2019年2月15日

「カナダからの見学者 」

天然住宅コラム 第28回 『 カナダからの見学者 』





 先日、カナダの建築家の若い人が建築中の我が家を訪れた。さわやかな外見と人柄の良さのおかげですぐに親しくなった。ウィリアムさんは日本に3年いると話した。ところが日本語の方はさっぱりだ。と言ってもぼくの方も英語を10何年もしているのに話せないのだからおあいこだ。そんな気持ちもあって気楽に話すことができた。しかし大変だったのは通訳してくれた岡山在住の新井さんだ。「『断熱材』って英語で何て言えばいいのかしら」なんて、苦労をしながら通訳してくれた。


■カナダの基礎断熱

 その彼に基礎断熱の話をしたら、『当たり前だろ?』って顔をして聞いていた。
我が家の断熱材は鉱物で、内側・外側に3センチも塗っていると話したところ、『カナダでは2メートル断熱するよ、内側と外側で合計4メートルだ』と言ってきた。『しかも土は3メートル掘ってそこから基礎コンクリートを打つのだ』と。『ぼくの国はケベック州だから冬はマイナス40℃まで下がるんだ』

 土の中の水分が凍結して盛り上がり、さまざまな構造物を壊してしまう現象がある。これを「凍上現象」と言うが、この現象を放置して建物を建てたなら、一冬で建物は壊されてしまう。だから家は凍結しないほど深いところまで掘り、そこに基礎を据えるのだ。そしてマイナス40℃という寒さから隔離するために、合計で4メートルもの断熱壁を設けるのだという。


■家づくり古今東西
 「断熱材は何を使うの」と聞くと、発泡系の断熱材を並べるのだと言った。

 「しかし日本でそれをしたら、シロアリの巣になってしまうからできないんだ」と話した。すると彼は『日本はたぶんカナダより8倍は虫が多いからね』と言った。『カナダでは虫が多くないから、窓にネットもいらないんだ』と網戸を指差した。虫の英訳は「インセクト」かなと思っていたら、簡単に「バグ」と話していた。どうやら虫が少ないせいもあって、虫の種類も気にしていないようだ。


 日本に家を建てるには、この虫対策もとても重要だと思う。そのため我が家では基礎コンクリートの上にヒバの土台を透湿防水シートを挟んだだけで直接置いた。普通なら空気層をつけるところだが、虫対策のために空間を空けなかった。

 その代わりコンクリートの湿気を逃がすために『ソーラーウォーマー』という装置を取り付けた。これは冬場の日照を熱にして床下に送り込む装置だ。そのための電気も装置自体がソーラーで自給する。さらに「虫返し」を外壁の下に付け、ムカデが登れないようにした。さらに建物周囲2メートルは舗装することにして、虫が寄れないようにしている。


 ウィリアムは盛んに「ナイス!」を連発していた。何かを実現しようとすると、別な問題が生まれてくる。それをさらに先回りして防いでいく。そこに感心してくれたみたいだ。




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他にもたくさんのこだわりがあります。
ぜひHPでチェックしてみて下さい。

2/23、24天然住宅 無料完成見学会@川崎 ~自然素材に囲まれた15坪の小さなアトリエ~

2/23(土)・24(日) 天然住宅のオープンハウス形式の無料見学会を開催します。
(※田中優は都合により出席できません)

 
絶景の高台に、
小さなアトリエが完成します。
床面積はわずか
『15坪』



 
国産杉をはじめ、自然素材をたくさん使った気持ちのいいアトリエです。
 
 
そして今回は初めての試みも。
その名も、
”住まいの道具プロジェクト”
 
最高の家具をつくる静岡の「すまうと」さんとの共同プロジェクトで、トイレットペーパーホルダーとタオル掛けを製作しました。
 
細部までこだわった、素敵な住まいの道具です。
見学会当日は、すまうとの家具の展示も予定しています。
 
 
★建物データ
敷地面積:160.95㎡
延床面積:49.18㎡(ロフト、床下のぞく)
間取り:1LDK
工法:木造

■日時
2019年2月23日(土) 13:00~16:00 
24日(日) 10:00~16:00

※2/15現在、24日16時までの回は満席のため募集を締め切りました。現在お申込み頂ける回はこちらです。
 
23日(土) 13:00~14:30
23日(土) 14:30~16:00
24日(日) 10:00~11:30
24日(日) 11:30~13:00

■場所
神奈川県川崎市麻生区
(東急田園都市線「あざみ野」駅または小田急線「新百合ヶ丘駅」よりバス)

■参加費 無料

■内容 オープンハウス形式の見学会

■申込 下記フォームよりお申し込みください
https://tennen.org/event/atelier.html

2019年2月6日

『新バンクを作る意味を 』  

いよいよ2019年2月、新生未来バンクの誕生です! 

未来バンク事業組合ニュースレター No.97/2019年1月 より
 
『新バンクを作る意味を 』
 
  未来バンク事業組合 理事長  田中 優


今年、新生「未来バンク」という新しいNPOバンクが誕生する。

これまでの「未来バンク事業組合」が「天然住宅バンク」と合併し、若いメンバーが中心の「天然住宅バンク」が新たに運営をしていくのだ。私は両方のバンクの代表をしているが、今後は新生「未来バンク」だけに移る。これだけだとまるで変わらないが、要は「いいところ取り」をめざしたのだ。

これまで信頼を作ってきた「未来バンク事業組合」を引き継ぎながら新しい血を「天然住宅バンク」から受け継ぐのだ。個人的なことだが去年、人生二回目の脳出血をして入院した。出血したのは文字通り「頭に血が上った」せいだった。検査してもらうと、頭の中には何度かの出血痕があった。自分なりに思い起こしてみると、腹を立ててカッとしたときに出血していたようなのだ。
 

以来、きちんと毎日血圧を下げる薬を飲み、いわゆる「頭にくる」のが危険だと気がついてそんな事態にはならないようにした。不誠実な人間には合わないこととし、信頼できない人とは極力つきあわないことにした。命取りになりかねないからだ。
 

私はものすごく短気だ。この性格は治りそうもない。不誠実な対応をする人に会うといきなり「カッ」とする。これはどうにも治りそうにない。今更治そうと思ってもいないのも事実だ。ならばそうなるような場面にいないことが大事だ。だからそんな「不誠実」と思う人とは縁を切り会わないようにした。信頼できる人たちの間で生き続けるのなら、生きつづけることも無理ではないからだ。
 

これは個人的体験と事情による変化だが、もう少し一般化して言おう。自ら活動するときには「信頼できる人」だけと行なうことが大事だと思う。信頼できないと気づいたらすぐさま縁を切る勇気が重要だと思う。そして翻って自らの行動原理に戻れば、絶対に裏切らない信頼を得ることが必要だと思う。

もちろん信頼はカネにならないし、カネを大事に考える人たちは裏切ることが多い。となるとカネに左右されない代わり、カネと縁が薄い人になる可能性が高くなる。とすれば逆に、最初からカネに左右されない暮らしをしておくのがリスクヘッジになる。そうした暮らしをめざしてほとんどを自給できる暮らしに近づけている。

新生「未来バンク」では信頼できる関係の中で進めたい。


それでは新年に当たって、これからをどうするか考えた。そのひとつは今の土地で新たに家を建てようとするときに役立つ融資制度を作りたいと思っていることだ。もちろん第一にその人個人の信用だが、住宅取得を補えるような融資の仕組みを準備したい。


例えば「フラット35」というローンを利用する仕組みで、都会にそのまま住み続けるより有利になる仕組みを作れないだろうか。長く住むことが有利になるような住宅とローンが作れたらいい。その仕組みの中に、その人が信頼を長年得たことが有利になる仕組みを入れられないだろうか。
 

金融は無機質な仕組みなのではなく、もっと有機的で人間的なものであっていいのではないかと思う。返済されない時に悩まされたり手間が掛かったりすることを考えると、そんな心配のないつながりから融資制度を活かせないかと思うのだ。
 

長年やってきた私が発言するよりも若い人たちの芽を伸ばしたい。幸い私の子どもたちは親の私が言うのもなんだが、信頼できる親切な子ども達に育った。三人ともそれぞれの役割を活かして天然住宅バンクを支えるメンバーになってくれた。長男は非営利の住宅建設をする天然住宅のスタッフに、二男は弁護士としてこうした活動を支える役割を、三男はこうした活動を映像にするドキュメンタリー監督をし始めた。


私は少し手が空く立場になった分、新たな分野を開拓する以上に考えを深化させていきたい。もっと深堀りして、役立つ仕組みを考えたい。もっと有機的で、簡潔な仕組みがあるのではないか。それを試行錯誤していきたい。


※PDF版は次のURLから御覧頂けます。

https://drive.google.com/file/d/1w4PvXX568bFjMgW25s1rCQRwRBAN7_PN/view?usp=sharing



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田中優有料・活動支援版メルマガ 最新号(1/31号)
 
『 新生未来バンクの未来を祝福する 』
です!

1994年に未来バンクが誕生した経緯、その理由やこれからのことなど、代表の田中優がお伝えします!


(本文より)

「それは金融機関に留まらない。要は預金者自身の態度の反映なのだ。
日本で非常に人気のある貯金先に郵便貯金がある。それが何に融資され、どんな事態を引き起こしているのかを問題にしたのが 「どうして郵貯がいけないの」(北斗出版 絶版)だった。日本が戦争を続けたり、世界中でダムを造ったりして環境破壊ができたのは、人々が郵便貯金にお金を預け続けた結果だった。 」



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■2019/01/31 第179号:「 新生未来バンクの未来を祝福する 」
■2019/01/15 第178号:『 終わる原子力、歴史を逆回しさせるな(下)』

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