ぼくが生まれる前のこと、まるで関係ない人たちのように沖縄をアメリカに差し出した。内地人は沖縄を見捨てたのだ。
今回、再び普天間基地の代替措置に辺野古の海を差し出そうとしてい る。国家同士は平等なのに、なぜか日本政府はアメリカにだけ配慮し、 自ら代替地を差し出そうとしている。それは、再び沖縄を見捨てることではないのか。政府に怒る以前に情けなくなる。
沖縄の人からメールが届く。結局内地人は沖縄人を差別しているのだと。そう言われても自分に力があるわけではない。しょせん政府の決定に抗議する程度のことしかできない。反発すれば沖縄を特別視することになるし、批判を受け容れることもできない。ただ、沖縄の人たちの落胆を思うとつらくなる。
慰霊の日は、沖縄だけが内地人に無視され侵略され、直接攻撃されたことを忘れないための日ではないか? 都合良く、とかげのしっぽ切りにされたことを忘れないための日ではないか?
沖縄は豊かな文化を持ち、誰もがうらやむような生活スタイルを持っている。それに敬意を 持って接したいと思う。同じ時代に生きる者として、沖縄だけに基地被害を押しつけるような政権に抗議し続けたいと思う。
基地を受け容れる必要はないと思うが、もし仮に受け容れるのだとしたら、沖縄だけに押 しつけるのはおかしくないか? 沖縄が「本土並み」になることは、沖縄を内地と同じにしてしまうこ とではない。各地域が独立心を持って、独自の文化と暮らしを持って暮らしながら、差別されないことだ。
今なお内地の人々があこがれてやまない沖縄の暮らしを維持しながら、さらに独立した経済圏を確立してほ しい。差別とそれに対する代償措置で、プラスマイナスゼロになるわけではないのだ。
沖縄の未来が「差別と代償措置」で成り立つ社会ではなく、豊かな文化の中で経済的にも独立して暮らせる地域になってほしい。そのために何の助力ができるか自分なりに考えてみたい。慰霊の日が昔の苦しみに再び苦しみを上塗りする日ではなく、失われた過去の霊に「豊かで安心できる日になったよ」と報告できる日にしたいと願う。
2010年6月23日(水)
『琉球魂’10~慰霊の日から考える沖縄の未来~』
6.23慰霊の日に今、“基地”が必要なのか“基地”を作ることによって プラスになることとは?沖縄現地で沖縄の表現者から視た“沖縄”、また県外の表現者視た“沖縄”の問題をこの日を通してこの日を忘れないためにも音楽、話を通して出演者、会場の皆で沖縄の未来を考えることのできるイベントを目指 して行きたいです。
【出演】 大田昌秀(沖縄元県知事)
田中優(未来バンク理事長)
OPEN 18:00 / START 18:30前売¥1,500 / 当日¥2,000(共にDORINK代 別)
■大田昌秀 (元沖縄県知事・前参議院議員)
1925年沖縄県久米島生まれ。鉄血勤皇隊として沖縄戦に参戦。早稲田大 学卒業後、シラキューズ大学大学院に留学。琉球大学教授を経て、 1990年沖縄県知事に就任。2期8年勤めた後、参議院議員と して6年勤め、現在は大田平和総合研究所主宰。
■佐渡山豊プロフィール
沖縄、コザ(現沖縄市)生。1995年「ドゥチュイムニー」が泡盛 (菊の露酒造)のCMに起用され、大きな話題となる。1997年、アルバム「さよならおきなわ」を発表。関西、関東はじめ四国 や北海道など全国各地で精力的にライヴをおこない、2004年5月 にはNY在住のサックスプレーヤーSwing MASAらとNY PEACEツアーを成功させ、着実に活動の幅を拡げている。2009年 1月には13枚目のアルバムをリリース。
■マルチーズ・ロック プロフィール
1997年、もりとにより結成。沖縄那覇を中心に活動。パンク・ロカビリー・ジプシー音楽・演歌・プログレ・・・あらゆる ジャンルを貪欲に消化し、バンド名の由来でもあるマルチなロックを目 指す。幾度かのメンバーチェンジを経て2008年、現在のラインナップとな る。ユニークな音楽活動で注目を集めている那覇市安里にある『栄町市場』 の中心的存在。2006年6月TV番組「ニュース23」でそ の活動が取り上げられ、筑紫哲也氏ともりとの対談が放映された。バンド結成時から一貫した独自の世界観を体現し続けている。