2016年8月5日

『休眠預金活用の可能性』

2016.7.25発行田中優無料メルマガより

『 休眠預金活用の可能性 』


■「休眠預金」とは

 「休眠預金」というものがある。なにかというと、預貯金の中で長年にわたって誰も降ろしに来ない預貯金だ。大ざっばに毎年800億円発生するという。うち、後に相続人やら正当な所有者やらが取りに来るのがその半分。すると毎年400億円の資金が発生する。





 この休眠預金はこれまで、銀行の収益になっていた。税務当局から収益にするよう指導されているそうだ。利益に計上されれば、税務当局は納税を受けられる。その後に正当な所有者に返済された場合は、その分だけ損金処理しろと指導するそうだ。要は「納税しろ、返済されたらその分は返す」ということのようだ。

 この資金を国庫にいれるのではなく、社会的に意味のあることに活用しようとする動きがある。これは日本が初めてではない。イギリスで論議されて実施され、韓国でも実現している。その実態を見てみると、予想外に苦戦している。たとえば多重債務者救済に融資されても、厳しい返済率を求められたために実施困難になったり、「助成」か「融資」のどちらかしか選べず、併用できない不都合も生じているそうだ。

 日本では「休眠口座国民会議」が作られ、以下のような資金ニーズに対応しようとしている。

 一つ目は「子どもや若者支援」二つ目は「日常生活等を営む上で困難を有する者の支援」三つ目は「地域活性化等の支援」だ。

 これはNPO法の「公益目的」よりずっと狭い。狭くした理由は、NPO法の目的では「スポーツ振興や趣味の促進」などが含まれているため、下手をすると新国立競技場にすら資金が使われる恐れがあるためだ。そしてこの資金を配分する団体に、私自身が運営している未来バンクのようなNPOバンクもノミネートされている。






■休眠預金の活用

 よくある誤解に「休眠預金が活用されたら、休眠預金が返済されなくなる」というものがある。しかしこれは従来と同様に返還される。要は最後に「銀行の収益ポケット」に入れるのではなく、社会的に意味のある活用をしようということだ。もっときめ細かく元の預金者を探し出すべきだという論議もある。マイナンバー制度で名寄せができるようになるならした方が良いが、今の時点では「古い通帳」がなければ見出すことが難しい。少なくとも今までよりは預金者保護に努力はするが。

 休眠預金の資金はいったん「預金保険機構」に預けられ、そこから新設する「指定活用団体」に交付する。「預金保険機構」は他に流用することはできない。そこから「未来バンク」を含む「NPOバンク」などの「資金分配団体」に交付され、そこからさらに「民間公益活動を行う団体」に交付されて個人に支援される。

 資金の使途には「融資」も予定されているが、融資は「貸金業登録済み」の団体でなければできない。すると「民間公益活動を行う団体」が貸金業の登録をしなければならない。費用はかかるし国家試験合格者も必要になる。「NPOバンク」なら貸金業に登録しているが、他の団体に頼んでも簡単にはできるとは思えない。

 そこで「資金分配団体」である「NPOバンク」が、資金の融資を直接行う「民間公益活動を行う団体」の役割も同時に担う必要がある。そこで「休眠預金活用国民会議」のメンバーに依頼をし、NPOバンクが直接個人に融資する役割を持たせる方向で調整している。


■私たちが休眠預金を活用するなら

 私たちNPOバンクが休眠預金を活用するなら、「無利子の奨学金」や、小さな「省エネ冷蔵庫の買い替え」「太陽温水器の導入」などに融資したい。

 同時に融資額が小さいため金利だけでは手数料をまかないきれないため、助成金も得たい。というのは、これほど冷え込んでしまった景気の中、新たな事業に踏み切れるような時期ではないと思うからだ。こんな時期には、従来の家計支出額を抑えられる融資の方が大切だと思う。省エネ冷蔵庫で電気料金支出を抑えたり、太陽温水器でガス代を抑えることの方が優先性が高いと思う。

 かつてなら大卒者の収入は高くなったが、今ではそうでもない。有利子の奨学金は実態に合わない。ロボットが発達して人の仕事を奪い、人工知能AIが発達して人の知能すら不要になりつつある中、大学での教養は不必要になりつつある。しかし学ぶということは人を豊かにするものだ。学ぶことは就職のためのものではない。その人がいかにして生きるかを考えるためのものだ。


 ぼく自身は奨学金も受けられなかったし、「勤労者控除」すら受けられなかっ
た。大学の学費を払うだけの収入を稼ぐには、受けられるレベルの収入では足りないからだ。

 制度がない、制度があったとしても全然使えない非現実的なものであった場合に、市民側が新たな制度を生み出せばいいと思う。こうして新たな社会づくりや仕組みづくりをしていけば、解決できると思うのだ。

 イスラエルの会社が家庭向けの生ごみからメタンガスを取り出す装置を開発した。わずか10万円ほどで家庭内の生ごみを捨てずにガスを発生させる装置だ。詳細は不明だが、一日に作り出すガスの量は6キロワットの熱量だという。

 こうした仕組みが入るなら、電気や水を自給すると同時に、さらにガスも液肥(液体状の肥料)も作り出せる。こうした装置の購入に融資するなら、自宅の中だけでインフラが完成する。そうなれば生ごみ処理も不要になり、災害時に強いだけでなく、収入が少なくても暮らせる仕組みができる。 

そうすれば少しの稼ぎで暮らすことが可能になるだろう。それを実現したいのだ。

 今の私たちはおカネの奴隷だ。おカネがなければ暮らせない社会の中ではそうせざるを得ないのだ。そのおカネに依存する部分を減らしていきたい。おカネで脅かされれば人々は従わざるを得ない。

 そうではなく自律的な暮らしを前提として、少量のおカネで暮らせることの方が自由になれる。おカネを使っておカネに頼らなくていい社会を実現したいと思うのだ。


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『新たな可能性「休眠預金の活用」』(2016.6.30発行 第117号)

 をご覧ください。 より詳しく解説、図や写真も多数用いています。


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