2016年10月8日

『 寺田本家さんに共感する 』

天然住宅「住まいと森のコラム」 番外編

『 寺田本家さんに共感する 』


■奇跡の木、スギ

 天然住宅の建てる家の木材はスギがメインだ。しかも国産で防カビ剤に漬けない品で、しかも高温乾燥させずにスギ本来の芳香成分、精油分を残している。


2016.3に完成した天然住宅仕様の田中優宅



 最初は「国内にたくさん植林されたから」ぐらいの意識しかしていなかったのだけれど、スギを知れば知るほど好きになる。スギのさわやかな香りは室内のダニを退治する。室内の温度の上下を緩和し、室内の湿気もコントロールする。神経にはリラックス効果があり睡眠を深くし、一方で集中力を高め、色の濃い芯の部分はシロアリにも食われない。

 大英博物館に出かけてエジプトのミイラを見たとき、ぼくはミイラより保存に使っていた箱の方が気にかかっていた。「シダー、…やっぱりスギだ」。今ではほとんど失われてしまった「レバノンスギ」が使われていたのだろう。殺菌性能を生かした使い方だ。



大英博物館、ミイラの展示物前にて


 日本のスギは日本の固有種だ。しかも他の生物が発祥する前からここに住んでいる。そのスギに生物や人間の方が共存したのかもしれない。私たちの生命がスギの環境に共存したのかもしれない。


■食品とスギ

 日本ではスギと食品との関係もまた深い。かつてカマボコの板もスギだったし、経木と呼ばれる食品の包装もスギ、日本酒の酒樽もスギなら醸造を行う部屋そのものもスギで建てられた。写真はぼくのお気に入りの醤油だ。昔ながらの杉樽で二年寝かして作られたものだ。味の良さに感動していたら友人がプレゼントしてくれた。

 スギの食品棚に食品を入れておくと長持ちする。その実験は自宅でも簡単にできる。ただしホームセンターで売っているスギではダメだ。防カビ剤、防腐剤に漬けられた上に120℃の高温乾燥によって精油分がすべて抜けてしまっているからだ。もちろん人体に対する効果もない。ところがほとんとの家は、国産材使用と言ってもダメなスギで建てられている。これではせっかくのスギがかわいそうだ。

 「寺田本家」という本物の酒を造っている造り酒屋がある。行ったことはないが酒の方にはお世話になっている。ぼくはバカ飲みしたがる方なので日本酒はあまり飲まないが、それでも酒好きな息子と飲みに行くと寺田本家の酒ばかり飲んでいる。


そしてぼくは料理酒に、贅沢なことに本物の醸造酒だけを使っている。料理に使う
酒は、良いものでなければ料理を台無しにすると思っている。鼻先ですっと消えるような香りを出すには醸造酒でなければならない。


■スギと発酵菌、そして健康

 スギは殺菌効果があるというのに、発酵菌とは逆に相性がいい。スギの建物そのものに発酵菌を住まわせ、新たな菌を与えなくてもその部屋では発酵する。これが寺田本家の造る酒のうまさの秘密だ。長い歴史の中で住みついた発酵菌が造るのだ。だから人間のすることは菌たちの住まいやすい環境作りと、発酵の順序に対する協力だ。

 天然住宅で主催する「くらしとリンク」のイベントで、その寺田本家さんと対談することができた。一番聞きたかったことはスギの酒樽のことだった。今、再び昔の杉樽に戻しているとのこと。

 ヒノキも殺菌効果があるが、人間に対しては興奮・覚醒効果の方が高く、優しく包み込むようなスギの効果はないようだ。風呂はヒノキがいいが、他の部屋にはスギがいい。本物の住宅に住んで本物の酒を飲む。発酵菌が棲みついた家で発酵菌が造ってくれた酒を飲み、腸に住みつく菌も発酵菌になって体の表面に住む常在菌も発酵菌中心になる。それは健康にとって、とても良い環境になる。

 人間はそれだけでは存在できない。たくさんの生物と共生して生命をつないでいる。生命から考えると、発酵菌こそが大切なパートナーだ。そんな話を共感しながら話し合える寺田優さんが好きになった。またいつか「優&優コンビ」でイベントしたいと思う。


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 田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」では、ホームページのリニューアルに伴い、田中優のコラム「住まいと森のコラム」を始めています。

 「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。


☆--★ 2016.10.8現在、コラムは第51回まで更新中!☆---★  

田中優の「住まいと森のコラム」 

■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス


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