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2014年10月30日

「本当の履歴書(前編)」(田中優)


「 本当の履歴書 (前編) 」 (田中優)


 あまり自分から話したいとは思わない話だが、ぼくは中卒から働いていた。
 
いったんはいい高校に入ったのだが、どうにも合わなくて辞めてしまったからだ。
親に養われているのがイヤで、早く独立したいという思いもあった。でも独立し
て自ら生計を立てるなんて無理だった。ただ命令通りに体を動かすだけなのだ
から。

 その頃勤めていた町工場の名前をインターネットで検索してみた。そこは比較
的大きな工場だったが、多角化に失敗して2002年に倒産していた。もしそのまま
勤めていたとしても、旋盤工のぼくはクビになっていただろう。


 体力以上に辛かったことは、希望がない暮らしだったことだ。

 まず周囲の中卒で働く仲間たちは、未来に絶望している。今言われるとおり
に動くことに慣れようとしている感じだった。そして一足飛びな夢を見る。「オレ
は世界のヤザワみたいになって、世界の高級車を何台もガレージに並べて暮
らすようになるんだ」と、楽器のひとつも使えないのに言う。


 考えることは一攫千金ばかりになり次第にギャンブルにはまっていく。人に
よっては借金地獄にはまって消えていく。先輩と呼ばれる人たちがすでにそう
だ。一緒に行くかと誘われて、たどり着くのは立ち飲みの酒屋。何か話がある
のかと思っていれば、自分ひとりでギャンブルに夢中になっている。


 ぼくの乏しい収入では、安いアパートに住むことしかできず、アルミサッシの
窓のあるアパートに住みたかった。風が吹くと、カタカタ鳴る窓が憎らしくて仕方
なかったのだ。そんな夢を持つのがせいぜいだった。


 与えられる仕事は毎日同じものを製造することばかり。ところがその肝心の
製品自体がどんなものなのか知らない。自分がどんな製品の、どんな部分を
作っているのかもわからない。だから創意工夫のしようもない。 ただ限りなく
続く「徒労」のような仕事の中で、時間とそれに対する給与とを秤にかけて過ご
す。


 ただ、そんな中でもいつか自分らしくなりたいとは思っていた。


 追われるようにして出てきた故郷のうわさが耳に入る。一緒に悪いことをして
いた不良仲間だった○○が死んだと。盗んだ車で人をひき殺して逃げる途中で
列車にぶつかって死んだと。同じ夜間高校の知り合いは、新聞の殺人事件の
欄に犯人として名前が載っていた。


 どうにもならない暮らしの中で、夢もなく生き続けるのに耐えられなくなって
しまったみたいに。


 実際、不良仲間と話していると、たいがいこんな話になる。「オレは大型のタン
クローリーで町をつぶしながら走り続けて、最後には町を全部炎上させて新聞の
一面に載るんだ」と。


 バカげた話だろ?

 でもまじめに話していたんだ。誰からも思い出されもしない、忘れられた若者
たちは、そんなことであってもいいから自分の存在を感じさせたいんだ。


 一方で親しかった優秀な友人たちのうわさも耳に入る。ぼくはまだ高校一年生
をしているというのに、友人たちは大学の話、そして聞いたこともない本と著者の
名を話題にしている。


 ぼくはなにをしているのだろう。なにがしたかったんだろう。


 実際、自殺したいと考えた時期もあった。このどっかで間違えた人生をチャラ
にしたかったんだ。とても好きだった彼女にふられて、生きていくことの意味も感
じなくなっていたから。もう何もしたくなかった。どうなってもいいと思っていた。
どっかに隠れてしまって、この恥ずかしい自分という存在を、目に見えないもの
にしたかった。


 でも半年すると、自分の内側に生きたいと思う衝動が生まれてきた。ふとこう
思った。『もう一度彼女に会うことがあるとしたら、絶対に惚れられるような男に
なっていたい』と。 恥ずかしい自分に、もうひとりの理想形の自分を別に置いた。
ある意味、「離人症」に似ている。


 なるべき「田中優」を、この恥ずかしい田中優の外に作ったのだ。

 
 そこからだったかもしれない。これまで臆病で受験できなかった「大学入学資
格検定(大検)」を受け、「初級公務員」の高卒程度の試験を、まだ夜間高校の
2年生で受けた。試験に合格し、初めてデスクワークの仕事に就いた。


 実はそれまで、仕事を終えてから何か別のことをしたいと思っていても、それ
だけの体力が残らなかった。特に20キロある砂糖袋をトラックから投げられて、
それを次々運ぶ仕事をしてからは、椎間板ヘルニアになってしまっていた。
合計2トン以上の砂糖袋を下で受け取っては積み上げていく。少しでもよろけれ
ば「箸より重いもん、持ったことあんのか!」と怒鳴られた。


 それでも超能力を信じるみたいに、自分の限界を超えるつもりで頑張り続けた。
椎間板ヘルニアとわかるのは今だからで、当時は動けない自分を責めていた。
認めれば自分はもう健常でないことになるし、認めなければ自分を怠け者と感じ
るしかなかったから、無意識に考えることを避けていたのだろう。

 だから、デスクワークになったときにはうれしかった。仕事を終えてもまだまだ
体力・気力が残るのだから。


 そこからは、他流試合をなるべくするようになっていった。内にこもるのではなく
外に、人に従うのでなく自分の考えを。大検で大学受験資格を得ると、今度は大
学受験のための勉強を始めた。しかし自分ひとりだけだ。競争相手も仲間もいな
い。そこでさらに生活を忙しくすることで、自分の中に焦りを作りだして勉強するこ
とにした。


 そこで通ったのが自動車教習所だった。仕事の後に夜間高校の片手間に退屈
極まりない講義を受けるのだ。時間はなくなり、講義の退屈さが自分を勉強に駆
り立てた。


 大学は夜間に行くことにし、幸い希望していた法政大学法学部に合格した。昼間
勤めながら夜通うのだ。しかしすぐにイヤになった。大学は友達もいなければ拘束
もない。そんな中で退屈な授業を受ける気が起きなかった。

 さらに夜間高校に行っていた頃から、それは「本物の高校」ではないように感じて
いたのだ。本当はレベルが格段に低いのに、高校のふりをしているだけの。大学
だって同じだ。そのコンプレックスがイヤにさせていた。

 通わずに一年後、退学するつもりでいたぼくのところに小包が届いた。大学から
だ。「大学の後期試験が、学生運動によって中止させられた。ついてはレポート試
験に切り替えるので、レポートを書いて出すように」と。内容を見てみると、ほとんど
が課題の本があり、それを読んでレポートを書けというものだった。


 『これはチャンスかもしれない』と思った。


 それまでどこの学校でも、自分の意見を言えば否定された。「だっておかしいだろ」
と言えば、「おまえは協調性がない、不良だ」と言われてきていた。だから自分の意
見を思いきり書いて、それで否定されるならそれまででいいと思ったのだ。

 しかし意外なことが起きた。
 自分の書いたレポートが、ことごとく高い評価を得たのだ。生まれて初めてだった。
自分の意見を肯定され、評価されたのは。


 「自分の考えを作っていいのか、それで評価してもらえるのか」とうれしくなった。そこ
からぼくは大学に次第にまじめに通うようになっていった。

 「それでも夜間の大学でしかない」という思いは、ずっとついてまわっていた。中卒
から仕事を始めて10年近く、自分は一度も自由に生きてきたことがないように思って
いた。そこで大学卒業と同時に仕事を辞めた。・・・



「本当の履歴書(後編)」へ続く。

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こちらの「本当の履歴書(前編)は、
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2014年10月28日

蕎麦(ソバ)の放射能汚染に注意


田中優より
「温かいのはうどんが好きで、冷たいのはソバが好き。
ソバが放射能集めるのは知ってたけど、
安い店でたべるソバはほぼ内モンゴル産なんだよな。
「だから大丈夫」というのはちょっと悲しい。。」

※補足:内モンゴルは地表をはがすと石炭といわれるほど石炭が豊富で、
温暖化と公害から見ると最低ですが、それでも原発よりはマシだと思います。
というわけで内モンゴルには原発はありません。

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▼真実を探すブログ 


放射能測定をしている会社である「ホワイトフード」が新しい放射能汚染地図を公開しました。今回の放射能汚染地図は「蕎麦(ソバ)」をメインにした地図で、厚生労働省が発表している放射能検査結果のデータを可視化した物です。地図を見てみると、福島はもちろん高いですが、他にも宮城や茨城、千葉などの各地でも同じ様な高い数値となっていることが分かりました。
検出された放射性セシウムは流通品も合わせて一キログラムあたり12.9ベクレルとなっています。また、非流通品の中には100ベクレルの基準値を超えた物が9件もあったとのことです。・・

周囲を絶滅させる農薬 減農薬でもネオニコチノイドはやばい


◆◇ 田中優より ◇◆

「ラウンドアップって、周囲「ラウンド」を絶滅「アップ」させる意味だよね。
確かに飢餓状態をつくります。
ネオニコチノイドは減農薬で使われるから、よりまずいとも言えるけど。」






2014年10月27日

11/9(日)天然住宅セミナー「ワクチンは本当に必要?」@もあな保育園



※田中優は出席できません。


*天然住宅セミナー*
暮らし+リンク @森のようちえん もあな保育園
「ワクチンは本当に必要?~しっかり学んで子どもを守ろう~」
子どもが重い病気にかからないように行われている予防接種。
予防接種には国から推奨され公費負担の「定期接種」と
自費で行う「任意接種」がありますが、
「定期接種」といっても義務ではないため、
最終的に受けるかどうかは、お父さん、お母さんしだい。 

とはいえ、ワクチンに対して疑問を持ちつつも、
予防接種のタイトなスケジュールを前に、
考える間もなかったという人もいると思います。
今回のセミナーでは、まずワクチンに関する情報を
知ってもらいたいと思っています。

ワクチンがどんなもので作られているか、
「抗体をつくる」ことの意味、国内外のデータからみるワクチンの必要性など、
高野医師、佐藤千佳さんにお話ししてもらいます。

その上で、小児病にかかることの大切さや、
ウイルスとの共存関係についても勉強していきたいと考えています。
相根昭典からは、住宅という視点から、ワクチンに頼らない自前の免疫力、
健康な身体をつくるための提案をしていきたいと思っています。
不安は知らないことの中から生まれます。
まずワクチンが何なのかを知っていただき、
納得の行く暮らしの糸口を見つけてもらえればと思います。
子どもたちのために、どんな選択をしていくべきなのか一緒に考えていきましょう。

開催概要

開催日程:11月9日 日曜日
時間:13時半から16時半(3時間)
参加費 : 一人2000円(一家族3000円)
※中学生以下のお子様は無料です。
●プログラム●
1 ワクチンの中身、副反応、制度など基礎的な問題のお話
2 免疫力や自然治癒力からみるワクチンが必要ない理由のお話
3 こんなに危険!!な現代住宅。免疫力を下げない住まいのお話
4 質疑応答・トークセッション
●登壇者ご紹介●

高野弘之さん http://ikejiriclinic.jp/index.html
内科・小児科医。
自治医学大学を卒業し、国立長崎中央病院((現長崎医療センター))で研修後、
長崎県内の離島で主に小児科医として勤務。2012年5月に池尻クリニック
(内科・小児科)を開業。
基本的に保険診療範囲内の診察や検査や処方を行うが、時間をかけて問診して、
通常の西洋医薬の使用以外で出来る対応を検討し、
体に負担になる薬の使用を極力避けられるように努めている。
「ワクチンを打たない小児科医」としてワクチンの啓発にも取り組んでいる。
小学生2人のお父さんでもある。
佐藤千佳さん http://ameblo.jp/green-note-page/
自然療法士。
主にアロマセラピー、メディカルハーブ、フラワーエッセンスなどの
植物療法を中心にセミナーを開催。
薬などの化学物質を安易に身体に取り入れることをせず、
自然なもので自然治癒力を引き出す方法を伝えている。
予防接種の問題を市民に伝える啓蒙活動を行う一方で、
県や市などに子宮頸がんワクチンの即刻中止を求める行政交渉を行ったり、
厚生労働省に赴き予防接種法改正を求める活動をしている。
相根昭典 http://tennen.org/
一般社団法人 天然住宅 代表。一級建築士。
住宅での化学物質汚染に危機感をもち、東西医学・民間療法等を幅広く研究し、
健康住宅を提唱。
健康住宅の設計・監理業務に加え、無・低公害建材の 研究・開発、
コンサルティングを行う。
現在、循環型社会を目指した森林復興とエコ建築
やエコヴィレッジの具現化に
重点を置き活動している。
著書『健康な住まいを手に入れる本』『天然住宅から社会を変える30の方法』
 
●会場のご案内●
もあな保育園  www.moana-nursery.com 
神奈川県横浜市都筑区中川中央1ー38ー10 
ルモーデセンター北1階  
横浜市営地下鉄 「センター北」駅下車3分 
渋谷から…約34分 横浜から…約22分
※もあな保育園は、自然環境の中での保育を行っている森のようちえんです。
「食育」と「木育」に力を入れており、園舎のリフォームを天然住宅がお手伝いしました。
床には国産の杉板が敷き詰められ、子どもたちが使用するテーブルにはたくさんの
種類の木が使われています。
カーテンもオーガニックコットンを使うなど、
子どもたちが過ごす空間をとても大切に考えてリフォームされています。

「暮らし+リンク」とは

天然住宅が住宅を通し提供したいのは、安心安全な「暮らし」です。
「暮らし+( と) リンク」では、衣食住を中心に様々な分野の方々とコラボレーションし、
色々な切り口で、皆様の「暮らし」をより豊かなものにする提案をしていきたいと思います。

申し込み方法・問合せ先

■お申し込み■
http://www.tennen.org/tours/141109/ よりお申込みいただけます。
■お問合せ先■
天然住宅(担当:田中・井上)
メール info@tennen.org 
電話 03-5726-4226
※ なるべくメールにてお問い合わせ下さい。


2014年10月25日

プロサバンナ現地報告会(日本のODA事業)


田中優より

「プロサバンナ現地報告会(日本のODA事業)のお知らせです。
ご都合のつく方はぜひ参加ください」



<<日本のODAによるモザンビークの農業開発事業
「プロサバンナ」に関する現地調査報告と提言>>



■日時  10月29日(水)16:30~18:30

■会場  衆議院第二議員会館 1F 多目的会議室

■参加費 無料

■参加希望の方は、
(1) お名前 (2) 当日連絡可能な連絡先 (3)ご所属を明記の上、
10月27日(月)午後2時までにメールもしくはFAXにてお申し込みください。

メール/FAXの件名は、「10月29日報告会申込」とご記入ください。
(特活)オックスファム・ジャパン(担当:森下)
電話:03-3834-1556 / FAX:03-3834-1025 / Email:media@oxfam.jp


http://www.ngo-jvc.net/jp/event/event2014/10/20141029-prosavana.html  より


「懸念の根幹」・・
この事業が住民の意思決定への参加や情報公開がなく、
アグリビジネスによる土地収奪に道を開くものだという点にあります。





「プロサバンナ事業」って?

 →田中優「援助の悪夢、ふたたび」をご参考ください
  http://tanakayu.blogspot.jp/2013/10/blog-post_7.html

2014年10月24日

11月の天然住宅バンクミーティング 

天然住宅バンク主催のミーティングです。
月に一度、天然住宅バンク代表、田中優を中心にミーティングを開催しています。
非営利バンクの金融の仕組みを利用しながら様々な活動につなげていくための
ミーティングです。
どなたでも参加いただけます。

--*--*-*--*--*--*--*--

■日時:
11月7日(金) 午後7時00分~午後9時30分  (開場:午後6時45分)

■場所:〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル4F

■参加費:
無料

▼お申し込みはこちらから
http://www.tennen.org/tours/1120/













2014年10月23日

2枚の写真より。中村哲さん「戦よりも食糧自給」を。


田中優「この同じ場所での二枚の写真、すごいなぁ。ブルドーザーに乗る医師。」


▼「砂漠を緑に変えた日本人!!
アフガニスタンで活動を続ける医師・中村哲さんの講演を聞いてきました」
http://youpouch.com/2014/10/12/228076/  より











中村哲さん
「私は医師ですけれども、普段はブルドーザーに乗っています。」

緑が戻った村には、次々と人々が帰ってきます。
動物たちも水を求めてやってきて、
砂漠の中に文字通り「オアシス」が誕生したのです。

「戦よりも食糧自給だ」と、中村さんは力強く語ります。

「我々はどこに行こうとしているのか?
 みんなで模索して、新しい時代を迎えよう」という言葉に、

会場からは大きな拍手が起こりました。



エボラ出血熱、アメリカの関与が暴露

田中優より 「あらゆる菌は漏れますね。」



西アフリカのエボラ出血熱に対するアメリカの関与が暴露
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/49213  

「アメリカ国防総省はあるカナダの製薬企業と1億4000万ドルの契約を締結し、
この企業にエボラウイルスの調査を依頼しました。
ブロデリック氏は、「アメリカ政府はエボラ出血熱の感染の中心地となっている
シエラレオネのケネマ州の都市部に実験場を持っている」と述べています。」


山口・平瀬ダム 計画から40年経て本体着工へ・・


田中優より
「記事の吉村さんに相談されていたのだけれど、ダムが止められない!
くやしいです。」





https://scontent-b.xx.fbcdn.net/hphotos-xfp1/v/t1.0-9/10424345_718653861546209_2278207424251890789_n.jpg?oh=88b48ea262efe66497acc76c4f07e574&oe=54EC6FAA より

2014年10月20日

『 「戦争経済」 復活を拒否する』

□◆ 田中 優 より ◇■□■□ (8/28発行田中優無料メルマガより)


『 「戦争経済」 復活を拒否する 』


■戦争待望論

 「朝鮮特需」を聞いたことがあるだろうか。戦後の復興期、焼け野原とな
った日本の復興のきっかけになったのが、1950年の朝鮮戦争と言われる。
そのため在朝鮮と在日アメリカ軍が日本に大量の物資とサービスを発注し
た。

 1950年から1952年までの3年間で10億ドル、1955年までの間接特需として
36億ドル、しかも一ドル360円で大卒初任給が8000円だった時代だ。この需
要によって日本の景気は一気に上向きになった。そのため長く、景気が下が
ると戦争待望論が出されていた。今なお経済界の保守系委員などから戦争待
望論が、出される。

 今の安倍政権が期待しているのはそれなのではないかという疑念が消えな
い。「失業が増えるなら戦争で軍需を、景気が停滞するなら戦争で回復を」
という考え方だ。事実今年6月、戦後初で日本の防衛企業14社が国際兵器
見本市「ユーロサトリ」に参加した。そこに武田防衛副大臣が出かけて行
き、「持っている軍事力を発揮できる環境を安倍首相が作ったのだから、
それを生かして成長していっていただきたい」と述べている。
「兵器見本市」を生かして成長するのは軍需企業以外あり得ない。


■加害する国へ

 今年7月、イスラエルによるパレスチナの虐殺が始まった。戦争と呼ぶに
は死者数が比較にならないほど違う。8月1日時点でイスラエル兵士50人に対
して、パレスチナはガザ地区で1340人、西岸地区で13人(8月13日では2000
人弱)。パレスチナ被害者のほとんどが民間人(多くは子ども)となって
いる。

 パレスチナの人々から接収した土地に住むイスラエルの入植者たちは攻
撃が始まると離れた土地に避難した。しかしパレスチナは8メートルの壁
に囲われて逃げ場がない。国連の敷地に逃げ込んだ人たちも建物ごと爆撃
され、14人の子どもが亡くなった。

 国境は封鎖され、物資が届かない上に唯一の発電所すら爆破された。
民間人の殺戮や国連、救急車、公共インフラの爆撃は、戦時国際法と人権
条約によって禁止されているのにお構いなしだ。国連で「イスラエル非難
決議」が可決されたが、支援するアメリカは唯一反対し、日本は棄権して
しまった。


 これまでは日本に関係のない「戦争」だったろうが、これからは違って
しまう。安倍政権は2014年3月、アメリカの進めるF-35次世代戦闘機開発に
資金を出すことにし、武器輸出三原則の例外として三菱重工の参加を認め
た。

 4月には武器禁輸政策を「防衛装備移転三原則」に変え、最初に「PAC
2(迎撃ミサイル「パトリオット」)」に適用して自由に輸出できるよう
にした。ミサイル部品はアメリカにパテントがあるため、目的外使用や第
三国への再輸出の事前同意を定めた三原則の例外となっている。

 つまりアメリカの判断だけで他国にも輸出できるのだ。そのアメリカの
最大援助供与国がイスラエルで、多くが軍事援助だ。イスラエルは新たな
武器の実験場としてパレスチナを使っている。今回も「DIME弾」という人
間を粉々にしてしまう兵器を使った。これまでの無人爆撃機に加え、動く
ものすべてを機銃掃射する無人小銃を設置した。

 未来は無人武器が残って、動くものすべてが抹殺される世界になる。
そこに精度の高い日本の通信技術が使われる。


 現実に2012年従来からの世界100大軍需企業の日本の常連5社に加えて、
「DSN」がランクインした。同社は「スカパーJSAT、NEC、NTTコミュニケー
ションズ」の3社の共同出資会社で、衛星通信を得意とする。

 三菱重工・三菱電機・川崎重工・東芝・IHI・NECなどの大軍需企業
は、自民党に多額の政治献金をし、見返りのように安倍首相の外遊に同行し
て各国と合意を取りつけた。これまで日本の軍需企業は「エンジン、ミサイ
ル、爆撃機、軍艦」のような、「重工」が主流だった。しかし今後伸びそう
なのがDSNのような通信・衛星技術だ。日本の兵器の精度は高いのだ。

 世界の兵器が「Made in JAPAN」になるかもしれない。世界の軍需企業の
受注額が減少する中で、ロシア企業に次いで日本の軍需企業だけが増額して
いる。アメリカがあまりの開発費の高さに持て余しているF-35を日本が分担
し、三菱重工が共同開発に参加した。このF-35はすでにイスラエルが購入を
予定している。


■戦争経済を拒否する


 これまで日本の軍需企業は兵器を作ってはいても、企業全体の売り上げの
10%を超えることはなかった。しかしアメリカの軍需企業は売り上げの8割
が兵器だ。アメリカの軍需企業は平時ですら全被雇用者の5%を雇っていて、
戦時になると30%を超す。いわば戦争が「公共事業」となっているのだ。
日本の公共事業の問題どころではない。アメリカの公共事業は「ヒトを殺す
こと」になってしまっているのだ。

 日本は戦前、経済界が必要とする資源獲得のために戦争し、軍需企業はさ
らに拡大していった。安倍政権は自らが憲法に縛られるべき行政の長だとい
うのに、内閣の勝手な解釈で集団的自衛権を認めようとした。これは憲法違
反で本来無効だが、今の政権に理論は通らない。アメリカに従属し、軍需の
おこぼれに預ろうとしているようだ。F-35に搭載するミサイルについてもイ
ギリスと共同開発を進めている。それはイスラエルに配備される予定なのだ。


 人々の血に染まった経済で潤う社会は幸せだろうか。このままでは日本の
軍需企業の売り上げの大半が兵器になる時代も近いだろう。多くの人が兵器
生産に携わり、「雇用を考えたら否定できない」などと今の公共事業のよう
に多くの人が語るようになるだろう。これが「戦争経済」だ。戦争経済にな
ることを今ならまだ拒否できる。自衛隊が人々のためと自衛に努め、兵器産
業の兵器比率が10%を超えない今なら。


 一方で私たちが自立した経済を作れるといい。営利目的の企業は本質的に、
利益のためなら残虐なこともする。無人爆撃機と無人小銃だけが残る世界は
悪夢だ。

 戦争経済を拒否するために、透徹した意志と現実を見抜く力が求められて
いる。


( 川崎市職員労働組合様へ寄稿したものを、好意を得て転載しています。)


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