2018年3月30日

メルマガ『 地球温暖化で寒い冬に 』 &『 戦争と温暖化 』(動画あり)

2018年3月発行の有料・活動支援版メルマガは、昨年2月5日の講演を基に田中優が最新情報も加え書き下ろしをしたものです

◆2018.3.15号 『 地球温暖化で寒い冬に 』 
 
◆2018.3.30号 『 戦争と温暖化 』
 特にISIS、シリアの件は、メルマガ発行直前まで徹底的に調べ原稿にしました。 
 戦争と温暖化・・・一見関係のないように思えますが、実は切っても切り離せないものでした。 


メルマガは3/31までのご登録で無料で3月号をお読み頂けますhttp://www.mag2.com/m/0001363131.html


講演動画

「温暖化なのに冬が寒い理由と、そんな手があったのか!温暖化を解決するヒント」

 https://youtu.be/7xEfQNze7Aw



田中優 講演タイトル「温暖化防止COP22とエネルギー問題」(ノーカット)

講演日2017.2.5 新潟県燕三条にて 主催 NPO良環様 

なぜ温暖化なのに冬がめちゃくちゃ寒くなるの?

地球温暖化を起こしている原因とは

石油を巡る世界の戦争・紛争

軍事で排出する二酸化炭素

パリ協定、合意と決定の大きな違い

日本の中で3分の1を占める二酸化炭素排出元とは

運動には3つの方向がある

日本での解決例

画期的な温暖化問題の解決策

炭づくり、農薬を使わない菌ちゃん農法

家庭でできること

田中優宅での実践例 など


動画より

『だからよく言われるのは、今は温暖化じゃなくて寒冷化が進んでいる、なんてことです。そして我々も実感的に「冬寒いよな」という感じがするわけですが、これ何で起こるかというと、実はジェット気流の流れが二つりありまして、例えばここ日本では偏西風が一年中吹いていますね。この偏西風が赤の線で、もうひとつ、極うず、と呼ばれる青い線があるんです。

 その極うずという空気の流れなんですが、本来はこの円の中に入っているんですよ。ここの極地のところを回るはずだったんです。



 ところが今、北極と北極以外のところの境目の部分がはっきりしなくなりました。地球温暖化が進んで、北極が暖かくなってきたおかげで北極と北極以外のところの境目がはっきりしなくなったんですね。

 そうすると伸びた輪ゴムのように本来極地方に収まっていた青い線が、だらーんと伸びる、ということを起こすようになりました。このだらーんと伸びてきた「極渦」の中に、寒気団が入り込んでしまうんです。それが「シベリア寒気団マイナス40~60℃」というような寒さが温帯に降りてきちゃうんですよ。そうすると、例えばシベリア寒気団みたいな寒さが届いてしまうんです。

 これが降りきてアメリカに寒さをもたらしたり、日本にも去年今年みたいな寒さをもたらすんです。去年地震に遭った熊本も、すごく寒くなって雪が降ったりしましたけど、これも極渦のいたずらなんですね。 」



有料・活動支援版メルマガ 特典号「何が原発を支えたのか」

2018.3.29発行しました!
 
田中優有料・活動支援版メルマガ【特典号】 
 
全文掲載!婦人之友2012.4月号インタビュー






田中優「何が原発を支えたのか」
 

2020年まで続く予定の「総括原価方式」などを始め、 現在につながるお話もたくさんあるかと思います。 



原発は、なぜこんなに推進されてきたのでしょう。その理由は、利益を受けるところが広く存在するからです。その利益を得る人たちのことを、日本では「原子力村」と呼びますが、海外では「原子カマフィア」と呼んでいます。マフィアは利益の集合体、原発はお金が儲かる。その仕組みのおかげで、こういう事態になっているのです。その仕組みは、大きくは4点あります。  
 ひとつは 「総括原価方式」 といって、電力会社は、設備投資にかけたお金に3%の利益を上乗せして、みなさんの電気料金から取っていいことになっています。従って、なるべく高いお金をかけた方が利益が上がる。だから発電所と送電線をなるべく多く造った方が、しかも高いものにした方が儲かるのです。 

「その上、総括原価方式の中には、なんと電力会社の職員の保養施設や、年金の補助金、サークル活動の運営費にいたるまでが、電気をつくるためのコストに含まれていたのです。 
 中でも問題なのは広告宣伝費。電力7社を合わせると、産業界で第1位をしめるトヨタを超えるほど。電力会社を大口スポンサーとしているのがテレビやラジオ、新聞なわけです。そのためメディアは本当のことを言わない状態が続き、戦時中の大本営発表と変わらない構造です。」(抜粋)
 






3/31までのご登録で無料でお読み頂けます。


田中優有料・活動支援版メルマガ 「田中優の未来レポート」
http://www.mag2.com/m/0001363131.html





2018年3月28日

再放送決定!大杉漣さんも出演 デイリーモーションでも!「NHKスペシャル メルトダウン7 そして冷却水は絞られた~原発事故 迷走の2日間」


2018年3月7日に放送されました

「NHKスペシャル メルトダウン7 そして冷却水は絞られた~原発事故 迷走の2日間」

が再放送されます!


初回放送:2018年3月17日(土) 午後9時00分(50分)
 再放送:2018年3月29日 (木) 午前1時00分(50分)

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/46/2586021/index.html


世界最悪レベルとなった東京電力福島第一原子力発電所の事故から7年。
事故がなぜ、どのように起きたのか、今もなお謎が残されている。


独自の取材と専門家による科学的検証を重ね、
事故の真相に迫り続けてきたシリーズ「メルトダウン」。

今回は、人工知能AIも使って、現場で人々がどう行動し何が起きたのか、ヒューマンファクターに迫る。

3つの原子炉がメルトダウンした後も続いていた放射性物質の放出。
東北地方だけでなく、一部は東京や千葉など関東地方にも届いた。

なぜ放出は止まらなかったのか。

一連の事故対応を記録したテレビ会議の発言や国や東京電力の間でやりとりされた数万枚のFAXなど、膨大な記録を読み解いていくと、新たな事実が浮かび上がってきた。


想定外の事態が次々と発生したときに、人間は何に直面するのか、当時の現場をドラマで再現する。


福島第一原発で進行した危機の実態を解明し、今に突きつけられた課題を探る。


出演者ほか
【出演】大杉漣,宅麻伸,佐戸井けん太,篠井英介,【語り】高橋美鈴



★デイリーモーションでもご覧頂けます!★

http://dai.ly/x6gg8wo


2018年3月26日

“絶版本”「原発に頼らない社会へ」公式webshopで販売開始!


「原発に頼らない社会へ」は、「ヤマダ電機で電気自動車を買おう」というタイトルで出版されていたものを、 2011年3月11日の原発震災事故を目の当たりにして大幅に追加・修正し2011年4月に緊急出版されたものです。  

そしてこの出版社の武田ランダムハウスジャパン社が2012年に倒産してしまったため、残念ながら今では“ 絶版本” となってしまいました。
 
そこで田中優公式webshopにて弊社の在庫分の販売を開始しました。


3.11事故から7年が経ちました。
この本が改めて「原発に頼らない社会」を作っていく参考になれば嬉しいです。
 

まだお手元にない方は、ぜひこの機会にお求めください☆
 

<<内容>>
 

福島第一原発事故は予想されていた。
 
柏崎も活断層を心配した住民の反対を押し切って建設され、事故を起こした。
 

なぜ東京電力は原子力発電所を造りたがるのか?

造れば儲かるからだ。
 

国民の安全と引き換えに生み出された原発は、いったい誰のためのものなのか?
 

田中優が問題点に鋭く切り込み、画期的かつ現実的な代替案を投げかける!
 

もう電力会社には任せられない。
 

日本経済が破綻する前に考えるべき、これからのエネルギーのあり方。
 

<<目次>>
 

■はじめに

■Prologue 脱「恐竜の時代」を


■1 この不況はいつまで続くのか
(サブプライム問題;信用創造と信用収縮;信用創造という名の増幅装置を解決する ほか)
 

■2 エネルギーをどうするか
(クルマの問題を解決する;「貯められない電気」を解決する;電力の温暖化問題を解決する)
 

■3 恐竜時代からの脱出
(おカネの発想とエネルギーの発想をミックスする;「地域内の資金量×回転数=地域経済の規模」を応用する)
 

■あとがき



 

単行本: 160ページ

出版社: 武田ランダムハウスジャパン

言語: 日本語

ISBN-10: 4270006455

ISBN-13: 978-4270006450

発売日: 2011/4/21

梱包サイズ: 21 x 14.8 x 1.8 cm
 

本の帯は 坂本龍一さん に書いて頂きました↓ 



「異なる選択、よりよい社会は可能だ。」(坂本龍一)



定価 1,080円(税込) 送料無料です!

詳細・お買い求めはこちらより
 https://tanakayu.thebase.in/items/10457050

2018年3月24日

『 未来バンクの世代交代 』

 未来バンク事業組合 理事長  田中 優


 以前講演会場で聞かれたことがある。「そろそろ次の世代に引き継がなければならない時期に入ると思いますが、後継者の育成はどうしてますか」と。

 そのときぼくが答えたのは以下のようなものだ。

 「自分が誰にも育てられた覚えがないように、次の世代の人も育てるということはできないのではないかと思います。育てるのではなく、勝手に育つものなのではないかと」


 簡単な言葉で言うと、ぼくは生意気に育ってきたのだ。誰かに育てられたこともなければ、自分から何らかのエスカレーターに乗ったこともない。若いころにつまらない組織の幹部候補に持ち上げられたこともあった。もちろん断った。自分で決めればいいときに、誰かの頭を借りる必要はない。そう思っていたし、今でもそう思う。

 しかし未来バンクの監査役と話していた時に、「そろそろ団体をどうしていくのか考えてもらいたい、年齢が団体のリスクになってきています」と言われた。確かに私自身が還暦を超え、団体は次の世代に譲れるように体制はなっていなかった。こちらは譲りたいと思っているのだが、無償の労働で運営し、名誉も何もない活動を引き継ぎたい人がいなかったのだ。


 未来バンクを立ち上げたのは1994年だったから、いつの間にか24年も経っている。
立ち上げたときは30代だったが、もう還暦になる。人生の中で、活動できる期間というのは実に短い。他のNPOバンクに併合してしまうのもいいが、我々の活動があまりにも禁欲的であったために、変質は免れない。

 もちろん努力はした。未来バンクの中で「作戦会議」を作り、いろいろ新たなリクルートの試みもしてみた。そこに集ってくれる人たちは素晴らしかったが、私たちと年齢が近ければ、すぐに次の世代交代の時期がきてしまう。


 必要な資質があるとすれば、何よりフェアな人であることだ。おカネを扱う以上、絶対に自分を優位においてはいけない。自分のことは貧しいままにしたとしても、他の困っている人を優先できないといけない。


 もう一つはリスクに対する敏感さだ。してみたいことがあったとしても、リスクを考えて判断していかないといけない。実際、未来バンクの中でぼく自身はアクセルだった。先に進むために新たなことをしてみたくなるタイプだ。しかし事務局長の木村さんは慎重に考えるタイプで、ブレーキ役を果たしていた。木村さんの考えることは常に冷静・正当だった。それを熟慮していく中から、新たな仕組みを作り上げて実現した。そのときに人の意見に耳を貸さないタイプだっらできなかったことだろうし、問題を別な形で解決できるスキームを考えつかなかったら実現できなかったことだろう。


 例えば「特定担保提供融資」というものがある。あるとき、ドキュメンタリーの映画作りの融資申し込みがあった。素晴らしい映画を作ってきた監督であり、映画に対する信頼性はあったのだが、リスクが高すぎる。たくさんの人に観てもらえなければ資金の回収はできないのだ。映画監督と聞けばなんだか立派な職業のように聞こえる。しかし自分でスポンサーを見つけなければできず、不安定なものなのだ。

 そこで未来バンクの組合員に、自分の持つ「出資金」の一部を担保として提供してもらい、その分だけ融資する仕組みを作った。もちろん出資金を提供してくれる人たちの出資金は返済されなければ担保として返済金に充てられてしまう。そのあとは未来バンクが代理人となって返済を求め、返されれば取り上げられた出資金に充当されていくという仕組みだ。

 この場合、リスクは未来バンクが背負っているのではなく、「担保提供してくれている組合員」が負っている。その分だけ未来バンクはリスクが減るのだから金利はその分だけ少なくていい。だから当時通常3%だった融資金利を1%に下げた。残りのリスクは担保提供してくれた組合員が支えてくれたのだ。

 最終的に融資は実行でき、「教えられなかった戦争シリーズ」の第三回が完成した。高岩さんのその作品はキネマ旬報特別賞を受賞してくれた。そのおかげもあって完済された。


 もしこうしてリスクをみなで分担していくなら、融資はもっと身近なものにできるかもしれない。市民が自分たちでリスクを分担していけるなら、もっと少ない金利でさまざまなことを実現できるかもしれない。それがさらなる未来バンクの未来にしたいと思うのだが、残念ながら私たちの世代は終わってしまった。


 そうこうしている中、予想外な形で後継者が現れた。同じ仕組みで立ち上げていた「天然住宅バンク」のメンバーたちが、未来バンクを引き継ごうと言い出してくれたのだ。


 天然住宅バンクは、非営利の一般社団法人「天然住宅」の取得を助けていくために立ち上げた仕組みだ。住宅取得の際の「つなぎ資金」の融資や、住宅のための木材を供給する「くりこま木材」への融資、太陽光発電による電力自給システムやペレットストーブ設置への融資などを行ってきた。代表は私が担っていて、理事メンバーには未来バンクの理事たちも参加している。 それ以外の若いメンバー中心に、新たなバンクを作ろうと考えたのだ。

 これまでは住宅に特化した融資を行ってきたが、これからは未来バンクの融資スタイルを取り入れながらさらなる融資を実現したいという。名前は「未来バンク事業組合」を引き継ぎ、新たな仕組みを実験していきたいという。

 主要メンバーには現在の天然住宅バンクを担っている井上あいみさんと田中竜二くん、それと天然住宅を建ててオフグリッド生活を始めた佐藤隆哉さんが担う。いずれのメンバーも30代の中盤だ。さらに弁護士の田中翔吾くん、映画製作と福祉ワーカーを掛け持ちする田中悠輝くんも参加する予定だ。

 ここに未来バンクを合併させて、名前は彼らの希望で「未来バンク」を名乗りたい意向だ。ここに出てくる田中竜二くん、田中翔吾くん、田中悠輝くんはぼくの三人の息子たちでもある。彼らは自分の意志で引き受けたいという。

 私たち未来バンクのメンバーはアドバイザー的に関わり、少しずつ抜けていっても大丈夫なように体制を整えるように手伝いたいと思っている。


 未来バンクの未来のために、次の世代に事業を引き継ぎたいと思うので、協力をお願いしたい。


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以上、2018年3月発行 
※「未来バンク事業組合ニュースレター No.94/2018年3月」より抜粋

※PDF版はこちら
http://www.geocities.jp/mirai_bank/news_letter/MB_NL_94.pdf


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金融のスペシャリストでもある未来バンクの他メンバーたちによるコラムも必見です。
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2018年3月19日

3/31abt無料公開セミナー「食べものと生きものに赤信号!? ~新しい農薬、ネオニコチノイドのリスク」

田中優より
一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト(abt)の審査員をしています。
3/31は最新の情報を得られる機会です。入場無料です。ぜひご参加ください。」

田中優も参加予定です。


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 ネオニコチノイド系農薬は、その浸透性・残留性・神経毒性から生態系や人体への影響が問題視され、ミツバチや水生生物の激減、子どもの脳の発達への影響など、問題の深刻さを示す研究成果が多数報告されています。海外では規制が始まっていますが、日本ではむしろ規制を緩める方向に向かっているのが現状です。


 abtは2011年度より、助成事業の3つの柱のひとつとしてこの「ネオニコチノイド系農薬問題」に取り組み、市民団体や環境NGOへの活動支援を行ってまいりましたが、日本でも本気で規制に動く時期が来ていると考えます。

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公開セミナー


「食べものと生きものに赤信号!?
 ~新しい農薬、ネオニコチノイドのリスク」

https://www.actbeyondtrust.org/2018-03-31/


FBイベントページ
https://www.facebook.com/events/155236785180665/

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 ネオニコチノイド系農薬はミツバチの大量死の要因とされ、各国の調査で生態系に及ぼす深刻な影響が報告されています。EUをはじめ海外では使用規制が始まっていますが、日本ではむしろ規制を緩める方向で、米や野菜、果物に、そしてペット用品や建材にも日常的に使用されています。浸透性のため洗っても落ちず、近年の研究では人への影響の可能性も報告されています。

 このセミナーでは、ネオニコチノイド系農薬のリスク、食の安全と環境に及ぼす影響、消費者に何ができるかなどを、この問題に関する調査・研究、政策提言などを行う環境NGOと、田んぼの生きもの調査をしながらネオニコチノイド系農薬を使わない米作りに取り組むNPOとのパネルディスカッションを通じて考えます。


 セミナー終了後は、一般社団法人アクト・ビヨンド・トラストの2017年度公募助成報告会として、「公益財団法人みやぎ・環境とくらしネットワーク 食部会」、「生活協同組合連合会 コープ自然派事業連合」より、「ネオニコチノイド系農薬問題」に対する取り組みの活動成果が発表されます。
 たくさんの方のご参加をお待ちしています。


■日時 2018年
3月31日(土) 14:00~16:20 (受付13:30)

■会場 ウェスレーセンター セミナールーム205号室
東京都港区南青山6-10-11(東京メトロ 表参道駅より徒歩10分)
http://wesley.or.jp/access/index.html


■セミナー登壇者
国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 関根彩子さん、
NPO河北潟湖沼研究所 高橋久さん、宮野義隆さん(石川県)


【2017年度公募助成報告会プログラム】

■公益財団法人みやぎ・環境とくらしネットワーク 食部会
「情報発信ツールを用いたネオニコチノイド系農薬の認知度向上と情報収集の場の提供」

■生活協同組合連合会 コープ自然派事業連合
「ネオニコフリー生産者消費者・リレー学習会の開催」

■参加費 
入場無料
※参加者全員に「生きもの元気米 玄米がゆ(レトルト)」1袋をプレゼントいたします。


▼参加申込、詳細はこちらから
https://www.actbeyondtrust.org/2018-03-31/


▼ネオニコチノイド系農薬問題とは?
https://www.actbeyondtrust.org/neonico_leaflet/


▼ネオニコチノイド系農薬問題を詳しく知る
https://www.actbeyondtrust.org/link/#link1


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【主催・問い合わせ先】
一般社団法人アクト・ビヨンド・トラスト
https://www.actbeyondtrust.org/contact/

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「ネオニコチノイド」という言葉、田中優のブログでは2009年1月に初登場していました。(2009.1の無料メルマガを転載したもの)


「いないいない病~ミツバチ失踪事件~」
http://tanakayu.blogspot.jp/2009/01/blog-post.html


■ミツバチ失踪事件

 昨年こんな事件があった。「全米でミツバチ突然消える、被害20州超える」というものだ。「全米各地で、ミツバチの巣から女王バチを除く大半のハチが突然消える異常現象の報告が相次いでいる。ミツバチの「いないいない病」と命名された異常現象は昨秋以降、東海岸から西海岸へと広がり、被害地域は20州を超えた。

 原因は分かっておらず、ミツバチに授粉を頼るアーモンドやリンゴなどの収穫にも影響が出るのではないかと心配されている。昨秋にペンシルベニア、ジョージア、フロリダの3州で発生した後、全米に拡大した。民間調査会社ビー・アラート・テクノロジーによると、2008年2月13日現在、確認された被害地域は22州にのぼる。その後、ワシントンなど2州からも報告が寄せられているといい、被害の拡大が続いているとみられる」と。

 この事件はアメリカだけではない。日本でもたくさんの被害が出ている。ぼくが四国の山間部に訪ねていったときも、このごろ急にミツバチが減ったので、キウイの受粉を手でしてやらないと実をつけないと聞いた。


 しかし不思議なのはそこから先だ。受粉しなければ植物は実をつけることがない。すると作物の大半が作れなくなるのではないか、という深刻な問題であるというのに、なぜか多くのメディアが取り上げようとしていないのだ。


 原因については、「はっきりは分からないが、感染性の病気でハチが大量死しているのではないか」と言う。ミツバチを連れてアーモンドの授粉を請け負う業者の移動経路が、今回の「いないいない病」の拡大経路と重なることが根拠だ。
一方で、農薬をはじめとする化学物質の影響も指摘されている」というものだ。それ以外に「電磁波」の被害とするものや、働かせすぎた結果とする「過労説」まであった。


■ネオニコチノイド

 しかし、先日船瀬俊介さんと対談したときに、ぼくの質問に対して船瀬さんが自分の著書を出して教えてくれた。「悪魔の農薬、ネオニコチノイド」という本だ。確かにインターネットで調べたときに、「巣箱にあった花粉を調べたところ、予想を上回る50近い数の農薬が発見される。

 なかでも、ネオニコチノイド系の殺虫剤は害虫を駆除する力がきわめて強く、大規模農園の効率的な生産には役立つものの、一方ではミツバチの神経を破壊して方向感覚を狂わせ、巣に戻れなくさせる可能性をもつ劇薬だった」とは書かれていた。だからそれが免疫力を下げて、他の感染症を招いたのだろうと考えていた。つまりネオニコチノイドは、原因のワンノブゼムだと考えていたのだ。しかしそんな甘いものではなかった。


 ネオニコチノイドは、これまで使われてきた「スミチオン」のような有機リン系の農薬が効かなくなり、さらに人体への害が知られることになって現れたものだ。有機リン系の農薬に虫が耐性を持つようになり、いくら撒いても効果が出なくなったのだ。しかも有機リン系の農薬は神経毒性があり、うつや記憶力・知力の低下、言葉が話せなくなる統合失調症になるなどの被害が現れる。これをマツクイムシに効かそうと、じゃんじゃん飛行機から空中散布していたのだ。

 進化の発展途上にある生物は、こうした環境の変化に対して敏感に反応できる。
その結果、農薬が効かなくなったのだ。しかし人間のように進化がかなり進んでしまっていて、しかも世代交代にかかる時間が虫よりずっと長い生物では対応できない。つまり農薬は、短期的に虫を殺せるが、長期的には続かない。長期的には世代交代までの時間の長い、人間などを効果的に殺傷できる薬品なのだ。


 有機リン系農薬の次に進められたのが、このネオニコチノイドだった。ほとんど立証できる証拠はないのに「低毒性」を謳い、水溶性で持続性がある。タネを薬に漬けておけば、その後も害虫が殺せる、地面そのものから殺虫効果が持続するというものだ。しかも無味・無臭・無色であるために、ミツバチは有機リン系農薬のときのように、避けることができなくなった。

 ミツバチはそれを巣の中に持ち込んでしまい、他のミツバチも汚染される。
翌朝飛び立つことはできたものの、神経毒性のために巣に戻ることができなくなるのだ。研究は数少ないが、「心電図に著しい不整脈を示す患者が急増、人間の行動を抑制する神経に悪影響を与える可能性」が指摘されている。要はキレる形の神経毒性があるのだ。


 多くの公害病と同じように、この被害とネオニコチノイドとの因果関係を立証することは困難だ。しかしこの散布とミツバチ被害との間には蓋然性(がいぜんせい=密接な関係性のこと)がある。フランスでは裁判所が認定し、ネオニコチノイドを使用禁止にしている。

 こうなるとはっきりしてくるのが農薬メーカーの圧力だ。これほど深刻なレベルの問題だというのに知らされないのは、最初に製造したドイツのバイエル社(商品名アドマイヤー)の圧力と、その後すべての農薬会社が作った既存農薬とネオニコチノイドとのカクテルが、その大きな収益源となっているためだろう。


■「絶望」を逆手に取る

 ミツバチが死ねば、植物は実をつけない。一年草であれば翌年にはこの世から消える。人にも大きな被害が出るが、それを除いても破滅的だ。生物のピラミッドの一番下で光合成する植物を滅ぼすのだから。今すぐにネオニコチノイドは禁止すべきだ。農薬に頼るのではなく、時間と労力がかかっても自然の知恵を生かすべきだ。そうでないと生物は滅びてしまうのだから。


 しかし農薬で食べている人たちは「たいしたことはない」と繰り返す。しかし誰もが気づいているのではないか? これを繰り返していたら、利潤のために人は滅びてしまうと。そんな未来に対抗したい。こんなプランはどうだろうか。


 ミツバチは農薬に対する指標生物だ。だからミツバチが存在していられた場所は有機作物の認定ができる。敵対して皆殺しにしてきた生物種を逆に、有機認定の程度として活用するのだ。もちろん一種類が大量に発生すれば作物は収穫できない。だから多種多様な生物種が少量ずつ生存していることが、その畑の健全さの指標になる。


 日本では日本ミツバチを利用した養蜂家が、日本各地を回って蜜を集めてきた。
その彼らは農家と直接の利害関係はない。その彼らに認定させることで、今よりはるかに簡単な有機農家の認定ができはしないだろうか。カナリヤが鉱山の指標なら、ミツバチは農業の指標だ。その次に倒れるのは人間なのだ。

 今、国内でも大量のネオニコチノイドが使われている。中国でも同様だ。アメリカの22州を襲いながら知られてこなかったのは、「企業にやさしい」ブッシュ政策のせいでもある。まずはこの話、本当かどうかから調べてみてほしい。





2018年3月16日

「イラク戦争を検証するための20の論点」&2018.3.18イベント

田中優「戦争をやり得にさせたくない。
悪しき前例を残さないために、私たちは問い続けなければなりません。
国連憲章下に生きる者として、イラク戦争は何だったのかと。」


もうすぐイラク戦争から15年
日本も大きく関わっています。50万人以上の方が亡くなったともあります。


ですがいまだに検証されていません
イラク戦争とはいったい何だったのでしょう?

この
「イラク戦争を検証するための20の論点」は、2011年3月に発行されました。
田中優も寄稿させて頂いています。







このまま検証しないということは、これからもその悲劇が繰り返されるかもしれません。

ご興味のある方はぜひお読みください。

合同出版
http://www.godo-shuppan.co.jp/products/detail.php?product_id=547




これに関連して、2018.3.18にイベントがあります。


★おススメイベント★



【3/18 IRAQ DAY

~イラク戦争が世界にもたらしたものと日本の現在地を考える1日~@東京】

JVC(日本国際ボランティアセンター)理事の谷山博史さん、田中優が呼びかけ人になっている「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」 がイラク戦争開戦から15年になる2018年3月に、下記のイベントを行います。ぜひご参加ください。

【以下、主催者広報文】
イラク戦争はたった15年前に日本が積極的に関わった戦争です。
未来をつくるには過去の「失敗」から学ぶことが何よりも大切だと私たちは考えています。
この1日できっと日本の現在地が見えてくるはずです。

※田中優は別件により参加できません。




■日時 2018年3月18日(日) 開場・受付 10:30~
第1部 11:00~16:15
第2部 16:30~18:30


■会場 専修大学 5号館5階551教室
住所:東京都千代田区神田神保町3-8

<プログラム>

■第1部 上映作品
11:00~『リトルバーズ -イラク戦火の家族たち-』(2005年 102分 綿井健陽監督)
13:00~『ファルージャ イラク戦争 日本人人質事件…そして』(2013年 95分 伊藤めぐみ監督)
15:00~『ONE SHOT ONE KILL』(2011年 藤本幸久監督)
~『This is a 海兵隊』(2017年 藤本幸久・影山あさ子共同監督)

■第2部 トーク&ディスカッション
綿井健陽(映像ジャーナリスト・『リトルバーズ』監督)
杉原浩司 (武器輸出反対ネットワーク -NAJAT- 代表)
志葉玲(ジャーナリスト)高遠菜穂子(エイドワーカー)
スペシャルゲストをお迎えします!

■入場料 (一般)2,000円(学生)1,500円 ※入出場は自由です
《友だち割引》学生2人以上で来場の場合、お一人様1,000円
小・中学生は無料
 
■主催 イラク戦争の検証を求めるネットワーク
■共催 ラクホープネットワーク・市民社会フォーラム・ふぇみん

★お申込み・詳細

2018年3月15日

3/17(土)・18(日)天然住宅 賃貸住宅見学会&トークイベント@兵庫・明石市

エコアパートgreenfingers

天然住宅が、3/17(土)・18(日)兵庫県明石市内にて無料の賃貸住宅の内覧会&トークイベントを開催します。

今回ご見学いただくのは、築4年の賃貸住宅です 。
「パッシブデザイン」をコンセプトに、自然の風や太陽光を生かした家庭菜園付きエコアパートです。

ナチュラルなお庭づくりをされている造園家であるオーナーのこだわりがたくさん詰まっています。

パッシブデザインを取り入れ、その土地の気候を利用した設計になっており、夏涼しく、冬暖かい暮らしができます。

それぞれのお部屋には、菜園スペースが面しています。


自然素材の心地良い空間で、菜園のある暮らしだけでなく、地主さんを通して地域との繋がりも持てるお住まいです。


兵庫県産の無垢材やしっくいなど、自然素材をふんだんに使っており、自然素材ならではの経年変化もご覧いただけます。


気持ち良い室内環境を実現するため、木材(ヒノキ)は防腐剤・防カビ剤・防虫剤は不使用。

その他にも、合板や合成化学物質を含まない建材を使用して建築しております。

ぜひ、体感しにいらしてください。


賃貸希望の方だけでなく、賃貸住宅の建築、戸建て住宅の建築をご計画の方も、ぜひお越しください。


■日時 3月17日(土) 14:00~16:00  または  18日(日) 10:00~12:00

※17日の部は混み合ってきましたので、これから申し込みされる方は可能であれば18日の部にお申込みください。


■場所 兵庫県明石市

■参加費 無料

■内容 見学会&セミナー

トークイベントでは天然住宅の代表相根昭典、設計者の山田知平、
greenfingersオーナーより、お話させていただきます。

※田中優は都合のより参加できません。

■お申込み 下記フォームよりお申し込みください。
http://tennen.org/event/akashi.html


2018年3月14日

三田茂先生『「新ヒバクシャ」に「能力減退症」が始まっている』

三田茂先生の臨床からの新たな仮説。「能力減退症」。
ぜひ読んでみてほしい。三田先生とは岡山の私の自宅で初めてお会いしました。


『新ヒバクシャ』に『能力減退症』が始まっている

三田茂    三田医院    

 2011年3月11日の東日本大震災に引き続く東京電力福島第一原子力発電所の爆発により、福島はもちろん東日本は広範囲に放射能汚染された。


 東京都で開業医をしていた私は、当院患者さんたちの体調の変化に気付き、首都圏住民を中心に約4000人の検査、診療を行ってきた。


■2011年から2016年

 私の患者さんたちは、放射能回避の意識の強い人たちなので現在まで重症の疾病の発生は目立たない。しかし、異常な鼻血、皮下出血(アザ)、リンパ節の腫れ、下痢、喘息副鼻腔炎などの呼吸器疾患の多発、難治化、ケガ、キズ、皮膚炎の治りの悪さ等が気になった。

 本来小児特有の病気である手足口病やヘルパンギーナが成人にも多く見られたり、主に高齢者の病気である帯状疱疹が小児にも多く見られたり、他の性病は減少傾向なのに梅毒のみが激増したりしていることは統計からも明らかで、注目すべき変化である。

 私は国の定める電離放射線検診に準じた血液検査を、乳幼児から老人、約4000人の受診者に施行してきた。

 小児、特に乳幼児に顕著だった白血球減少は、2012年までの1年間はホットスポットとして知られる東京東部から東葛エリアで目立ったが、その後は西部の武蔵野エリアにも広がり、今や首都圏はどこでも同じとなってしまった。
 巷では、主に福島の甲状腺癌の話題ばかりが取りざたされるが、そのことのみを論じていては全く不足である。

 白血球の減少、白血球像の変化、諸々の自覚症状、感染症のプロフィールの変化、疾病の進行の様子の変化、診断がつきにくく治療の反応が悪くなってきていることなどを分析、議論すべきである。


 私の観察によれば、東京首都圏居住者の健康被害は明らかであり、福島県の汚染の少ない地域や北関東の住民のそれよりもむしろ深刻である。


■『新ヒバクシャ』とは?

■『能力減退症』とは?

記憶力の低下、疲れやすさ、集中力・判断力・理解力の低下、コントロールできない眠気、病原菌に対する防御力の低下、身体の免疫力の低下・あるいは時間的な遅れ、傷害組織の治癒力の低下 

 これらを含めた、多面的「能力」の「減退」=『能力減退症』が事故後3~4年を経て急速に増えていることを感じ、危惧するのである。


■『能力減退症』の原因

■『能力減退症』の治療

■『新ヒバクシャ』の皆さんに

■医療者、とくに開業医の先生方に

■再び『新ヒバクシャ』について

■むすび

全文をぜひご一読ください http://mitaiin.com/?page_id=519


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グリーンピースの最新放射線調査、三田先生の臨床の実態を読んでから見てほしい。
帰れないのは当然だと思います。


グリーンピースFacebookより

「除染が終わったとして、避難者の帰還を進める政府。しかし、大部分で避難指示が解除された飯舘村のある民家では全測定地点の73%で、一般人の被ばく限度以上の放射線が計測されています 2011年3月以降つづけてきた福島県での28回目の放射線調査。その要点をブログにまとめました。除染しても下がらない —2018年最新放射線調査 」






2018年3月12日

2011年3月11日を、社会のターニングポイントに



「ボクは311以降、社会のムードが大きく変わっているなっていうのを実感しています。

 例えば先程ちょっと紹介したペレットストーブの話を震災前に話をすると、大概の人たちはこう聞いたんですよ。

「それを使うと灯油より安いの?高いの?」って聞いてました。

ところがその震災以降、誰も聞かないんですよ。

何て聞くかと言うと、

「それを使ったらその地域を復活するようになるの?
地域の資源は利用できるようになるの?
地域の人たちは雇われるようになるの?」


っていう風に聞いてくれるようになった。

ここですよ、ここのタイミングで私たちが生まれ変わらなければいけないと思う。


ボクは将来の子供たちに絶対に言われたい。


「こんなにいい社会になってくれたのは、
2011年3月11日が、社会のターニングポイントになったんだね」



という風に言われることを実現したいと思います。

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▼youtube TANAKAYU info チャンネルより
「日本を明るく元気にする"よい仕事おこし"フェア」
田中優1分間スピーチより http://youtu.be/tkvg-74DxjA 


2018年3月9日

WEB SHOP新登場!『何のための水道民営化なのか&水問題というトリック』

今年1月に発行されたばかりの田中優有料・活動支援版メルマガがWEB SHOPに登場しました!
 


『何のための水道民営化なのか&水問題というトリック』
 

2018年1月16日、1月30日に発行しました、有料・活動支援版メルマガ「田中優の未来レポート」のバックナンバーです。
 
2記事のセット版です。

A4サイズのPDFで34ページ(原稿部分は25ページ)分です。
すぐに読めるダウンロード版と、じっくり読む印刷物版があります。

印刷物版は送料無料です。
 

主な内容
 
『何のための水道民営化なのか』
 
・2018年1月の水道法改正案の復活!?のニュース
・全国での水の1人当たりの最大供給量は減り続けている!
・民営化により水道料値上げは必至に
・水道料金を構成する費用内訳から見えてくること
・ダムはムダ
・水道料金の仕組みから考え直す
 ~電力と同じ総括原価方式が採用されいる事実~

参考:「官僚だけが大儲け。日本を破壊する「水道民営化」のトリックに騙されるな=田中優」


『水問題というトリック』
 
・人口一人当たりの資源水量
・多く使われているのは生活用水よりも農業用水
・世界と比較、日本の合計一人当たりの水使用量は
・バーチャルウォーターを考える
・世界水フォーラムと巨大企業のねらい
・家庭でできること
・八ッ場ダムは本当に必要か?
 

★ダウンロード版
https://tanakayu.thebase.in/items/10180329
 

★印刷物版
https://tanakayu.thebase.in/items/10180404
 

ただいまご購読された方に、
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2018年3月5日

『 近未来の「八ッ場ダム」崩壊のシナリオ 』

■粘土と土砂のミルフィーユ

 日本に住んでいると、地球は生き物のように生きているものと感じる。
今回起こった白根山の噴火など、予想もしない中で起きている。この噴火の噴石が飛んで、人が死傷している。水蒸気噴火とみられ、熱いマグマ溜まりに流れ込んだ水分が、一瞬で蒸発した圧力上昇で爆発したものとみられる。これは木曽の磐梯山の爆発の時と同じだ。

 しかし今回の噴火の中で、ぼく自身が気にしたのは、噴火が収まると「スキーのゲレンデは真っ黒になった」という話だった。これは何なのだろうか。

 調べてみると、どうやら「粘土質の噴煙」のせいらしい。爆発をしばらくぶりに起こした火山では、その休んでいた期間に応じて「粘土質」を吹き出すのだ。休止していた長い期間に岩などが変性し、温度も加わった風化によって粘土を作る。このことが意外なことに重要になる。

 去年の熊本地震の際に、阿蘇大橋が崩壊した。あれも同じように阿蘇山の噴火によって粘土と土砂がサンドイッチになった土壌で起きた。粘土は水田の底に塗るみたいに水を通さない。ところが土砂の方は水があれば流れ落ちる。水が流れると、粘土の上に降り積もった土砂のところで「流動性地滑り」が起きるのだ。




 結局あまり問題にされないままだが、阿蘇大橋のときの土砂崩れを起こした水は、「九州電力の黒川第一発電所」の水路からこぼれ落ちた水だった。限りなく人災に近い崩壊だったのだ。それに巻き込まれて大学生が車ごと犠牲になったが、あれは産業遺産になっていた百年以上前に造られたダムの送水管の崩壊のせいの可能性が高いのだ。産業遺産どころではない。危険な装置を放置したことが問題なのだ。


 この粘土と土砂のミルフィーユは、そこから山の崩壊を起こす。「史上最大のダム災害」というイタリア映画があるが、これは現実に起きたダム事故から制作されたものだ。イタリアで400メートルを超える巨大ダムが造られた。造って水を貯め始めると、水位を上げるに伴って群発地震が起こり始めた。心配した周辺住民が相談したが、国と電力会社の「事なかれ主義」は、学者をして「地震とダム建設は関係ない」と言わせた。

 群発地震が続くのに強引に貯水し続けると、ある時、山の後ろ側に見える山が動き始めたのだ。ここにきて電力会社の担当者は神に祈ったりしたが、祈り虚しく山は崩壊してダムの貯水池に崩れ落ちた。するとダムの水は津波を起こし、400メートル以上もあるダム堤を150メートルも上回って水が下流に落ちていった。下流にあった村は何もかも消え去った。数千人いたはずの村人も消え去った。この電力会社の認識不足による事故を、「史上最大のダム災害」と呼んでいるのだ。


 日本でもあちこちでダムを造るたびに地震を頻発させている。ところが日本政府はかつてのイタリアのように、これをダムのせいだとは認めていない。世界では「ダム誘発地震」という言葉で呼びならわしているのに。

 特に粘土と土砂がミルフィーユ状になっているところが危険だ。水を通さない粘土層が滑り台のようになって、上の土砂を滑らせるからだ。実は全くミルフィーユ状になった土地が、今「八ッ場ダム」を造っている最中の土地なのだ。そこは浅間山の噴火でできた大地を川が侵食したことによってできた大地だ。だから山の高さはみな同じなのだ。噴火で降り積もった大地を川が侵食したのだから、山の高さは元の大地の高さに並んでいるのだ。しかも噴火から年数が経つにつれて、その地層は屈曲してくる。そこに水が入れば滑り落ちるのだ。


 するとどうなるか。この八ッ場ダムは貯水量が一億トンを超える非常に巨大なダムだ。しかもそれは利根川につながっている。このダムが壊れたなら、ことによると貯められた一億トンの水が東京目指して流れ落ちてくることになる。パニックになる暇もなく、破壊されてしまうだろう。それは「史上最大のダム災害」の記録を塗り替えてしまうかもしれない。イタリアのバイオントダムの事故から日本の政治家や官僚たちは何も学ばない。おかげで人々は被害者にカウントされるのだ。

 実は恐怖はそれだけではない。この建設中の「八ッ場ダム」予定地は、今回噴火した白根山と浅間山の間にあるのだ。この火山の連続するエリアの真ん中に位置する八ッ場ダムは、それらの噴火に巻き込まれる位置にあるのだ。日本政府や官僚たちは、イタリアのバイオントダム事故の前にそうだったように、「そんなことは起こらない」と頬かむりを続けている。しかし自然の起こすことは、政治家や官僚が決めることではないのだ。


 やがて実際の事故が起こる。起こるのは確実だが、どの程度のものになるかはわからない。そのとき、みんなで「そんなことが起こるとは思わなかった」と唱和するのだろう。阿蘇大橋が崩壊したときにそうであったように。

 しかしこれは止められる事故なのだ。幸い、東京の水消費量は減り続けている。
「八ッ場ダム」がなくても水に困ることはない。水の民営化を東京都知事が進めているが、ダムは料金を値上げさせることはあっても、ダムのおかげで水道料金が安くなることは絶対にない。ただの危険でムダなダムなのだ。

 水の消費量は日本全国でどんどん減っている。かつてはトイレの水洗化で水消費量が増えたのだが、今の最新のトイレはかつての五分の一しか水を使わない。トイレの水洗化率はほぼ百パーセントになったのだから、もう増えない。新たな設備に換えるごとに水消費量は減り続けている。人口だってとっくにピークを迎えて減り続けている。

 それなのに一部企業や利権政治家たちのために続けるのだろうか。今も着々とダム建設は進んでいる。人々が気づいて止めることがなければ「世界新」を記録するだろう。

 ミルフィーユ状の大地に、ダムは最も向かない施設なのだ。今すぐ工事をやめよう。