2018年11月12日

田中優×オフグリッドの生みの親 粟田隆央さんとの対談その2 書き起こし

株式会社Re様のホームページにて、


田中優×
オフグリッドの生みの親でありパーソナルエナジー開発・販売をされている粟田隆央さん

との対談イベントでの書き起こしを公開中です。


イベントは2016.2.20に開催されました

『オフグリッドを聴くOFF-Grid Live2016』
https://tanakayu.blogspot.jp/2016/02/off-grid-live2016.html




今回のご紹介は、田中優、粟田隆央さん二人によるトークセッションです。






以下、(優)・・・田中優 (粟)・・・粟田隆央氏

(粟)あの、これ買ってくれたお客さんでいいことを言っていた人がいて、めちゃくちゃ高いわけですけど、「高いんだけど元がとれるかと言う観点ではなくて、でもいつでも電気作れるでしょ?それはもうプライスレスですよね」と。作れるっていうことがやっぱり発想の転換で、kWいくらとかじゃなくて、そこで勝った感、優越感があると。「電力会社からオレは電気を買わないんだ」っていう転換、社会システムの真逆にいるところが面白いよねっていう話をしてもらっていたんですね。


(優)それがね、本当に必要な時代になっているし、そうやってお金から離れていくためにすごく重要なのは、おカネの中で節約できないものが4項目あるんだよね。それが光熱水費、医療費、食費、それともう一つ忘れちゃったけど4つあってさ、それだけはどうしても削ることができないおカネでどんな貧乏な人でも金を使わざるを得ない部分があるんですよ。それでそれについてどうしたらいいの?って言うと、自給しちゃえばいいんですよね。


(粟)そうですよね。

(優)だから自給していくというのは、とにかく人を自由にするから自分を自由にするための資金だと思ったらいいなって思うんですね。あと住宅費だ。それでたまたま偶然粟田さんとぼくの家とまったく偶然同時期に家を建てたんだけど粟田さんのところかなり凝りましたね。


(粟)そうですね。もう大工さんと電気屋さんには文句ばっかり言われて、やったことないことに対してやっぱりものすごく文句言われる職人さんとか多いですけど、まぁともかく暖房冷房しなくていい、かつその電気をほぼ使わなくてもいい設計みたいな、有り余るくらい電気を作れるんですけど、それでも使わないっていう設計にしてみましたけどね。


(優)僕ん家もやっぱりすごく大工やってくれた工務店さんはいやー面倒くさいっていうんですよね。「もうとにかく優さんのところは家を作るの面倒臭かったよ」って言われて。

「何が面倒臭かったの?」って言ったら、何もわからないようなものを持ってこられて、「これ設置してね」っていうもんを、「どうすればいいんだって思った」とか言っていて、尚且つ僕の家は接着剤を使わせないんですよ。

要は接着剤は体に悪いものが多いので接着剤使わないでくれと。そしたら大工さんが困ってこれ貼るのに「何を使ったらいいんだ?」って言われて、ヤマトのり、子どもの工作のものを持ってきて「これで貼っていいですか?」って、「あっそれだったら我々もっと良いものありますから」っていうことで化学物質過敏症を一切使わないデンプン糊を出して、木工用のやつがあって、それでやってくれっていうようなことでやってもらったりして、結構大変ですね。


(粟)今の建築基準法って大変でしょう?うっとうしいでしょ?


(優)本当にジャマするよね。建築基準法で一つは24時間換気って義務つけられているんです。24時間換気する理由は家の中が毒ガス住宅だから。ところが我が家はその毒ガスの元になる接着剤ゼロなんですよ。全く使っていない、なのに24時間換気をつけなくちゃいけないんですね。一応建築確認をとるまではつけてあるんだけど、そこは全部断熱材で埋めちゃおうと思っているんだ。だってあんなもの必要ないもんね。

もう一つは木造建築で普通の家の4倍の木材を使ったんだけど、でもあんまり心配しなくていいですよ。木材って今めっちゃくちゃ安くって家一軒で100万円しか払ってないですから。だからうちは4倍払ったって400万円ですからね。大したことないです。

そしてその木材を作るときに日本の伝統的な組み方ってあるじゃないですか。あれが一番強いんですよ。木って言うのは金属を挟んじゃうとそこで結露したり腐ったりするので、やっぱりやっちゃいけないんですね。ところが建築基準法は金属をそこにさせって義務付けてくるんですね。本当にバカげた仕組みだと思うんで、だから日本の中では建築基準法とか余計なお世話がすごく多いですね。


(粟)ちなみにね、オフグリッドもこうやってやっているじゃないですか。企業に入ってきているでしょ。最近は電力会社と協議することが多いんですけど、オフグリッドっていう発想がそもそもないんですよね電力会社には。ないんだけどこうやって普及していくと今だと東京電力、四国電力、中国電力、関西電力でやっているんですけどまあ実績があるわけですね。この間経産省から呼び出しをくらってですね、今からだから規制を作ろうみたいな話がどうもあって、ただやるなら今すぐと。オフグリッドをやられると、当然電力網から離れちゃうし、所轄官庁の規制がかからないんですよ。

(優)そうですね。

(粟)あの人たち規制をかけたい人たちだから、仕事したいからそれで。ロケットもそうなんだけど規制がかからない前にやっちゃった方がいいかなと。

(優)なるほどね、そうかそんなところまで規制をかけてこようと。

(粟)だって電気代とか税金、賦課金もそうだけどとれないじゃないですか。


(優)とれないですね。結構とれないのって問題で、今度は再処理費用と廃炉費用と福島原発の事故処理費用、これを何とかどこからかかき集めようと。それでさっきの託送料金とあともう一つ電気料金そのものの中に入れていこうっていう発想がありますよね。


(粟)恐らくそうなるでしょうね。

(優)そうするとさっき言ってた電気料金40円どころじゃないじゃないの。

(粟)基本料金がたぶん3千円くらいになって、使っても使わなくて3千円払わさられてもプラス使った分が40円とかですね

(優)じゃあ今回の自由化で電気をいっぱい使った方が得になるとか言って消費を増やしたやつはあとですっごい悲惨な目に遭う?

(粟)大変な目に遭うと思いますよ。

(優)今オール電化の人たちがだいぶ悲惨な目に遭いつつあるけど、それがさらに増えるって感じですかね?

(粟)今ねオール電化の人たちがガス化にどんどん変わっていっているんですね。面白いんですよ。

(優)へぇ!

(粟)やっぱりその女性の場合そうみたいですけど、IHのヒーター、調理器がちょうどこの子宮のあたりにくるらしくて、「感覚的に何か嫌だ」とか言ってこないだも四国の人、電気からガスに変えていましたね。

(優)それはでも実際に電磁波の影響で言うとやっぱり細胞分裂の時に影響を起こすので、だから胎児が影響を受けやすいっていうのはやっぱりあるんでしょうね。

(粟)本当に嫌な音がするんですよあれ。

(優)そうなんだ

(粟)IHの悪口じゃなくて生理的に嫌な音がしますよ。体に良いのか悪いのかというと、たぶんこれ悪いんだろうなっていう嫌な音なんですよ。

(優)でも年をとると高音が聴きとれなくなるから平気なんじゃない(笑)

(粟)いや高音というか低周波でしょあれ

(優)低周波なんだ。嫌な音だなそれは。

(粟)あれは良くないかなと思いますね。

(優)なるほどね。でもそれで電気消費を今回のタイミングで増やしちゃう人がたぶん多数派だよね。その方が得だから。

(粟)これがね、フタを開けてみないとわからないですけど、アメリカで先行している例で言うと、自由化があったからと言ってだっと流れるわけじゃないんですよ。

(優)へぇー!

(粟)で、もっと面白いオチがあって、日本の場合電力自由化するじゃないですか、自由化っていうのはA電力からB電力に切り替わるわけでしょ。メーターがないと切り替えれませんよね。ということはスマートメーターがついている家じゃないと、電気を切り替えられないんですよ。

で、この辺が東京電力が発表していたのが面白いのが、スマートメーターの供給量というのが2030年までかかるんですよ。だいたい年間100万から200万供給なので、スイッチングができるのがその範囲なんです。


(優)あぁ何かそういう風に電力会社言っていますよね。メーターが変わったところしか自由化ができないって。


(粟)そうなんですよ。今、金さんがいらっしゃってますけど、電気申し込んだら繋ぐのに無茶苦茶時間がかかるんですよ。

(優)えぇそうなの!?

(粟)大変なことになっていて。

(優)インターネットの切り替えみたいにサクッといかないの?

(粟)全然いかないです。申し込みはサクッといくんですよ。実際は電線を張らないといけないじゃないですか。

(優)えぇ!?従来の電線を使うから託送料金なんじゃないの?

(粟)なんだけど引き込みは絶対にいるわけで、それでメーター交換も要りますでしょ?メーターがないんですよ。なのでものすごい時間がかかるんですよ。

(優)そうなんだ。

(粟)だから電力自由化するけど、恐らく全体シェアの動くのが3割未満。

(優)なるほど。



<<書き起こしはvol.12まで公開中です>>

▼トークライブ書き起こし目次 
http://re-energy.co.jp/news/cat_news/transcribe/


▼vol.1 田中優1『電力の未来はオフグリッドしかないかも』
http://re-energy.co.jp/news/97/


▼vol.2 田中優2 『電力の小売り自由化と家庭のエネルギー消費』
http://re-energy.co.jp/news/222/


▼vol.3 田中優3『自然エネルギーにも使い方があるんだ』
http://re-energy.co.jp/news/228/


▼vol.4 粟田隆央1『パーソナルエナジー誕生秘話』
http://re-energy.co.jp/news/252/ 


▼vol.5 粟田隆央2『震災、原発事故、橋の下世界音楽祭』
http://re-energy.co.jp/news/257/


▼vol.6 粟田隆央3『すべてのエネルギー消費者が、エネルギー生産者になる』
http://re-energy.co.jp/news/263/


▼vol.7 粟田隆央4『オフグリッドを切り拓いてきたからこそわかる事』
http://re-energy.co.jp/news/268/


▼vol.8 田中優×粟田隆央 トークセッション1
http://re-energy.co.jp/news/295/
 

▼vol.9 田中優×粟田隆央 トークセッション2
http://re-energy.co.jp/news/298/


▼vol.10 Q&A1
http://re-energy.co.jp/news/328/


▼vol.11 Q&A2
http://re-energy.co.jp/news/331/


▼vol.12 Q&A3
http://re-energy.co.jp/news/340/

2018年11月9日

今年も寄稿しました!『現代用語の基礎知識2019』

今年も寄稿させて頂きました!

2018.11.8発売 『現代用語の基礎知識2019』

2019年度版



田中優は「環境問題」項目で6ページを担当させて頂きました。

昨今話題の「廃プラスチック問題」から始まり、トリチウム、北海道のブラックアウトなどなど、タイムリーな用語にもご注目ください。

<注目後>
・トリチウムを含む処理水


<原発問題と環境>
・人工放射性物質
・生体濃縮(生物濃縮)
・低線量被曝
・海中がれき
・スラップ訴訟


<電力自由化と環境問題>
・電力の自由化/発送電の分離
・基幹送電線の空き容量
・北海道の広域停電(ブラックアウト)


<汚染、ごみ問題>
・PM2.5問題
・災害廃棄物
・便乗ごみ
・電子機器のごみ
・都市鉱山
・漂着ごみ
・戸別収集
・雑がみ
・リサイクル法


<公共事業と環境>
・諫早湾干拓事業
・多目的ダム
・ダムの「但し書き操作」と水害


<暮らしと環境>
・ミツバチの失踪
・ネオニコチノイド系農薬
・ホルムアルデヒド
・化学物質過敏症(CS)
・電磁波過敏症(ES)


<エコ認証>
・森林エコラベル(森林認証制度)
・海のエコラベル
・パーム油(アブラヤシ)


<経済活動と環境>
・ダイベストメント
・炭素税
・排出量取引
・再エネ発電証書
・グリーンボンド(環境債)
・グローバル・タックス
・生態系サービス
・グリーンウッド法


<公害病、その他>
・代替フロン規制
・石綿(アスベスト)
・水俣病
・新潟水俣病認定
・イタイイタイ病
・地中貯留技術
・CO2埋設
・オルト-トルイジン


ぜひお手にとってご覧ください。

[総力特集]
○人生100年時代、日本人の「食」はこれでいいのか?!

[現代用語ジャーナル]
○なんでみんな“ウソ"に甘いの?
フェイクがまかりとおる世の中を考える
○ことばでたどる平成
○ニュースのおさらい
定価 3,456 円(本体 3,200 円 + 税8%)
B5変型 / 1226ページ
発売日 2018年11月08日
ISBN 978-4-426-10137-4 雑誌コード:69949-64

佐藤優/金田一秀穂/森永卓郎/平田直/島薗進/五野井郁夫/伊藤真/飯田泰之/清家篤/武田砂鉄/谷本道哉/やくみつるほか (著)

現代用語の基礎知識 http://gendaiyougo.jiyu.co.jp/

2018年10月28日

「なぜ北海道は停電したのか? ~送電線網(グリッド)の問題だから、自然エネでも原発でも解決しない~」





2018.9.30発行号の田中優有料・活動支援版メルマガは、

『 なぜ北海道は停電したのか?
~送電線網(グリッド)の問題だから、「自然エネ」でも「原発」でも解決しない~ 』
です。


今回の北海道のブラックアウトの原因は、“発電”が問題ではありませんでした
また、地震とCCS実験(二酸化炭素を地中深くに埋没する実験)に大きな関係があるとの話が・・。

こちらよりこの原稿(メルマガバックナンバー2018年9月号)をご購入できます
https://www.mag2.com/archives/0001363131/2018/9

2018年9月号として、こちらのバックナンバーも合わせてお読み頂けます。

2018/09/15 第170号:「なぜメガソーラーに反対するのか(下)」


(メルマガ本文より)

 このブラックアウトの原因は、地震で厚真火力発電所が止まり、送電線を流れる電気の周波数が低下したためだ。

 電気を三つの分野に分けて説明すると、電気は 「発電・送電・配電」 部門に分けて説明される。今回のブラックアウトが起きたのは、この「送電部門」なのだ。


 だから「原発がどうの」「自然エネルギーがどうの」などと発電部門で説明するのは間違っている。そうした説明では「泊原発が稼働していれば大丈夫だった」とか、「自然エネルギーがもっと活用されていれば」とか言うが、どんなに発電していたとしても送電線がシャッタアウトすれば流れないのは当たり前だ。


(中略)

 そこで調べていって恐ろしい現実の符号に気が付いた。今回の原因は地震だが、地球温暖化対策で気にしているのは二酸化炭素の対策の話に関連する。二酸化炭素の対策として、世界では地下深くに埋めてしまうという対策(CCSという)が行わている。そしてそこでは 世界各地で起こらないはずの地域でも地震が発生している。

(中略)

 道内全体がブラックアウトしたのは、道内全体で電源が唯一というような仕組みを作っていたせいだった。道内で札幌管内、函館管内、道南。道北というようなブロックごとのグリッドごとの運用を進めていたならば、その中の一ブロックの停電で済んでいただろう。

 多くの人の説では「グリッドの広域化・強化と発電所の強化」が語られているが、逆行する方向ではないのか。北海道電力ではこれを奇禍として、揚水発電の運用や発電所の増設、原発再稼働の機会としようとしているように見える。

 しかしグリッドが改められないならば、ブラックアウトは再度の現実となるだろう。必要なのは巨大化ではなく、分散化だ。

2018年10月22日

『 「川に生きる~世界の河川事情~」中日新聞社を推す 』


 ぼくの親しい友人である新村安雄さんが初めて本を出した。新村さんと知り合ったのは20年以上前のことだ。ぼくの記憶では、新村さんよりもそのお連れ合いだった森野康子さんの方が前だった気がする。その森野さんは残念ながらその後に他界してしまったが。

 その彼女の葬式のときに、新村さんは焼き場に集まった人たちに、「森野は本当に頑張って生きたんだ、だからみんなで拍手して彼女を送ろうじゃないか」と言って、みんなで拍手したという。ぼくはその場に居なかったのだが、その話を新村さんらしいと思って読んだ覚えがある。

 新村さんはそれからだいぶ経ってから今の彼女と結婚して、幸せに暮らしていることをうれしく思う。その彼女とも30年近く前に知り合っていたから不思議な縁だと思う。その新村さんはあまり知られていない人だから、ちょっとぼくなりに紹介してみたいと思う。


 新村さんはまず何よりも声のでかい人だ。全然目立とうとする人ではないのに声がでかい。いつも腹から声を出すせいだろう。そのせいもあってなんとなく偉そうに見える。たぶん秘密の話などできない人だろう。そのせいかウソはつけない人だ。そこが好きだし、信用できる友人なのだ。その彼が本を書いた。

 「川に生きる」というタイトルだが、そう思って彼のフェイスブックの写真を見たら、魚の写真とそれにまつわる話ががやたらと多い。彼は子どものように魚を愛しているのだと思う。

 ところがその魚たちは追い詰められて、どんどん居場所を奪われて絶滅させられている。それがこの本を書いた動機なのかもしれない。彼の愛していた森野さんが亡くなってしまったように、彼は愛するものを失い続けている。その本を読んで、なんだか川に生きていた者への想い、彼の悲しみの原因に触れたように思えるのだ。

 しかも彼は体も大きい。その彼と初めて会ったはずのわが娘は、会うなり肩に乗り、大きな図体によじ登ろうとしていた。警戒心もなく。


 彼は以前から文章がうまかった。というよりも心根が優しくて、対象への思いが溢れているのだ。彼の文章を盗用する人すらいた。図体と声からは想像できないほど良い文章を書くのだ。それは「石木ダム」(ほたるの川のまもりびと)という映画のパンフレットにも使われた。ぼくが映画の宣伝と供給をする会社に相談されたときに、新村さんが一番いと紹介したからだ。そのパンフレットの記事は好評だそうだ。


 彼はウソをつかないし、興味が湧いたことには努力を惜しまない。その彼がやっと本を出せたことをうれしく思う。彼に紹介された友人と、長良川上流の板取川に予定されていた揚水発電ダムを止めることができた。板取川の友人は長屋さんという。といってもかつての板取村(今は関市に編入されている)では集落の半数近くが、長屋姓なのだが。その長屋姓の友人たちが頑張ってくれたおかげなのだが。
私たちがしたのはその川の美しさを素直に感嘆していただけだが。しかしそのことが彼らを力づけたのだということになろうか。


 彼の文章には愛する長良川が河口堰によって堰き止められて、生態系が壊されていく様子が描かれている。もうこんなことはやめさせようと思う。川を壊すことは、私たち自身の足元を掘り壊すことなのだ。そのことを思い起こすのに格好の書であると思う。その彼は学生時代に青ナイルと呼ばれるナイル川支流に研究に行っていたし、その後はメコン川に出掛け続けていた。

 ある時、メコン川が増水して彼の泊まっていた川に浮かぶコテージごと流された話も本に書かれている。隣に宿泊していたイギリス人たちのコテージを滝に落ちる寸前に救った話もある。なんというか、彼は無冠のインディージョーンズのような人でもある。彼はわが娘のために、ライフジャケットをプレゼントしてくれた。彼に頼めば大概のことは(川に関係することなら)解決してくれるのだ。


 彼のクルマの屋根の上にはテントが乗せてある。彼はその車で全国を走り、その場で泊っていく。下に寝るとイノシシや動物に囲まれることもあるので、クルマの上の方が安心なのだという。彼のフェイスブックにはもう一つ、よくサッポロの黒ラベルが登場する。ぼくも同じものが好きなので、彼がいると分けてもらって飲んでいる。その彼だけには見送られたくないし、見送りたくもない。その彼もぼくも還暦を過ぎたことだし、少しは安心してゆっくり過ごしたい。

 もうこれ以上のダム建設は止めてもらい、これからは造ってしまったダムを解体してもらいたい。


 川は人間のためのものではないのだから、たくさんの生き物と共有して暮らせるようにしたいと思う。長良川が再びたくさんの流域の人たちの支える流れになったら、そこで乾杯したいと思う。彼が潜って撮影するリアルタイムのアユの産卵の動画でも見ながら。新村さんの書いたこの本を読んだら、アユの産卵時のリアルタイムの動画を観に長良川に集まろう。とっておきのアユの塩焼きを食べながら。


******


『 川に生きる 世界の河川事情 』

新村安雄 著   
税込1,404円(税抜き1,300円)
192ページ
2018/9/14発行


中日新聞・東京新聞で好評連載(2015年4月~18年5月)されたコラム「川に生きる」を書籍化。

さまざまな生き物がすむ川から見た、自然と人間との関係を鋭い筆致で描きます。

西日本豪雨災害などから、川と人との共存が注目されている今、世界の河川をめぐってきた著者が、長良川をはじめ、世界や日本の河川で何が起きているかを紹介します。

書籍化にあたり、長良川・川下り紀行も掲載。
カヌーイスト・野田知佑氏も推薦を寄せています。

                

<目次> 

一章 長良川に暮らす

    川との決め事/川ガキとミズガキ/鵜飼屋に暮らす

    鵜飼屋の母/川を繼ぐもの/落ちアユの季節 瀬張り網漁

    もう一つの長良川鵜飼/魚は旅をする/川漁師の矜持

    カニの通り道/流れない水面/ウナギの寝床

    海に向かう魚/川漁師のワザ

二章 長良川河口堰が変えたもの

    幻の大マス/若くてばかで、よそ者で/潮のポンプ

    大アユの消えたわけ/開いている河口堰/幻の干潟

    追加された魚道/よみがえる「マウンド」/河口堰と津波

    ウナギと河口堰/見張り塔からずっと/川を耕す

    マジックアワー/観察する力/河口堰が変えたアユ

    繋ぐ命

三章 川の未来

    亜細亜の宝/川の観光価値/長良川から世界へ

    川上り駅伝大会/激流下り世界選手権/最後の流れを漕ぎ抜く

    日本一のアユ/命の水のアユ 琵琶湖/京の川漁師

    京都で鷺知らず/トキの落とし羽根/シーボルトとアユモドキ

    モンスーンの賜物/ニホンウナギ発祥の川/ダムに消えるアサリ

    消える大砂丘/ダムと砂丘/森の香りのアユ

    アマゴの宝庫遠く/シーボルトの川/ダムの未来

    砂の行方/川の恵みを取り戻す/よみがえる伝統工法

    イワナの生きざま 産卵場復元/うな丼の行方/河川法とヤナギ

    始まりから終わりまで 流域を守る

四章 川と命と

    開かれたゲート もう一つの長良川/母なるメコン/メコンの魔法

    流されてメコン/メコン祈りの儀式/虫食いの系譜

    ラオス式魚焼き/消えたメコンオオナマズ/存在の証し

    最後の魚を拾う/南の島のアユ/リュウキュウアユフォーラム

    「世界自然遺産」の島/淵の名は/亜熱帯最後の自然海岸

    森と川の生態学者/釣り人の見た夢/旅人の選んだ川

    アユの生まれるところ/津波の記憶/川に行こう

    伝える川の知恵/「出会い」が守った川

「全長良川流下行」記

終わりに

                

<新村安雄・にいむらやすお>

フォトエコロジスト、環境コンサルタント、リバーリバイバル研究所主宰。
1954年、静岡県浜松市生まれ。
長良川、琵琶湖、奄美大島、メコンなど、生き物と人間のかかわりという視点から
撮影と映像製作を行っている。
長良川うかいミュージアム、滋賀県立琵琶湖博物館、世界淡水魚園水族館アクア・
トトぎふなどの企画展示、映像提供。


ブログ 「リバーリバイバル研究所」 https://blog.goo.ne.jp/niimuray


新村安雄さんと田中優(ライヴアースまつやま2018にて)


田中優もオススメします☆

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●中日新聞 http://www.chunichi.co.jp/nbook/shoseki/chu2018091401.html

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