2017年11月29日

『エコロジカルフットプリント+時間軸』

 11月15日に発行しました、有料・活動支援版メルマガ「田中優の未来レポート」は、

『エコロジカルフットプリント+時間軸』です。



「エコロジカルフットプリント」とは?



・・「エコ的に見た足跡」という意味で、私たちの暮らしがどのくらいの面積を必要とするかを、その生産されたものの重さに応じて地球上の広さで表示する。 「トン/グローバルヘクタール(地球レベルの広さヘクタール)」で表示する。

 それで見ると現在地球上の人間は、『地球が1.6個ないと維持できない生活』をしている     
 持続可能でないだけでなく、私たちの暮らしは未来を生きる子どもたちの生活を踏みにじっていて、過去の蓄えを食い潰していると言える。
 「エコロジカルフットプリント」を地球一個分以下で暮らせるようにしていくためには、第一にあらゆる生産の「地産地消」を実現すべきだ。
 地域の産物を地域で消費すれば、そもそも地域にとって無理な生産は含まれず、わざわざ遠くから運んでくるサービスも不要になる。


(本文より)




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地球が1.6個ないと維持できない生活とはショックですよね・・
どうやったら改善できるか、
田中優が提案する“私たちができること”が書かれています。



全文はこちらよりご登録のうえご覧ください。↓


なお、11月末までにご登録の場合は、
この11/15号と11/30に発行します号が“無料”でお読み頂けます。


ご登録はこちらより http://www.mag2.com/m/0001363131.html

2017年11月28日

今年も寄稿しました!『現代用語の基礎知識2018』


今年も寄稿しました!



2017.11.9発売 『現代用語の基礎知識2018』





田中優は「環境問題」項目で7ページを担当させて頂きました。


・グリーンウッド法
・認証パーム油
・炭素税
・グローバル・タックス
・ミツバチの失踪
・ネオニコチノイド系農薬
・ホルムアルデヒド
・化学物質過敏症
・電磁波過敏症
・諫早湾干拓事業
・多目的ダム
・保育所新設
・人工放射性物質
・汚染がれき、海中がれき、がれき焼却
・東海再処理施設
・スラップ訴訟
・六価クロム
・都市鉱山
・マイクロプラスチック 



などなど。




帯は池上彰さん。
大きい字で見やすい大字版もあります。






ぜひお手にとってご覧ください。


池上彰/佐藤優/竹内洋岳/飯田泰之/平田直/島薗進/五野井郁夫/伊藤真/金子勝/森永卓郎/清家篤/湯川れい子/塚田穂高/伊勢崎賢治/やくみつるほか

現代用語の基礎知識 http://gendaiyougo.jiyu.co.jp/

2017年11月21日

『 子どもが壊されていく 』

■「非遺伝子組換(Non-GMO)食品」の表示

 前回日本全体で人口が激減してしまうというシナリオ※を、政府の調査から紹介した。こうしたデータをどう見つけるかというと、毎月二回発行している「活動支援版(有料)メルマガ」のために常に気にかかった情報をデータまで調べているからだ。
 今回もまた調べていく中から驚くデータを見つけたので紹介しよう。

 まず一つはアメリカ、ワシントンポスト紙に紹介された記事だ。アメリカで統計上初めて、平均余命が減り始めたという記事だ。2014年から2015年にかけて、平均寿命が78.9歳だったのが78.8歳へと減り、特に男性の方が大きく減った。しかし0.1だけだから、史上初の事態とはいえそれほど大きな数字ではない。

 でも日本の今後の人口予想数に習うならば、「西暦3000年には人々の平均寿命は98.3歳減ることになり、子どもは生まれたと同時に死ぬことになる」とするところだろうか。ただ直線的に考えるのは全く愚かしい。もっと多くの条件を見ながらどうなるのか推定しなければ、精度以前に予測にはならない。

 ところがアメリカの他の疾病データなどを見ていくと、恐ろしい事実がある。
慢性疾患である「腎臓、腸の病気」、「肝臓、胆管、甲状腺、膀胱、胆嚢ガン」、そして自閉症もまた急増しているのだ。その急増のカーブと一番一致するカーブを探すと、遺伝子組み換え作物の出荷量、遺伝子組み換え作物以外の植物を枯らすための除草剤「ラウンドアップ(成分名ではグリホサート)」の出荷量が増えているのだ。

 これに因果関係があると考える市民たちは、これに猛烈に反発し、今や非遺伝子組換えの作物が4年で7倍以上売れるようになっている。「遺伝子組換え」の表示を求めたが敗北すると同時に、「遺伝子組換えでない表示」を開始した。


■日本の学習障害児童の急増

 アメリカはすごいなぁと感心している場合ではない。売れなくなった遺伝子組換食品は、市場を求めて日本に輸出されるようになってきているのだ。日本では表示が甘く、5%以下なら表示せず、味噌や醤油などのような加工品は最初から表示しなくて良いことになっているのだ。

 まだ日本はアメリカのような遺伝子組み換えの被害は顕在化していない。ところが調べてみると、もっと怖いことが起きているのだ。学校で特別な教育指導を行わなければならない子どもたちの数が、文科省の調べでも平成10年の24,342人から、平成26年には83,750人へと爆発的に増えている。実に3.44倍の増加だ。







 特にいわゆる注意欠陥多動症障害と呼ばれるADHD、学習障害(LD)、自閉症や情緒障害が増えている。今年の夏に問題にされた長野県の農薬空中散布なども、因果関係を考える必要があるだろう。

 農薬散布は先に行われるのに、体内影響はその後だ。犯罪の無罪推定原則のように、なぜか農薬は安全なもののように推定される。これを覆すのは大変なのに。しかし世界的に調査が行われて、EUがネオニコチノイド農薬のいくつかを禁止したり、世界中で規制されるようになってきた。

 だが肝心の日本は、今なお野放しに近い状態なのだ。その結果ではないのか。1990年代から使われ始めたネオニコチノイド農薬の出荷量と、子どもたちの学習障害とは並行に進んでいるのだ。統計的には、ネオニコチノイド農薬の使用量が増加すると、児童の学習障害が増えるのだ。そこに因果関係を見つけ出せるまでは野放しでいいのか。

 これは正に現代の公害だ。しかも加害者の特定できる「公害」なのだ。


■第三の「化学物質による精神疾患」

 精神疾患には脳自体が傷ついていたりする「器質性疾患」と、特に物理的に問題ない「精神性疾患」がある。そこに新たに加わっているのが「薬物性精神疾患」だ。脳は巨大な「電子・科学・化学」臓器で、その役割の大きさと共に非常にデリケートなものだ。
 そこに薬物を混入すれば、電子信号がオンの状態のままになったりして機能しなくなる。

 以前は「自閉症」は「遺伝的な器質障害」と考えられていたが、そこには何も見つからなかった。今では国際疾病分類では自閉症を器質性障害に分類していない。

 では何なのか。ここに化学物質による「薬物性精神疾患」という分類が必要になったと思う。アメリカでも1995年頃から急増し、日本でも2005年頃から急増している。この頃生産が急増したものを考え見てほしい。しかも器質性ではなく、精神性とも言い難い自閉症なのだ。化学物質が原因であることは容易に考えつく。しかも多くの子どもたちが共通して摂取するものだ。食品由来のものであることも容易に想定されるはずだ。

 今は規制されていないのだから、親が自ら規制するしか方法がない。子どもたちの脳を破壊しないためには、家庭で規制するしかないだろう。もしそれが「化学物質」だとしたら、それは農薬に限られるわけではない。そこまで考えなければ、子どもを健全に育てられない社会にしてしまったことが問題だ。

 そしてアメリカでは、「腎臓、腸の病気、肝臓、胆管、甲状腺、膀胱、胆嚢ガン」へと裾野が広がり、人間の寿命すら左右し始めたのだ。だから子どもたちと未来のことを思うなら、無関心ではいられないのだ。


※参照 『 人口減少に抗する社会を 』
https://tanakayu.blogspot.jp/2017/11/blog-post.html

2017年11月20日

『 ネオニコチノイドが水を汚染する 』

天然住宅コラムより

■ネオニコチノイド農薬の特徴

 このネオニコチノイド農薬にはいくつかの特徴がある。まず水溶性の農薬だということだ。野菜などの作物に届く農薬は、撒いた農薬の5%~20%だけしかなく、残りはすべて土地を汚染する。しかも農薬自体は水溶性であるために、水に溶けて水を汚染する。群馬県では地域の名水と呼ばれる水源を汚染していた。ゴルフ場や松枯れ対策にと撒かれたネオニコチノイドは、そこに水を汲みに来る人々を汚染した。名水のはずが地域の人々を農薬中毒にしてしまったのだ。


農薬中毒

 それ以外によく使われるのは果樹園やお茶畑、そして野菜の畑だ。その果樹を食べることで農薬中毒になってしまった人たちも多い。群馬県前橋市の青山内科小児科クリニックの青山先生のところには、たくさんの症例が蓄積している。その青山先生は「果物が食べたかったらバナナにしなさい、日本では作れないから。お茶が飲みたかったらコービーにしなさい、日本では育たないから」と言っていた。

 というのも日本は世界有数の農薬散布国だからだ。長らく単位面積当たりの散布量で世界一だったが、中国がデータを公表し、韓国が農薬使用を激増させたために世界第三位に落ちたが。

 自分で調べたかったらまず伸ばした腕の先で手を握り、そこからまっすぐすべての指を伸ばしてみるといい。そのとき指先が震えていたら、ネオニコチノイド中毒かその他の中毒症状だ。




ネオニコチノイド対策

 だから対策もまた難しくない。カナダや北米、国内の症例で、農薬を使っていない食べ物に変えてから改善したという事例は多く紹介されている。青山先生のところでは、眼球が定まらなくなった子どもが眼科から紹介されてきた。彼女の親は健康のためにと、果物とお茶を子どもにすすめていた。そこで青山先生は一切の摂取を禁じた。

 その後彼女の眼球の不随意運動は消失し、それどころか学年で最も成績の悪かった彼女の成績は、学年で一番になったという。私たちが信じている自分の手足や頭脳は、自分のものではないかもしれない。ネオニコチノイドという農薬に支配されているのかもしれないのだ。

 こうしたものも天然住宅では絶対に使わない。それどころか木を薬品処理することもなければ、石油製品も極限まで排除している。こうしたことを気にしなければならない時代なのだ。調べるべきことはデザインや価格ではないのだ。



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☆--★ コラムは2017.11.20現在、第90回まで更新中!☆---★ 

  
田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」のHPでは、田中優のコラム「住まいと森のコラム」を配信中です。

「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。



田中優の「住まいと森のコラム」 


■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを 
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす
第64回 虫対策、その後
第65回 おカネに依存しない暮らし、自営
第66回 おカネに依存しない仮想通貨
第67回 天然住宅はホコリが少ない?
第68回 住宅教育が必要だ
第69回 住宅費用のイニシャル、ランニング
第70回 無煙炭化器
第71回 偉いぞ、炊飯器
第72回 中国のシックハウス問題
第73回 のらぼう菜
第74回 孤独になる?自給生活
第75回 「自給住宅」と食べ物
第76回 ガーデンパーティー
第77回 「自給の家」の「たべるにわ」
第78回 「居ていい場所」というコミュニティー
第79回 我が家の庭でBBQ
第80回 自給の家と「たべるにわ」
第81回 連休は出かけちゃダメ?
第82回 ネオニコチノイド農薬ふたたび
第83回 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ
第84回 ネオニコチノイドが水を汚染する

第85回 不吉な虫、その名も「死番虫」
第86回 湿気のない腐らない家
第87回 阪神淡路大震災のあった土地は危険?
第88回 病気の話
第89回 
ヒノキチオール
第90回 美意識の差? 宮大工と船大工 


★☆★ 天然住宅 ホームページはこちら★☆★
http://tennen.org/ 

・施工例 http://tennen.org/gallery
・お客様の声 http://tennen.org/voice
・こだわり ~高断熱適気密・お家で森林浴・工法~ http://tennen.org/kodawari
・プラン集 http://tennen.org/plan
・見学会のお知らせ http://tennen.org/event
・住宅コーディネートって何? http://tennen.org/coordinate
・資料請求 http://tennen.org/request


他にもたくさんのこだわりがあります。
ぜひHPでチェックしてみて下さい。

2017年11月15日

ご購入で国際支援に・・JVC 国際協力カレンダーなど発売中です!

自分のためが、世界のために。
気軽にできる国際協力

JVCは1980年、インドシナ難民の救援を機に
設立された国際協力NGOです。

現在はアジア・アフリカ・中東および日本国内の東日本大震災被災地で活動をしています。
JVCのポリシーは、問題の根本の解決にこだわること。

今、世界で起きている様々な問題。
例えば食料不足に対して、食料をあげるだけでは
問題は解決しません。
また、難民になった人を助けても、難民が増えることは
止められません。

足りないものをあげるのではなく、
作る方法を一緒に考える。

紛争で傷ついた人を助けるだけでなく、
紛争をおこさない道を作る。

「問題の根本にこだわる」、この思いがJVCの活動を
貫いています。

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JVC国際協力カレンダーは、国際協力への関心を高め、
JVCを支えていただくために1986年に発売され、
累計約50万部を販売しているロングセラー商品です。

現在は、「JVC国際協力カレンダー・ポストカード」
「JVCスマイル年賀状」を毎年制作し、
その収益金をJVCが行う活動のために役立てています。

暮らしを彩るカレンダーや年賀状を買うことが
国際協力につながる「気軽にできる国際協力」として
多くの方にご協力頂いています。

あなたもぜひ、ご参加ください。


●壁掛カレンダー


●卓上カレンダー

●ポストカード

●スマイル年賀状

詳細・ご購入はこちらより https://peraichi.com/landing_pages/view/jvccalendar

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<< 国際協力カレンダー2018発売記念 
 長倉洋海さんトークイベント>>
 
JVC国際協力カレンダー2018年の発売を記念し、カレンダーにご協力くださった写真家・長倉洋海さんのトークイベントを開催します。
 
日時  2017年11月25日 (土) 15:00~16:30 (14:30開場)
 
会場  モンベル 御徒町店 サロン  
東京都台東区上野3-22-6 コムテラス御徒町4F
 
参加費 2,500円(JVC国際協力カレンダー2018壁掛け・卓上いずれか1部付き)
※既にカレンダーご購入済みの方は、1,000円でご参加頂けます。ご購入先をお知らせください。
※モンベル会員の方は特別価格で300円引きになります。


主催 日本国際ボランティアセンター(JVC)


申し込み/問い合わせ先
【お問い合わせ】:JVCカレンダー事務局 伊藤

TEL:03-3834-2388   MAIL:calendar@ngo-jvc.net

事前予約が必要です。ご参加希望の方は、以下のお申し込み画面からお申し込み下さい。
http://www.ngo-jvc.net/jp/event/event2017/11/20171125-calendar.html

秋の収穫~岡山の自宅から~

田中優の自宅庭で採れた野菜たちです。
 







移住した岡山の家の庭には色んな木があり、小さいですが今年から畑も庭で始めました。
 
そこでとれた柿、ゆず、ピーマン。


都会は消費する場所、地方は生産する場所・・

そんなことを思ったとき、田中優が以前書いたこのコラムを思い出しました。

--*--*-*-
 
「消費の時代を超えて、生産の時代へ」



▼そうだ、〇〇を食べに行こう


街中の看板を見て、思わず店に入った経験はないだろうか。
田舎に引っ越して、大きな違いに気づいた。
 
広告が少ないのだ。
 
田舎の近所の弁当屋には「店主、変わりました」と看板が出ていた。なんのこっちゃと思ったら、以前の店主は愛想が悪い上、注文を間違って覚えては違った品を押しつける人だったのだというという。
田舎では広告ではなく、リアルな近所の回覧板の話なのだ。
 
たまに地方都市に出ると、その広告の多さに目を奪われる。
そしてたいして腹も減ってないのに「〇〇を食べに」店に入ってしまうのだ。
 
都会に売っているものは消費するものばかりだ。
 
ところが田舎では人気のある店が違う。
地域の人とばったり会くわすのがホームセンターだ。
DIY(Do It Yourself)の店が多い。
そこで売っているもの自体が都会と違っている。
 
いわゆる消費材ではなく「生産の道具」を売っているのだ。
電気をもらうのではなく発電機を買う。
トマトを買うのではなく、トマトの苗を買う。この違いが大きいのではないか。
 
アベノミクスなどと言われて消費や投機が煽られ、その結果円安が進み、株価上昇が続いている。
一見すると景気上昇が起きているように見える。
違うのだ。
 
価格が上がっていく側面では、乗り遅れずに投資すれば得になる。誰もがウナギ登りの時期に乗り遅れまいとして投機しているだけなのだ。
 
これはバブルだ。
消費が伸びる一方で、所得は増えていない。
むしろ給与所得で見ると減り続けている。
国家レベルでも国の歳入は増えていないのに消費ばかり増やしている。収入が増えていないのに消費ばかりが伸ばすのだから、これはいずれ崩壊する。崩壊するとき、元の状態より悪くなる。
 
おそらくインフレが進んでモノの価格が上がり続ける中、所得は増えないのだから、より深刻な状況に陥るだろう。
 
 
▼労働生産性の向上を活かすには
 
思い起こすと、私たちの社会の労働生産性は著しく向上した。
かつてなら何十人が数日がかりで作った製品を、機械はわずか数分で作ってしまう。
著しく労働生産性は上がったはずなのに、私たちの労働時間は短くならないし、収入も上がっていない。
労働の強度で言えば、むしろ増えてしまっている。
これはいったいどうしたことなのだろう。
 
確かに私たちが購入する自動車など、モノの価格は下がった。
しかしそれでも生活は一向に楽にならない。
この労働生産性の向上を生かす方法がないものだろうか。
 
この方法を田舎に引っ越したおかげで見つけた。
生産用具の価格もまた著しく下がっていたのだ。
広告に乗せられて余分な品を買い込まなければ、この生産用具の価格の低下を生活に役立てられる。
自動車ではなく耕運機を購入するなら、それは生産につながる。
 
消費を煽られて、多くの人が「資産」と思い込んで購入する「自動車・ヨット・別荘」。
これらは実は資産ではない。
 
資産とは、持っていることで収入が得られるものを指す。
自動車を持つことで、「税・車検・保険・ガソリン代」を払わなければならない。
収入が増えるどころか支出が増える。
これは「負債」なのだ。
 
資産にしたいなら、生産財を買うべきだ。
モノには消費材と生産財がある。
その生産財を販売しているのがホームセンターなのだ。
 
残念ながらアベノミクスの後には、大きなインフレが来てしまうことだろう。
少しのインフレなら歓迎すべきことだと思うし、必要な投資がされるなら公共事業も悪いことではないと思う。
しかし旧態依然とした必要ないダムや道路工事など、有効需要につながらない公共事業では無駄遣いにしかならない。
 
それを嘆いていても仕方ない。
それならインフレ時に役立つ仕組みを市民自ら作るのがいいだろう。
 
 
▼インフレ社会こそ地域通貨
 
インフレ・デフレはモノとカネとの相対関係でしかない。
モノの価値が上がってカネの価値が失われるときがインフレ、デフレはその逆で、カネの価値が上がってモノの価値が下がるときだ。
 
これまで数十年に渡って日本にはデフレが続いてきた。
だからモノを買うよりカネを貯めていた方が得になり、人々は今日買うより明日の方が値段が下がるからと買い控えをしてきた。
それが日本国内の生産をつぶしてしまった。
 
だからややインフレに向かうこと自体は歓迎すべきものだった。
生産によってインフレが起こるが、インフレによって生産が作れるわけではないのだ。
 
インフレのとき、カネを持つよりモノを持った方が得になる。
しかしだからと言って不要なモノや消費材を買っても意味がない。
そう、そのとき必要なのが生産財なのだ。
 
水や電気、エネルギーなどを自給する装置は価値を生む。
それが生産財だ。
 
そしてもうひとつ、インフレに進む社会では、モノの価値と一緒に動く地域通貨が役立つ。地域通貨はモノやサービスを担保にして動く。
同じ「大根一本」と交換する地域通貨は、インフレによって価格が高くなろうが、同じ大根一本と替えなければならないからだ。
 
日本の地域通貨ブームは、1999年放映のドキュメンタリー「エンデの遺言」によって始まったために、時期が早すぎた。
しかしインフレ時代の到来を前にして、いよいよ必要になる時代に入ろうとしている。
 
一方人々は、これまで労働生産性の向上による果実を手にすることができずにいた。
しかしその果実は生産用具に結実している。
それならば生産用具を利用しよう。
トマトを買うのではなく、トマトの苗を買うのだ。
 
私の家では太陽光発電で電気を自給できるようになった。
使いきれないほどの電気を手にして、電動草刈機や電動ノコギリを使う。次には電気自動車を買おうと思う。
家賃や電気料金、水道料金は不要になり、灯油は木質ペレットに入れ替わり、やがてガソリン代も不要になるだろう。
 
その分だけ、稼ぐおカネが少なくても暮らせるようになる。
おカネに頼らない社会になったとき、戦争も地球温暖化の問題も、雇用の問題すら解決しているだろう。
そのためにできることを模索していきたい。

2017年11月13日

『 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ 』

天然住宅コラムより

■松枯れはマツクイムシのせい? 

 前号で紹介した松本市の事例は、松枯れ対策にネオニコチノイドが空中散布されるのに反対する市民の報告からの話だった。しかし松枯れは本当にマツノザイセンチュウ、それを媒介するマツノマダラカミキリ(併せてマツクイムシと総称する)のせいなのだろうか。そうなら殺虫剤に効果もあるが、調べてみるとそうでもないのだ。


■菌類と共生するマツ 

植物進化樹形

 同じ針葉樹の中でもマツとスギでは大きく異なる点がある。

 マツは菌根菌と呼ばれるマツタケのような菌類と共生する。その菌が栄養を運んでくれるおかげで、火山灰地のような土すらない栄養のない土地にもマツは生えることができるのだ。その性質のおかげでマツは「パイオニアプラント」と呼ばれる。

 それに対してスギやヒノキ類は菌類と共生していないばかりか、菌根菌による他の植物との情報ネットワークに参加していない。孤高の存在であり、なおかつ菌類に侵されない殺菌能力を持っている。だから幹の中心から腐るような「ウロ」を作らないのだ。


 ではマツのその後はどうなるだろうか。マツに共生する菌根菌は土地が肥沃になるとその場を他の菌類に譲る。滅びてしまうのだ。するとマツは急速に栄養を失って病害に弱くなる。極相林と呼ばれる手つかずの深い森にマツが存在しないのはそのせいなのだ。




■虫の役割 

 虫にも存在価値がある。虫は弱った個体を再びやり直させるために、滅ぼすのだ。実際、虫がつく個体は必ず弱った個体で、強い木や植物には虫がつかない。昆虫を探したければ弱って樹液を流しているようなクヌギの木を探せばいい。それは自然界の掟なのかもしれない。

 そのマツに農薬を撒いてもムダなのだ。確かにマツクイムシを退治できるかもしれないがマツは蘇生しない。マツは栄養を運んでくれる菌根菌を失えば、存続できないからだ。そんなマツにネオニコチノイド農薬を撒くのは無意味だ。ただ被害を他の生命体にまで広げることにしかならない。森のためにもマツのためにもならず、ただ農薬メーカーの利益にしかならないのだ。


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☆--★ コラムは2017.11.13現在、第90回まで更新中!☆---★ 

  
田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」のHPでは、田中優のコラム「住まいと森のコラム」を配信中です。

「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。



田中優の「住まいと森のコラム」 


■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを 
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす
第64回 虫対策、その後
第65回 おカネに依存しない暮らし、自営
第66回 おカネに依存しない仮想通貨
第67回 天然住宅はホコリが少ない?
第68回 住宅教育が必要だ
第69回 住宅費用のイニシャル、ランニング
第70回 無煙炭化器
第71回 偉いぞ、炊飯器
第72回 中国のシックハウス問題
第73回 のらぼう菜
第74回 孤独になる?自給生活
第75回 「自給住宅」と食べ物
第76回 ガーデンパーティー
第77回 「自給の家」の「たべるにわ」
第78回 「居ていい場所」というコミュニティー
第79回 我が家の庭でBBQ
第80回 自給の家と「たべるにわ」
第81回 連休は出かけちゃダメ?
第82回 ネオニコチノイド農薬ふたたび
第83回 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ
第84回 ネオニコチノイドが水を汚染する
第85回 不吉な虫、その名も「死番虫」
第86回 湿気のない腐らない家
第87回 阪神淡路大震災のあった土地は危険?
第88回 病気の話
第88回 
ヒノキチオール
第88回 美意識の差? 宮大工と船大工

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