆円かかると見積もられる中央新幹線を、二段階で実現しようとしている。名古屋までの一部開通と、その後の大阪までの延伸だ。一方、建設に期待する「リニア新幹線建設促進期成同盟会」は一気に大阪までの全面開通に期待している。しかし期成同盟は責任を負う団体ではなく、あくまでJR東海の費用負担で進められる話だ。しかもJR東海側では国鉄から買い取った新幹線負担5兆円を、3兆円まで返済した実績に基づいて考えているのだから、一気に9兆円負担というのは無理な相談だ。

 しかしそのことが速さのメリットを減殺する。

 名古屋まででは航空機からの乗り換えは期待できないからだ。JR東海は名古屋まで開通の時点で、


1.航空からの転移、
2.料金アップ(名古屋まで+700円、大阪まで+1000円)、
3.高速道路からの転移と新規需要

の三つ図3でカバーして図4のように「経営体力を回復し、速やかに大阪開業に取り組む」としているが、一体どこに名古屋まで行くのに飛行機に乗って行く人がいるというのか。料金の高さから新幹線が敬遠されているというのに、高速道路からの転移がなぜ起こるのだろう。

図3(メルマガにて公開中)

図4(メルマガにて公開中)



そして極めつけが品川駅、名古屋駅での乗換えだ。

「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(通称:大深度法)が2001年に制定され、地価高騰を回避するために深度40メートル以深を「公共の用に利用できること」とした法がある。リニアでは、これを使って用地買収を避ける方向で考えられている。

しかしその結果、現在でも東京駅での新幹線への「標準乗換え時間」が10分とされているのに、地下40メートル以下では最低でも15分は見込まなければならないはずだ。

すると品川で15分、名古屋で15分、合計で30分ロスすることになる。これで大阪まで行った場合、図5のとおり従来の東海道新幹線が153分であるのに対し、128分となってわずか25分しか違わない。しかも荷物を持っていたら大変な作業だ。

図5 


 これで航空から転移するとは考えられない。すると「経営体力を回復」するこ
とは困難になり、大阪までの延伸は困難となってしまう。するとメリットはほとんど感じられないものになる。



■デフレ是正のためには公共事業が必要

 そもそもぼくは公共事業が嫌いだ。しかし正しく言うと、これまで進められてきたダムだの原発だのリゾートだのという、公共事業が嫌いなのだ。しかしもし洋上風車の建設だの、発送電分離のための海底送電線設置と言われたら、ぼくは賛成する。

 要は「公共事業」が悪なのではなくて、公共事業の選び方が「悪」なのだ。そして15年続くデフレの日本では、緊縮財政や増税の前にデフレ撲滅をしなければならない。そのためには「良い公共事業」が選択される必要があるのだ。

 この間のデフレで、今日買うより明日の方が価格が下がるから、誰もがモノを買うのを待つようになった。そのためモノは売れず作れず、産業は衰退して人々は失業するようになった。投資できないために余ったカネで、アメリカの戦費を支えてきた。


 しかし日本が経済的に復活したいなら、石油・天然ガス・ウラン・石炭の輸入に費やしている資金を国内に回すのがいい。そのための投資は抜群に雇用を回復させ景気を改善する。2008年には24.5兆円も海外に流出させてしまった燃料費を国内に回せれば、一都道府県あたり毎年5210億円も回せるのだ。
だから公共事業が悪いのではなくて、その使い道が悪いのだ。



■リニアは公共事業として適切か

 新幹線がどれほど世界的に信頼性が高いかは、今さらぼくが言う必要もないだろう。50年間も事故らしい事故を起こさず、しかも毎年毎年性能を高めてきた。

 図6の燃費を見てほしい。最初の新幹線と比べると、実に半分の電気で走行できている(時速220キロのとき)。その電気代で言うと、今や一両に一人乗客がいるだけで燃料費が賄えてしまうほどなのだ。

図6 (メルマガにて公開中)


 それではリニアはどうだろう。図7の比較を見てほしい。「1座席あたり」と「1人あたり」の違いがあるが、少なくとも航空機の「1/12」だったのが「1/3」になっているので四倍効率は劣化している。さらに直接の数値では、4.2kgco2/座席⇒29.3kgco2/人になっているので、7倍劣化している。これで他社が導入したいと思うだろうか。

図7 (メルマガにて公開中)


 しかも路線に乗り入れることができないのだから、従来の車両も路線も使えない。専用の最小曲線半径8000メートルという直線ルートでなければ走れないのだ。

 この技術が使えるとしたら、日本のような狭い国ではなく大陸的な広い国で、しかも従来は鉄道がなくて乗り入れを考えずに済む国しかないだろう。しかしドイツは断念し、中国も今や消極的だ。つまり地球上にほとんど売り込める先のない技術なのだ。もし売りたいのなら、最小曲線半径をもっと小さくするなどの改善が行われてからでなければならない。

 しかも車両や周囲の出す電磁波は人間の耐えうるレベルを超えている。
ヨーロッパでは人体に対する許容基準から考えて、永遠に導入できるレベルにならないだろう。中津川市での説明会でJR東海が公表したデータによると、「時速500キロのリニアが通過すると、その横4メートルで1900ミリガウスの電磁波が発生する」そうだ。

 停車時における車内の値は1万3000ミリガウスとされている。さらに国立環境研究所は2005年、リニア実験線の車内床上での電磁波は、6000から4万ミリガウスになると報告した。





 これはWHO(世界保健機構)が発表している「日常的に浴びている子どもが、小児白血病が倍になってしまう3~4ミリガウス」(図8)という基準の1万倍だ。

図8 (メルマガにて公開中)

 しかも全線の8割以上がトンネルで、火災が起きたとしても次の駅まで停まれない。停まったとしても、最も深いところでは地表まで1400メートルもある。浅いところでも大深度地下だから40メートルある。これでは屈強な登山家でなければ安心して乗ることはできない。

 リニアはひいき目に言っても未熟な技術だし、もっとはっきり言ってしまえば発展性の見込めない技術なのだ。これは公共事業としても適切ではない。



■JR東海は勝手に事業を進めていいのか

 公共料金に対しては政府が関与できる。JR東海が単独の企業だけでリニアを進められるのは、東海道新幹線がドル箱だからだ。新幹線の電気代は、新幹線運行費用の4%程度だから、25倍の費用がかかることになる。

 つまり今の余裕ある経営の仕方でも、一両に25人乗っていればトントンになる。16両編成で400人乗れば元が取れる。ところが16両1323席に対して55.6%乗っているのだから、740人になる。つまり1.85倍の収益を得ていることになる。


 この余剰収益でリニアを作る以外に、料金を46%下げる選択肢もあるということだ。約半値にすることも可能なのだ。

 もし未来に対して先行投資するのならば、このような不適切な投資であるべきではない。もし東海地震に備えて二重系化するのなら、実績があって他路線とも乗り入れ可能な従来型新幹線にすべきではないか。

 もしそれを考えないのなら、二酸化炭素を排出しない発電方法によって走らせるほうが、ずっとエコになる。

 電気料金は原発に頼る頼らないに関わりなく値上がりが見込まれている。しかもJR東海の支払っている電気料金は、私たち一般家庭の負担によって著しく安く購入されている。しかしなぜかJR東海葛西社長はそうした社会的責任を負うのではなく、東電や中電に原発を動かせと発言しているのだ。

 公共料金で人々に負担させながら事業をする企業にしては、電力会社並に横暴ではないか。きちんと社会的責任を果たさせるべきだ。


■人々が受忍する計画を

 トンネルを掘られる地域では、水みちが切られるなどして影響を受ける。
しかも直線にしなければならないために、岐阜県の東濃地域にあるウラン鉱山に当たってしまっても避けられないし、図9の阿蘇周辺の高森線で起きたようなトンネルからの出水にあっても止めることができない。高森ではあまりの湧水の多さに、ついに鉄道敷設を断念して「湧水トンネル」とせざるを得なかった。


図9 


 しかしそれでも地図全体で考えたら線の被害だから、図10のような環境破壊があるにせよ、もし必要性が高いならば受忍せざるを得ないだろう。


図10 (メルマガにて公開中)


 しかしリニアでは、受忍せざるを得ないものとはとても言えない。むしろ東名・名神高速を走るトラック輸送の代替に使えるものにした方が、はるかに社会的意義も高いものになる。社会的意義が高くなければ人々は受忍する気にならないだろうし、それをさせることは横暴にすぎない。

 JR東海を「ブラック企業」にしないためには、社会的意義あるプランにするべきだ。

 二酸化炭素を出さない発電方法に資金を投資するなり、環境負荷を多大にかけるトラック輸送をトレイン化して減らさせるなり、できることは他にあるはずだ。

 少なくともドル箱路線で利益を貪った資金でしていい事業ではない。
甘えた子どもの玩具ねだりのようではないか。


 リニア中央新幹線の夢は、夢のままがいい。


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2011年12月に開始し、現在144号まで発行してきました「田中優有料&活動支援版メルマガ "未来レポート"」のバックナンバー(主に文章のみ)を公開しています。


今回は、2012.12.15発行 第29号
『 リニア中央新幹線の夢は、夢のままがいい 』です。

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2017年8月22日

9/16(土)天然住宅お住まい見学会+田中優セミナー&味噌作りワークショップ@東伊豆

味噌づくりワークショップ
ここ数年の間に、暮らしや住まい、働き方の多様化が進み、

東京から地方へ移住する人が増えています。


天然住宅共同代表の田中優もそのひとり。
東日本大震災後、岡山県に移住しました。


最近では畑で野菜を育てたり、
地域に暮らす人たちと自宅でBBQを定期的に開催するなど、
すっかりその土地に馴染んでいるようです。
都会から地方へ、住まいや暮らしをシフトする。
これからもこの流れは続いていくように思います。

今回、お住まい見学会を開催させていただくD様ご夫婦も、

住まいや暮らしをシフトする選択をされました。


かつては都内の高層マンションに暮らしながら、
湯河原にて週末田舎暮しを楽しんでらっしゃいましたが、
ご主人の早期退職後、本格的に農業の勉強をはじめ、オリーブ農家に転身しました。

導かれるように辿り着いたのは、5000坪ある東伊豆の土地。
この場所に天然住宅を建て、現在は農業をしながら、
電気も自給する暮らしをされています。
 
D様にはやりたいことがたくさんあります。
『発酵食品のワークショップ』や『農家民宿』など、

これからこの家で少しずつ実現していく予定です。
 
きっかけや理由はさまざまですが、暮らしや住まいを通して、

これからの生き方を見つめ直すのは、とても自然なことかもしれません。

今回の見学会では、
『今後の社会経済を見据えた新しい暮らしの提案、
そして、食やエネルギーなど自立した暮らしをテーマ』
にしたセミナーも行いたいと思います。

地方移住に興味のある方、
食べ物や電気の自給に興味のある方、
リタイア後の暮らしのヒントを得たい方、
もちろん天然住宅の建物を体感してみたい方も。

ぜひ、足をお運びいただければと思います。



当日は、建て主様による『味噌づくりワークショップ』も開催します!


鉄釜で茹でた無農薬の大豆や、建て主様自ら作った米麹、
天日干ししたお塩で作ります。


天然住宅の空間で発酵食品を作ると、
“(発酵が)かなりスムーズにすすむ”と言っていただくことも多いです。


昔から発酵食品の保存には杉の樽などが使われ、麹室も杉で造られていました。
無垢の杉材で建てた家だからこそ、関係性があるように思います。

こちらも合わせてお楽しみいただければと思います。
 
▼参考写真
オリーブ畑の中の農家民宿

☆住まいの特徴 ☆


□アンビエックスによるオーダー設計
□ 2016年お引き渡し
□ ご夫婦ふたり暮らし
□ 木造2階建て軸組み工法(133.63㎡)
□ 地元静岡県の天竜杉(天然乾燥材)を使用
□ 無垢杉とステンレスで造ったオリジナルキッチン
□ 檜風呂
□ モザイクタイルをあしらった洗面所
□ 温熱環境を高め、見た目にも美しい木製サッシ
□ 無垢材で造ったたっぷり収納家具
□ ご主人による手造りのウッドデッキなど



■日時  2017年9月16日(土) 午後12時半~午後4時
              (見学会のみ参加の方は午後2時~4時)


■場所  静岡県賀茂郡東伊豆町(最寄駅:伊豆急行線「片瀬白田駅」)
※駅から送迎します(現地まで約10分)


■参加費  見学会のみ参加の方:無料
      味噌づくりワークショップ参加の方:2,500円/おひとり


■内容  見学会+田中優セミナー
     味噌づくりワークショップ(希望者のみ)


■お申込はこちらより  天然住宅HP http://tennen.org/event/higashiizu.html

2017年8月18日

『「セルフインフラ」が未来をポジティブに変える』

8月15日発行しました田中優有料・活動支援版メルマガ は、

『「セルフインフラ」が未来をポジティブに変える』です。

人口がどんどん減少していく日本、その中でどんな未来を、
どうやって新しい社会を作っていくかのヒントを書きました。


<主な項目>
・無人化する日本
・どうやって未来を変えるか
・別な価値基準の浸透
・生命基盤への疑問
・人々に必要なのはカネではなく生活基盤だ







8/31までのご登録で、この8/15号と8/30号が“無料”でお読み頂けます。

ご興味のある方はぜひ!

★ご登録はこちらより →  
田中優の未来レポート http://www.mag2.com/m/0001363131.html

※なお、まぐまぐ経由のクレジット払いではなく、銀行口座へお振込みによる購読方法もあります。

お問い合わせはこちらよりお気軽にご連絡ください  → info@tanakayu.com

2017年8月14日

『 高知県興津海岸は、こうして残された』

天然住宅コラム第53回


■ 高知県四万十市の興津海水浴場


 岡山に住んでいると四国が近い。高速で本州四国連絡橋を走るとすぐ四国に入る。四国には美味しいうどんを出してくれる店がたくさんあり、しかも安い。ちょうど夏休みでもあるので、美しい浜を求めてドライブに出かけた。

 水質が抜群に良いとされていたのが高知県四万十市の興津海水浴場だった。行ってみようと調べると、高速を降りてからの距離はたいしたことがないのに、所要時間がえらくかかる。不思議に思いながら走っていくと、納得するほどの切り立った山をくねくね下っていく山道が待っていた。ナビは「目的地に到着しました」と終わってしまったが、どう見ても海水浴場ではない。近くの人に聞いて、やっと到着する。



■ きれいな海と原発

 海を見ようと砂山を登っていくと、反対から来た若者が「込んでいるけど大丈夫」と仲間に教えていた。『込んでる浜はいやだな』と思いながら登ると、人はほとんどいない。ここではこれが「込んでいる」状態なのかと思う。

 水は恐ろしくきれいで、波も大したことはない。「防波堤の近くはエイがいるから行かないようにね」と監視員の人の注意を受けつつ浜にパラソルを立てた。100円のコインシャワーもあるし、トイレもきれいに整備されている。監視員さんが他の人と話しているのが耳に入った。「…この間、福島の飯館村に除染に行ってきたんだ」と話している。そして最後に「ここに原発が建たなくて良かった」と聞こえた。


 そうか、今は四万十市に併合されているが、ここは窪川原発の予定地だったんだと気付いた。原発が建てられる場所はたいがい最もきれいな場所だ。しかも過疎地で海との間に屏風のような山があるのだから、原発立地に狙われそうな場所だ。


高知県興津海岸


■海を守った人たち
 しかしここの原発はチェルノブイリ事故の後に中止になった。島岡さんという保守の立派な人がいて、その人が頑張って止めた場所なのだ。そのことは以前に原稿に書いたこともある。そう思うと今波と戯れながら遊んでいること自体が、彼と地元の人たちの反対運動のおかげなのだなと思う。島岡さんは暴漢に襲われたり、車に引かれたりしながらも一歩も引かなかった。ぼくは島岡さんに無性に会いたいと思った。会ってお礼の一言ぐらい言わないと、この地で遊ぶのが憚られる気分になったのだ。 


 ぼくの記憶の中に、もうひとつ聖なる場所ができた。たくさんの人たちの努力によって、やっと残された土地だ。今の時代のせいか、美しい場所はただ残されているようには思えない。残したいと願う人々の思いがあるのだ。その同じ四国電力は、中央構造線の間近にある伊方原発を8月12日に再稼働させた※。なんとばかげた話だろうか。


※2016年8月に配信

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田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」では、田中優のコラム「住まいと森のコラム」を始めています。

「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。

こちらの田中優メルマガでも順不同ですが紹介させて頂いています。


☆--★ 2017.8.14現在、コラムは第80回まで更新中!☆---★  

田中優の「住まいと森のコラム」 

月に3回記事を更新しています! 

■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 

第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを 
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす
第64回 虫対策、その後
第65回 おカネに依存しない暮らし、自営
第66回 おカネに依存しない仮想通貨
第67回 天然住宅はホコリが少ない?
第68回 住宅教育が必要だ
第69回 住宅費用のイニシャル、ランニング
第70回 無煙炭化器
第71回 偉いぞ、炊飯器
第72回 中国のシックハウス問題
第73回 のらぼう菜
第74回 孤独になる?自給生活
第75回 「自給住宅」と食べ物
第76回 ガーデンパーティー
第77回 「自給の家」の「たべるにわ」
第78回 「居ていい場所」というコミュニティー
第79回 我が家の庭でBBQ
第80回 自給の家と「たべるにわ」


★☆★ 天然住宅 ホームページはこちら★☆★
http://tennen.org/ 

・施工例 http://tennen.org/gallery
・お客様の声 http://tennen.org/voice
・こだわり ~高断熱適気密・お家で森林浴・工法~ http://tennen.org/kodawari
・プラン集 http://tennen.org/plan
・見学会のお知らせ http://tennen.org/event
・住宅コーディネートって何? http://tennen.org/coordinate
・資料請求 http://tennen.org/request


他にもたくさんのこだわりがあります。
ぜひHPでチェックしてみて下さい。

「オフグリッド」生みの親、粟田さんが田中優宅に

田中優宅のオフグリッドの要である、パーソナルエナジーを開発販売されている慧通信技術工業社長の粟田さんが、先日パーソナルエナジー点検のために岡山の田中優宅に来られました。



最近皆さんがよく耳にするかもしれない、
「オフグリッド」という言葉を生み出した人です。

田中優宅ではパーソナルエナジーを導入して4年半になりますが、中身はほぼ新品同様とのことでした!


今回はご家族で神戸からお越し頂き、前日は和気町ウエイクホームさん(田中優宅を建築してくれた工務店さん)にて和気町の仲間を呼んで夕食歓迎会を。



オフグリッド、エネルギー、電気、経済、これからの社会のことなどたくさんお話を聞くことができました☆


これからも田中優宅はこのパーソナルエナジーを中心にして、電力会社と契約をしない、電線をつながないオフグリッド生活を続けていきます!(スタッフ)




2017年8月11日

『 省エネが先だろ 』

(2012.3.15発行 有料・活動支援版メルマガ "未来レポート" 第9号より)

『 省エネが先だろ 』

■ ライフライン

「トイレットペーパーってないと困るよな、
 生活必需品というか、ライフラインの一つだよな」

「まぁ、確かにないと困るよな」

「しかも大腸菌は紙5枚分は抜けるそうだから、
 オレは大事をとって50枚重ねて使ってるんだ」

「……。」

「そうすると一日のトイレで丸太一本分は使ってしまうんだ。
だからさ、いくら森が必要だと言われても、衛生のためにはやむを得ないと思うんだ。
日本の森だけでは足りなくなるから、海外から輸入するのもやむを得ないだろ?
それなのに森林伐採とか、熱帯林破壊とか騒ぐやつらがいるんだよ」

「いや、それは使いすぎ…」

「しかもだよ、他の方法でトイレットペーパーを作る方法も提案せずに言うんだぜ。
竹ならいいじゃないかって言うやつもいるけど、お尻が切れちまうぜ。
どうしてれんだよ、裂けちまったら」

「いや、それ以前に使い…」

「黙れってんだよ、だって代替策も提案しないで伐採を止めろなんて、身勝手すぎるだろ? そう思わないか?」

「いや、使いすぎだろ、トレペ」



■オフィスが節電したらどうなるか

 たとえたら、こんな感じじゃないか、今の原発の電気問題。
代替策考える前に、使いすぎだろ? 電気。

 しかも家庭じゃない。2010年の電気消費量のうち、家庭が消費していたのはわずか22%にすぎないんだから。家庭より前に、無駄遣いしている事業者を問題にすべきだ。




 「乾いた雑巾だから絞っても水も出ない」なんて言うんだけど、事業者は現在、たった3年で元が取れる省エネ機器を導入していないんだから。でもオフィスは無理、なんて言うんだけど、オフィスの電気消費の45%がエアコンで、21.5%が照明、その他コンピューターなどの消費が21%ある。




 その照明なら、簡単な省エネ方法があるんだ。
 もちろん白熱球を使っているんなら、蛍光灯やLEDに変えたほうがいい。だけど蛍光灯だってまだできるんだ。蛍光灯の光は天井に向けても光っている。この分は天井に当たってわずか35%しか下に落ちてこない光なんだ。でも天井側の光を効率良く反射させるステンレスの反射板を使えば、95%も反射させることができる。






 それにインバーターを入れていけば、一本の蛍光灯で二本分の明るさが取れるんだ。半分で済むんだから、10.2%は省くことができるだろ。


 エアコンだって対策がある。
 もともとエネルギーの話をするときには、自然エネルギーの導入と言う前に、省エネすることのほうが安くて効果的なんだ。

 熱の省エネは断熱だし、断熱すべき場所は窓だ。窓から熱の半分が逃げていくからね。その窓に使われているアルミサッシのアルミという物質は、もともと熱伝導性が高すぎるんだ。触ってみればわかるけど、外と同じ温度になってしまっている。
だから窓枠はどうしても結露するんだ。

 その窓の内側に、木製サッシを一枚入れてみたんだ。ぼく自身がやっている非営利の住宅会社、「天然住宅」でね。

 そしたら家庭では暖房器具を使わなくなってしまった。何より足元が暖かくなるんで、寒く感じなくなったんだ。実際温度を測ってみたら、もともと冷たかった足元の温度が、1mの高さの温度と同じになった。窓枠から入り込んだ冷気はそのまま下に落ちて、足元を横に這っていたんだ。

 それを東京のオフィスに入れてみた。すると一日10時間使っていたエアコンが、朝1時間点けるだけで、あとは消すようになってしまった。特に冷え症の女子職員に喜ばれたんだ。足元の寒さが問題だったんだね。

 さらにいいことがあった。冷え症の女性たちは机の下に電気ストーブを置いてたんだ。あの効率の悪い電気ストーブを。それがいらなくなったんだ、さらに電気消費量が減ったんだ。さらには火事の心配もなくなったし。


 ここまでうまくいかなかったとしても、半分は減らせるだろ。そうすれば23%ほどの電気は減らせるだろ。


 次に考えられるのがガスヒートポンプエアコンへの入れ替えだ。電気消費量は20分の1に激減するし、CO2排出量も3割少ない。

 さらにパソコン類はノートパソコンにすれば電気消費は少ないし、万が一の停電でもデータが消えたりしない。それらは待機電力がものすごく大きいものだから、スイッチ付きコンセントを入れればさらに減らせる。


■メタンハイドレート発電の前に節電を

 そんなことを会社がやりたくなるように、電気料金を節電すればするほど安くなるように設定すればいいんだ。

 ところが今の日本では、事業者の電気は使えば使うほど安くなるようになってし
まっているから、やる気がしないんだよ。この料金体系は犯罪的なものじゃないか。
節電しようとするやる気を失わせる仕組みなんだから。


 このオフィスの節電方法は、「特定規模電力(PPS)への乗り替え」を提案してきて、全国的に実現した「電気をカエル計画」の石井くんが進めているものだ。その石井くん自身は「PPS乗り換えは解決策にならない」と言う。自由化対象の事業者消費分の、わずか3.5%しかまかなえないからだ。だから彼は今、トクする省エネの提案を続けている。石井くん自身はどこにでも説明に行くと言っているから、もしわからなかったら彼に相談してもらえばいい。
http://yydeck.sakura.ne.jp/sblo_files/kanagawakaeru/image/shiga.pdf


 もし全国の事業者が電気消費量を半分に減らしたら、78%の半分だから39%の発電設備は要らなくなる。原発の設備量は福島事故前で20.1%、原発だけ強引に動かして発電させているけどそれでも全体の30%だから、原発は一基もなくても困らないだろ?

 われわれは人が良すぎて、いつでも供給側の心配ばかりしていて、風車では不安定なんじゃないかとか、低周波騒音だの鳥がぶつかるだのと心配している。

 でもその前に考えるべきことがあるんだ。
一日に何メートルもトイレットペーパーを使っているのは「使いすぎだろ」ということなんだ。

 風車も「風レンズ風車」が開発されて、騒音や鳥がぶつかる問題もかなりクリアーできるようになった。

 
 それよりはるかに問題なのが「メタンハイドレート」なんだ。
ところが新たなエネルギーだとか言われて、人々の大きな期待を集めてしまっている。
メタンハイドレートは、陸から伏流水を流れてきて大陸棚に貯まった有機物の分解ガスではないかとぼくは思っている。要は生き物が嫌気性微生物菌によって分解され、メタンガスになったものだ。それが地下にあるときは、圧力によって水に溶けている。

 それが海の大陸棚に流れ込んでシャーベット状に積ったものだと思うのだ。だからそれはとても微妙な条件の元で積っている。安定して存在しているものではないと思う。少しの海流の流れの変化で、溶けだしてしまうのもそのせいではないかと思うのだ。

 これが溶けだしたことが地球の歴史には数回ある。そのときには二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるために、地球のすべての水分が蒸発し、地球全体の海が蒸発してほとんどの生き物が絶滅したそうだ。そんな恐ろしいものを、手柄と見栄しか考えていない学者たちの玩具にさせるのは危険だと思わないか?
 彼らは全然分かっていないんだ、それがどんな事態につながるかを。原発並みにタチの悪い話じゃないか。


■使いすぎなければ解決できる

 だから解決策は、いつも需要側にあるんだよ。電気を供給する発電の問題じゃなくて、電気を消費する側に。

 なのにわれわれはいつもお人良しに、電力会社の論理に巻き込まれてしまっている。
 いつから電力会社の社長になったんだい? 

 そんなことより消費を減らせば足りることなんだ。「自然エネルギーの導入を」とすら言う必要がない。

 原発を止めるだけなら節電だけで足りるからだ。

 次の地球温暖化なり、雇用の促進なり考えるときに言えばいいだけの話なのだ。
だからごっちゃにしてほしくないんだ。節電で足りる原発の話を、自然エネルギーとごっちゃにしないでほしいんだ。

 ドイツが自然エネルギーをものすごく伸ばしたって誰もが感心しているけど、ドイツのすごさはそっちじゃない。ドイツがすごいのは、長年にわたって電気消費量の伸びを抑制していることなんだ。日本だって自然エネルギーはそこそこ導入したんだけど、日本の電気消費はそれ以上に伸びてしまっているから、だから未だに永遠の2%止まりなんだ。

 消費を減らさずに自然エネルギーを伸ばしたら、今度は自然エネルギー利権が発生してしまうだけで終わる。

 そうじゃなくて、消費を減らせば減らすほどトクする仕組みを入れてあげればいいだけなんだ。


 だからさ、最初の男にはこう言えばいい。

「トイレットペーパー、使いすぎだよ。
使いすぎなければ、木は毎年伸びてくれるから足りるはずだよ。
そうすれば永久にトイレットペーパーは使えるから、心配しなくていいよ」と。




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オススメ動画 報道特集「チェルノブイリで今も残る健康被害」

田中優より

チェルノブイリでは、なんと事故から30年以上経って甲状腺がんが多発
どんなメカニズムがあるのだろう?

  ◇   ◇   ◇   ◇  

報道特集「チェルノブイリで今も残る健康被害」
 https://www.dailymotion.com/video/x5v8s53


チェルノブイリで今も残る健康被害20170729houdout... 投稿者 gomizeromirai

2017年8月7日

『 農薬空中散布が子どもを壊す 』

田中優無料メルマガより

■最初は「安全」、終わりは「超危険」

 「低毒性」の謳い文句で始まり、重篤な被害で禁止される。これが農薬のいつものパターンだ。ビル内の害虫駆除を理由にして撒かれてきたスミチオンなどの「有機リン系農薬」は、神経毒性が認められて下火になり、その後に伸びてきたのが「ネオニコチノイド系農薬」だ。これまた「昆虫には効くが、人間には影響がない」という謳い文句で登場した。そして全世界的なミツバチ失踪の原因物質の一つとなった。

 日本では単位面積当たりの農薬使用量が世界で中国・韓国に次いで三番目に高く、有機リン系に続いてネオニコチノイド系が使われた。しかも両方を混ぜて使う事例も多かった。

 それが脳細胞の神経伝達に影響を及ぼし、子どもたちのADHD(注意欠如・多動性障害)などを多発させているという報告がされたのは。ミツバチの失踪が問題になった後になってからだった。特に幼少期であればあるほど、脳細胞への影響は大きくなる。

 それについて、千曲市で現実に起きてしまっている事態があるので、「松本の松枯れを考える住民の会」にある動画から一部書き起こしてその実態をお伝えしたい。


■千曲市の小学校での実態 

「私は、千曲市在住で2015年まで薬剤空中散布を行っていた場所のすぐ近くに住んでおり、高1、中1、小4と3人の子どもがおります。2番目の子どもである次女が今年の3月まで通っていた小学校のクラスの子どもたちの状態についてお話したいと思います。この子たちのクラスは保育園のときから問題があると言われていました。特別支援の先生が必ずついていました。

 しかし先生たちからの説明は私たちに一切ありませんでした。保育園の頃から、園庭のど真ん中で大騒ぎをしている子がいたり、教室の中にいなければいけない時間でもいない子がたくさんいたりしました。小学校1年生に上がってからも同様でした。

 小学校では1クラス27人ですが、授業の時に騒いでしまう子、教室中に外にいる子、遠足の時でも班行動ができない子、教室も団体で行動ができず、自由時間を設けないと成立しないような状態でした。たまたま娘の忘れ物を私が届けに行った時のことです。クラス担任だけではどうにもならず、教頭先生と校長先生も子どもたちを見ていて、隣の部屋を段ボールで仕切って、子どもたちを一人一人を囲って何かをしているという様子を見てしまいました。それを見たときに、どういう教育なのかとすごくビックリして、すぐ先生に聞きました。

 すると先生は、「それはプライバシーの問題なので話せません」と言いました。
おかしな光景を私が見たにもかかわらず、学校側は説明は遠慮させてもらいたいという事でした。自分の子が他の子たちと同じ教室で一緒に勉強をしている状況に置かれているにもかかわらず、保護者には知る権利がない状態なのです。

 小学校5年生の頃は、1組27人のうち、1人が子ども病院を入退院していましたので残り26人でした。しかし全員で授業を受けられる状態ではなく、別々に授業を受けていました。

 まず言語障害といったはっきりとわかるような障害を持つ子たちが2人いました。次に、7人のクラスがあります。その7人をさらに2つに分けています。
4人は不登校になりそうな子たちで、娘曰く、国語と算数が著しくできない子たちです。みんながいる教室の方に来る時もありますが、その時の気分や来られる授業だけ来て、あとはお菓子作りとゲーム遊びをして、とにかく学校から出ていかないようにしています。授業ではないのです。もう半分の3人に加えて違う学年の子もいます。とにかくじっとしていられず、教室にいられない、個別に先生が見ていなければならないような子たちでした。

 残り17人のうち、9人の子たちが普通に授業が受けられますが、8人の子たちは教室から出てしまったり、おとなしくじっと座っているけれど全然勉強ができなかったりという状態でした。でもかろうじて教室にはいられるから、一緒のクラスになっていたようです。

 つまり1組27人のうち普通に授業を受けられるのは3分の1の9人だけで、あとの子は授業にならないのです。担任の先生は時折教室を出てしまったりする8人の隣に、授業を受けられる子9人を座らせ、授業を成り立たせようとしていました。

 そのため私の子は、「隣の子の面倒を見ながら授業を受けている」と言っていました。普通に授業が受けられる子は「優等生」のような扱いでした。

 私は2011年頃に「農薬の空中散布」に関心を持ち説明を受けましたが、市からは散布した後は安全だと言われました。6月に農薬を散布する日が、ちょうどプール開きという時もありました。散布の連絡は有線放送だけで学校からの連絡はなく、先生たちの認識も全然ないという状態で散布され、散布当日もプールには前日から水が張ってありました。」


■子どもたちが壊される

 今や学習障害(LD)、ADHD、自閉症などは多発するようになり、世界的にはその原因は農薬などの外部環境に求めるしかないと定説化している。以前は「自閉症遺伝子」や「母親の育て方」に原因を探し回った時代もあったが、どれも一部を説明するものでしかなかった。今では有害化学物質の影響が大きいと考えられている。

 有機リン系、ネオニコチノイド系農薬は、どちらも神経伝達を阻害して虫を殺す。有機リン系もネオニコ系も神経伝達をオンにし続けることで阻害する。これが脳の発達障害を招き、ADHD、知能低下、自閉症を招く。

 この農薬がガーデニング、コバエ取り、ペットのノミ取り、家の木材の木材処理やシロアリ防除にも使われている。見渡せば殺菌・殺虫剤まみれの家庭は、農薬に囲まれているのだ。残留性が高く、種類によっては数年持続し、しかも水に溶けやすいので野菜の表面ではなく中身を汚染する。だから果物、お茶、野菜は洗っても落ちない。それが子どもの脳を襲うのだ。

 松本市では一部地域の空中散布を延期したが、それでも散布を中止してはいない。そこで地域の市民は提訴した。そこまでして農薬メーカーを擁護するのはなぜなのだろう。子どもより大切なものとはどうしても思えないのだが。



☆★ こちらの情報もご参考ください ☆★

グリーンピース
「ネコのノミとりにも? 身近にあるネオニコ商品」 より抜粋
http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/blog/staff/blog/48766/





子どもの脳や発達神経への悪影響や、
ミツバチの大量死の一因でもあるネオニコチノイド系農薬。
わたしたちの身近な生活にも潜んでいること、知っていますか?

農薬(殺虫剤)により野菜や果物に、
ネオニコ系農薬が残留していることはご存知かと思いますが、
犬や猫のノミとり、ゴキブリやアリの駆除、
そして台所に置くコバエとりやガーデニングの肥料にまで使われています。

すでにヨーロッパやアメリカでは、
ミツバチの大量死とネオニコチノイド系農薬の関連を重く見て、
暫定的に使用禁止されています。


けれども、日本では未だに何も対策は取られておらず、
多くの農薬メーカーが販売を続けています。

農薬メーカーの一社である住友化学は、
「EUのネオニコチノイド剤規制に対する住友化学の見解」という声明を出しており、
ネオニコチノイド系農薬とミツバチの死に因果関係は無く、
EUの措置は行き過ぎだと批判しています。

しかし、因果関係が決定的になってから規制するのでは手遅れです。


身近にあるネオニコ商品(カッコ内はメーカー・販売元など)をまとめてみました。

ネオニコではないものの、似た分子構造を持ち、
EUで規制されているフィプロニルも含めています。