2014年1月30日

『パラダイム・シフト~対立を乗り越える~』

『パラダイム・シフト~対立を乗り越える~』(田中優)


■ 一党独裁向けの政治制度


 2014年、新たな年に入った。
 年末年始を経て、新たな年もこのままでいいのだろうかと改めて思う。

「景気回復が大事」という人がいて、
「いや、それより人が幸せに暮らせる社会福祉が必要」という人がいる。

「原発の再稼働が必要」という人がいて、
「これ以上の事故はダメだ、廃炉せよ」という人がいる。
 
あげくには他方の意見を弾圧すべく、
特定秘密保護法が作られ共謀法制定が画策されている。


この構図は綱引きだ。
綱引きに負けたくないからルールを自分に都合よく変えていく。
一票の重みだけではない。小選挙区制や比例代表の当選者の数え方に、
被選挙人の供託金の高さ、政治献金、政党助成金に至るまでだ。

 こうして多数者に都合の良いルールの上に、選挙が成り立っていく。
おかげでわずか16%ほどしか票を得ていない自民党が、独裁政権と化していく。
自分は人気があると勘違いした民主党政権は、
このルールを変えられる千載一遇のチャンスを無駄にした。

 なぜこんな社会になってしまったのだろう。



■綱引きからパラダイムシフトへ

 この仕組みは平らな地平線の上で綱引きを行っている構図だ。
AとBとが綱引きをしていて、自分の陣地に引き入れることばかりを狙っている。
これは民主主義の地平ではない。
民主主義の地平では、綱引きの先に別な次元の解決策を求めていく。

そもそも景気回復して人々が豊かになることと、
福祉政策で人々が豊かに暮らせることとは矛盾していない。


つまり景気回復と社会福祉は対立するものではない。
対立したもののように見せているのは、
「会社エゴイスト」が自分・自社の利益に奔走しているためだ

 

それならばその二つを統合したひとつ上の舞台で実現すればいい
景気回復と社会福祉の両方を実現していく方法を考えていけばいい。
同じ地平で綱引きするならば、どちらが勝っても不満が残る社会になる。
そうではなく、ひとつ上の舞台で統合して実現させればいい。

この「ひとつ上の舞台」のことをパラダイムという。
民主主義とは、そもそもがパラダイムの変更を進めていくための手法なのだ。

もし「会社エゴイスト」がいなければ、
福島原発事故の再来を招く原発再稼動を進めたいとは誰も思わないだろう。
ならば組み合わせて考えればいい。

今やヨーロッパの新設発電所の7割以上が、
風車や太陽などの自然エネルギーによって賄われている。
よって自然エネルギーはいまや、非現実的でも不経済でもない。
しかもその雇用者数は全世界で570万人に上っている。


さらに言えば電気問題の解決策は発電所の増設ではなく、
エネルギー消費量の削減、具体的には省エネ技術と蓄電(バッテリー)技術の
進展に求められる。

庭の池の噴水のために電気を作るより、噴水のいらない庭を作る方が合理的だ。


しかもそれらに必要な「自然エネルギー、省エネ家電、バッテリー、電気自動車」
の技術で世界一なのは、この日本なのだ。


ならば合理的結論が導き出せる。
原発という旧来技術ではなく、将来のためになる投資を公共事業で行って経済回復
させることだ。

未来に残らないダメな施設ではなく、
将来を豊かにするための技術に投資するなら、公共投資も悪いものではない。

悪いのは、選ばれる事業が「旧態依然とした利権まみれの時代遅れ事業」ばかり
だということだ。


■会社エゴからデモクラシーへ


そう考えると、目指すべき方向が見えてくる。
まず政策決定者の中から、自分・自社の利益に奔走している「会社エゴイスト」を
い出そう。彼らこそが論議を混乱させ、混乱に乗じて利益の上前をはねようと
する者なのだ。

その彼らは、自分の利益に不都合な人間を弾圧しようとする「反自由主義者」に
なりやすい。その次にかたくなに一次元的な綱引きの世界でしかモノを考えられない
「反民主主義者」を追い出そう。

ふと気付いてみると、2013年に流行った「表示偽装問題」で、最大の表示偽装は
「自由民主党」ではなかっただろうか。

ぼくは自由で民主的な社会が好きだが、
なぜか政策の内容はことごとく自民党と反対になってしまうのだ。

「綱引き」から「パラダイムシフト」へと変えられるなら、
これまで続いてきた無意味な対立は解けていく。

「対立」は、次のパラダイムへといざなう突破口になるからだ。
こんなことは、人間関係の中では当たり前のことだろう。
それができないのは、参加者の中に極端な「エゴイスト」がいるか、
頑固なわからず屋がいるせいだろう。


昨年、国会議員になった山本太郎さんがブログでこう書いている

「ハッキリしたことは、
国会内では金にならないことはほとんど見向きもされないということ。

命に関わることでも「直ちに影響ない」ということなら、
平気で無かったことにされてしまう。

卑しさの塊のような集まりが、国権の最高機関なんて笑えない」と。



あらゆる場面でもっと話し合える社会にしよう。
綱引きするのではなく、互いに納得できる解を見出す努力をしよう。
そのためには次回の国政選挙まで、きちんと憤りを持ち続けることが必要だ。


次の政権では、特定秘密保護法に一条文を付け加えよう。
「この法は〇月〇日をもって廃止する」と。

次には不公平な政治制度を改めさせよう。
自分たちの利益ではなく社会全体の利益を優先するために、
強行採決をせず、パラダイムシフトから解決することのできる人を選んで、
国会を話し合いの場にしよう。


社会的課題と呼ばれるものも、本当は対立などしていない。
対立しているのは利権なのだ。

利権の代表者を国会に送るのではなく、
未来を構築するために辛抱強く話し合うことのできる人を送ろう。


ウソや虚偽に立脚した強弁を聞かされるのはもうたくさんだ。
こんなことを繰り返していては、日本が憲法前文に書かれているような
「国際社会において名誉ある地位を占め」ることは不可能だ。

 

問題は政治を「綱引き」と理解したことにある。
話し合うことで課題を乗り越えることこそが政治なのだ。


( 川崎市職員労働組合様へ寄稿したものを、好意を得て転載しています。) 

田中優無料メルマガ http://archive.mag2.com/0000251633/20140128100224000.html より

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