2019年12月26日

2020年度「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」 の公募中です


2020年度「ネオニコチノイド系農薬に関する企画」
の公募が始まりました!


ネオニコチノイド被害の問題点が大分解明されてきています。

来年は「今年度は、引き続き「調査・研究」カテゴリーに重点を置きつつ、研究成果を一般向けに伝える「広報・社会訴求」カテゴリーも対象とします。ぜひご応募を。




▼応募要項、申請書などの関連書類一式はこちらからダウンロードしてください。

https://www.actbeyondtrust.org/program/kobo2020/



1. 応募資格:
 ネオニコチノイド系農薬(およびフィプロニル)に関する問題提起や、使用の削減 ないし中止に取り組む個人および団体(ボランティアグループ、NPO/NGO、公益法人、研 究機関、生産者など。地域、法人格、活動実績は不問) 

2. 助成分野と金額: 
調査・研究部門もしくは広報・社会訴求部門(いずれかを選択)
 1 企画あたりの助成額:上限 100 万円 

3. 助成対象期間: 2020 年 4 月 1 日~2021 年 3 月 31 日の間に実施される活動 

4. 応募受付期間: 2019 年 12 月 4 日~2020 年 2 月 3 日 

5. 問い合わせ先: 一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト 助成係 
電話:070-6551-9266(10:00~19:00) 
Email:grant@actbeyondtrust.org 
http://www.actbeyondtrust.org 
https://www.facebook.com/actbeyondtrust


--*--*-*--*--*--*--*--*--*--

なお、abtではネオニコチノイド系農薬の問題点について当法人サイトに独自のアーカイブ(資料集)を設け、科学者による知見と参考文献を一般向けにまとめたダイジェスト版「ネオニコチノイド系農薬の危険性を、科学者が警告しています。」(2019年度版)も用意しました。世界的な研究動向は日々進展していますが、応募の検討材料にしてください。

◆ネオニコチノイド系農薬問題アーカイブ
http://www.actbeyondtrust.org/link/

◆ネオニコチノイド系農薬の危険性を、科学者が警告しています。
https://www.actbeyondtrust.org/wp-content/uploads/2019/11/alert2019.pdf

2019年12月25日

ドキュメンタリーフィルム「Independent Living」

12/15発行の有料・活動支援版メルマガ「田中優の未来レポート」はこちらです。

これ、障害者の方への私たちの思い上がりでは?という場面も紹介しています。

本文より一部公開中
です!↓

第200号
『 ドキュメンタリーフィルム「Independent Living」 』


ぼくの三男(田中悠輝)が映画監督になって、初めてのドキュメンタリーを撮った。タイトルは「Independent Living」と言って、同名の世界的運動の一部を映した。








そう言われてもそんな運動は知らないかもしれない。何かというと、世界的な運動である「Independent Living」は、障害者の自立生活運動だ。それは以下の三つの自立生活をめざしている。


1.ライフスタイル選択の自己決定と自己管理の権限を障害者本人がもつこと
2.自立生活に必要な能力をもつこと
3.施設や病院ではなく,地域の中で通常に生活することだ。


ちょっと自分事として考えてほしい。もしあなたが何かの事故で脊椎を損傷したとする。それ以外の原因であっても関係ないが、ここではわかりやすく脊椎損傷(以下、「脊損」と略す)にしておこう。


そうすると全身が麻痺してしまう。首から下が思い通りに動かせなくなる。するとあなたの暮らしはどうなるだろう。

最初に病院に入院する。そこでリハビリの努力をするだろう。しかし完全復帰は見込めない。神経の束が通る脊椎を損傷してしまったからだ。リハビリに効果があるのは事故から間近い時期で、それを過ぎるとますます復活しなくなる。家族がいなければ病院に長く留め置かれるかもしれない。家族がいてもその負担は厳しすぎる。やがて施設入所を勧められることだろう。


生きるために必要なことはヘルパーさんに任せられる。しかし何をヘルパーさんに頼むかは自分の自由だ。しかしこれまではそうではなかった。障害者という枠組みは、ほとんど自動的にその人の意志を顧みず、障害者の生存を確保すればよく、生存し続けたいという意志以外の意志は無視されていた。もちろん実際のヘルパーさんにはとても親切でいい人が多く、いろいろな思いに対応して世話してくれる。


(中略)


私たち健常者は自分の狭い感性の中でしか彼を理解しないし、私たちの思いあがった常識的なものに閉じ込めようとする。

「障害者はそうして生きるだけで満足していて、劣悪な条件の中で懸命に努力するものだ」というような考え方であり、まるで健常者だけが堂々と生きられるように思っていて、障害者をまるでその傍らにある「刺身のツマ」のように思っているのではないか。障害者をそのようなものとして「感動のための題材」のように扱うことを「感動ポルノ」という言い方をすることもある。


この「感動ポルノ」が成り立つのは、多くの人たちが障害者を無力で何もできない、させられない人と思い込んで、「障害者」という枠の中に押し込めるせいだ。・・






▼映画「Independent Living」 



予告編動画 https://youtu.be/pTnmMiu1Jb4  





クラウドファンディングページ https://readyfor.jp/projects/out-of-frame   


劇場公開は来年2020年 1月11日から  、 

[大阪]第七藝術劇場(1月11日~)  
[東京]ユーロスペース(3月スタート)  

ほか全国劇場にて上映予定です! 


゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ *

↓メルマガの続きを読むにはこちらより↓

12月中のご登録で、無料でお読み頂けます!

https://mypage.mag2.com/ui/view/magazine/161955006?share=1

2019年12月9日

12/21(土)天然住宅完成見学会@中野区 午後の部は田中優セミナーも




14時からの回は田中優セミナーつきです


~住みつなぐ家~


お母様から娘様へ、そしてお孫様へ。
ぜひ住みつないでいってほしい。そんな家です。


親子3世代で伐採していただいた大黒柱を中心に、2階リビング空間が広がります。
畳スペースには回転障子を設け、開けたり閉じたりが可能な空間に。

家事がしやすいように、洗面室・キッチン・リビングの動線は流動的にしています。


くんえん杉のフローリングの下には、蓄熱式の床暖房。
壁は内外ともにシラス壁。外部の木材には自然由来の塗料を塗っています。


その他、すまうとさんとのプロジェクト「住まいの道具」によるタオル掛けなど、細かいところにもこだわった御宅です。


★建物データ
敷地面積:127.79㎡(38.66坪)
延床面積:149.27㎡(45.15坪) ※ロフト含む
間取り:3LDK+ワンルーム
工法:木造(強化筋交い)


■日時 2019年12月21日(土)
10:00~11:30 (予約制見学会)
11:30~13:00 (予約制見学会)
14:00~16:00 (見学会+田中優セミナー)


■場所 東京都中野区
西武新宿線「新井薬師前」駅から徒歩5分


■参加費 無料


■お申込み
下記フォームよりお申込みください
https://tennen.org/event/1221araiyakushi.html

2019年12月6日

人はいつ死ぬのか ~中村哲さんの死を悼む前に~

この度の中村哲さん訃報についての田中優コメントを2019.12.6発行の無料メルマガで配信しました。

 ペシャワール会の中村哲さんが銃弾によって殺された。

 ぼくはJVC(日本国際ボランティアセンター)の理事をしていたので、中村さんとは面識もなかったが同じアフガンの支援活動で知っていた。それ以前から素晴らしい活動をしている人だと感心していた。

 今回銃弾に倒れてとても残念に思ったが、SNSで見るような大げさに感じるほどの感銘はなかった。  


 気になるのはその人たちの大げさに見える悲しみ方だ。人は肉体が滅した時に死ぬと思うのは私たちがとらわれている社会常識だ。しかしそれは地によって大きく異なる。マレーシアの先住民たちは、死んだときに悲しみはするが死ではない。死はその人が人々の記憶から失われるときに訪れるのだ。  


 それに倣うなら中村哲さんは私には生きたままだ。そのやや過激に思えるほどの主張も、何に憤るのかという気持ちも生き続けている。だから彼が許せなかった政権の行動も主張も、血となり肉となって私の中に生き続ける。  


 思うのは大げさに悲しむ人たちが、その生き方を継承しているかどうかだ。涙を流した後、すぐに死なせてしまうのではないかと心配に思う。  


 これは自分が還暦を超えたから思うのかもしれない。マレーシアの先住民のように、生きたいと思うのだ。私が人々の思いの中に生き続けたいと願うように、中村哲さんもそう思うのではないか。そうでないと肉体を滅した途端に無に帰してしまうからだ。  


 その生き様に共感してほしい。できれば同じように生きてもらえないかと願うのだ。私は中村哲さんのような素晴らしい活動は残せなかったが、それでも自分なりに頑張ったし何よりまだ生きている。明日の活動を決められるチャンスを持っているのだ。  


 中村哲さんが生きているならそう願うだろう。死とは終わりではない。
終わりは人々の記憶の中から消えるときに訪れるのだ。忘れずにいて、その思いを実現する一助になれたらいいと思う。


--*--*-*--*--*--*--


▼「武器ではなく命の水を」  追悼番組 放送決定しました

NHKドキュメンタリー 中村哲さん

2019年12月7日(土) 午後11時00分(60分)
2019年12月12日(木) 午前0時00分(60分)

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259690/index.html



▼「武器ではなく命の水を 医師中村哲とアフガニスタン」
https://youtu.be/Fu_iiTKIeos


この動画、以前観てとても良かった。
医師の中村哲氏がなぜ土木屋さんになっていったのか。
ぼくもこういう方向性の努力をしたいと思う。




▼「【京都環境文化学術フォーラム】記念講演(中村 哲)」
https://youtu.be/zuEY9Ib9wAM

中村哲さんの思いと願い。
このビデオにまとまって語られている。




▼中村哲さん「戦よりも食糧自給」を

https://tanakayu.blogspot.com/2014/10/blog-post_35.html より





この同じ場所での二枚の写真、すごいなぁ。
ブルドーザーに乗る医師。

中村哲さん
「私は医師ですけれども、普段はブルドーザーに乗っています。」

緑が戻った村には、次々と人々が帰ってきます。
動物たちも水を求めてやってきて、
砂漠の中に文字通り「オアシス」が誕生したのです。

「戦よりも食糧自給だ」と、中村さんは力強く語ります。



2019年12月4日

「想定外」の危険な災害

2019.12発行 メルマガより

 
多くなる災害廃棄物

 今年の台風の被害は大きかった。

 連日テレビに映る被災地では、水害後の道路にはうず高く廃棄物が置かれ、ほとんど丸々一軒の家屋が廃棄物となっている。  

 畳を上げ、床を剥がし、床下や壁の内側に使われたベニヤ板を捨て、停電で腐った冷蔵庫の食品も、もちろん水を浴びた電化製品や家具類もまた廃棄されている。  

 前から災害のたびに、これほど大量の廃棄物が出されていたのだろうか。 もちろん水害のせいもある。水害では自分の命を守るのにやっとで、家財など命に比べたら物の数ではないだろう。それにしても家一軒丸ごと廃棄物にすることはなかったのではないか。しかも水害の保険は加入していたにしても床上浸水でなければ保険金が下りず、床下までは保険の対象にならない。   

 どうやらこれは家の造りに原因があるようだ。今の家は集成材で作られ、ベニヤ板で補強され、家具もMDF(中密度繊維板)と呼ばれるは、木材チップを原料としてこれを蒸煮・解繊したもの に合成樹脂を加えて成形したものだ。 

 これらのものは水に触れると膨れ上がって歪み、元の形に戻らなくなる。しかも樹脂が固める際には防腐剤を大量に加えているはずなのに、腐ってカビだらけになって、気味の悪いとりどりの色になる。 

 昨年ぼくの住む岡山にも水害があり、手伝いに行った人々が嘆いていた。無垢材で建てた家は洗って干せば使えたし、歪んでいるなら削って直せたのだが、今の家はどうにもならないと。 そう、かつては再生できたのに、最近建てられた家ほど捨てるしかないのだ。 これは建物の話だが、修復が効かないものが社会全体を覆ってしまっているようだ。


 
何が洪水を防いだか

 東京の東側にある利根川水系では水害が少なく、西側の世田谷区・大田区、神奈川県川崎市では水害が大きかった。調べてみると水害の防止に大きく役立ったのが、利根川水系にある「遊水地」だった。鉱毒事件を発端として作られた渡良瀬川添いの遊水地や、周辺の遊水地が溢れる水を一時的に貯留し、水位が下がると川に戻して水害を防いでいたようだ。   


 政府は偶然「試験湛水中」だった八ッ場ダムのおかげで洪水が防げたかのような宣伝をしているが、もしそうならダム建設後に予定している水位では、洪水防止効果はほとんどなくなってしまう。

 しかし今回の豪雨でも八ッ場ダムの貯水効果は、利根川中流域でもわずか17センチほどしかなかった。 もともと河川水位から見て、水害を心配するレベルには達していなかったのだ。 ダムが川の水位を下げる効果は下流に行くほど小さくなるので、八ッ場ダムは東京の洪水防止には影響しなかったのだ。   


 多摩川水系には遊水地を造れるほどの余地がなく、しかも堤防が決壊しないように造られてなかったことが被害を大きくした。しかし「堤防」を決壊しないように造ることはできるのだ。 旧建設省が二年間だけ採用していた「フロンティア堤防」というものがある。 河川が越流し、堤防を溶かして大水害にしまうことで被害が拡大するのを防ぐのに、堤防の天端に鋼矢板を刺して補強し、堤防の弱点となる住宅地側のり面(裏のりという)を安価なシートなどで保護して補強すればよかったのだ。ところがそれは「(簡単に対策できるので)ダム建設の妨げになる」という理由の反対があり、そしてお蔵入りしてしまった。   

 今回の水害で、長崎県で建設を推進している石木ダムの担当課長が、「相次ぐ大型災害はダム建設にとって追い風」という発言をして問題になった。後に撤回したが、この発言のように、水害はダムを造るための理由として利用されている。ダムよりもっと安くて簡単な方法があるのに、彼らの利権を守るために無視される。 

 もし川の水位上昇が心配なら、河床を掘削して水位を下げられるようにすればいい。放置して河床を上げるから、水害時の越水を心配しなければならなくなるのだ。 ダム推進のためにすべきことを怠り、対策をなおざりにする。


 
「事前放流」せずに「緊急放流」する  

 もう一つ気になるのがダムの運用だ。ダムは事前に放流して水位を下げておけばそれだけ貯められる量が増える。しかしダムは完璧な対策ではないから、ダムが大きくなるとそれだけ万が一の水害を大きくする。「安全保障のための軍事拡大」のようなイタチごっこを招くのだ。安全性を考えてダムを大きくすると、万が一の際の被害を大きくする。   

 それに加えて危険にしているのが「多目的ダム」だ。洪水防止が唯一の目的ならダムを空にしておくのがいい。ところが発電目的や工業・農業用水目的が加わると、貯まった水は「おカネ」と同じになってしまうのだ。   

 事前にダムの余力を作るための「事前放流」も、それらの関係機関と協議してからでないと「事前放流」ができない。いよいよこのままではダムが破壊されるという時点になって、「緊急放流」して貴重な人命や財産を危険にさらすのだ。緊急放流の怖さは昨年の愛媛県・肱川や岡山の高梁川で嫌というほど目にしたというのに。   

 そんな中で突然に「記録的な短時間大雨情報」が出されるようになった。降水量は海水の温度に比例して大きくなり、しかも日本近海の海水温は上がり続けている。 地震の多い日本に原発が無理であるのと同じように、今後さらに短時間の降水が予想される日本の水害に、ダムで対策するのは無理になる。   

 「ダムで水を受け止める」という発想ではなく、「しなやかに流れを受け止められる」方向に進むべきだ。そのことは国や自治体だけではない。私たちがどこに住むかを考えるときにも、どのような家を建てるかを考えるときにも必要な発想になる。 今回、国も自治体も「想定外」という言葉を連発した。想定外の豪雨だとか想定外の台風とか。ならば想定すればいい。地球温暖化が進展している以上、その言い訳は通用しない。  

 私たち自身が問題を理解しないと危険な時代になった。 他人任せにはできないのだ。


 
イメージ