2014年3月18日

『「終焉の始まり」から三年』

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田中優の“持続する志”

優さんメルマガ 第318号
2014.3.18発行

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□◆ 田中 優 より ◇■□■□


『「終焉の始まり」から三年』


■隕石に当たりまくる日

 今月11日、またあの日がやってきた。大震災、津波、そして腹の底から
「その日が来てしまった」と体が震えた福島第一原発事故。

 あれから3年。

 驚くほど事態に変化がない。人々は何事もなかったかのように仕事に出かけ、多少の問題が
あってもテレビのお笑い番組でも見終わると、「さて」と忘れてしまうようだ。

 それでも世論は原発の再稼動に賛成しない人が増えている。そのことは小さな希望だ。


震災は自然災害だが、原発事故は原発さえなければ発生しない災害だった。
その日以前に言われていたことをもう一度思い出したい。

「放射能は確かに危険だが、五重の防護があるから心配ない」
「原発事故が起こる確率は、町を歩いていて隕石に当たる確率に等しい」
と言われていた。

 ところが事故が起こると「放射能はそんなに危険ではない」と言い始め、稀なはずの
「隕石に当たった人々」の数は数百万人に上ってしまった。


 除染費用の見積もりは総額28兆円、賠償費用は5兆円、汚染水対策や廃炉費用は見通し
すら立っていない。しかもそれらの費用は人々の税金と電気料金に乗せられる。
考えてみてほしい。これだけ巨額の負担を人々にさせて、それでも経済は破綻しないだろうか。


■見殺しにすること

 そのとき見るべきものは前例だ。チェルノブイリ原発事故の後、旧ソ連は急速に崩壊して
CIS(独立国家共同体)に分解されていった。被曝労働者は最初こそ勲章をもらったものの、
国家破綻により賠償もなくなり、年金すら反古にされた。

 事故後には放射能対策の甘さが目につき、6年経つと居住可能とされた地域の子どもたち
のほぼ全員が病気になった。特に多かったのが心臓病や循環器、骨格筋の病変だった。
国家単位でもダメージは大きく、ベラルーシ、ロシア、ウクライナの汚染三か国は事故後に
人口が減り始め、今なお人口増加率はマイナスのままだ。子どもが生まれないためだ。

 その頃、日本はせせら笑うようにして「日本では起きない」「日本ならもっときちんと対応する」
と言っていた。


 ところが日本政府の対応の方が旧ソ連より悪かった。チェルノブイリでは5ミリシーベルト/年
の余剰被曝量の地域は強制移住、1ミリシーベルト/年以上なら政府が補償して移住の権利
を与えた。

 しかし日本では20ミリシーベルト/年の汚染地域に人を住まわせる。


 しかも自治体は人口激減で崩壊するのを恐れて帰還させようとし、自主避難した人たちへの
補償を減らして帰らざるを得なくしようとしている。それは脱原発を標榜する首長でも同じだ。

 これが何を招くのだろうか。
チェルノブイリの現実を福島原発事故の2011年に合わせると、2017年から病気が多発すること
になるのだ。今、わずか3年で「今でも大丈夫なのだから」という声を聞く。
そのたび「これは見殺しではないか」と思い悩む。


 人は信じたいことを信じる。見たくないものを見ないようにして都合の悪いものを無視する。
そして風評被害を訴える。「根も葉もない」のが風評被害だ。

 いや前例を見れば明らかに根も葉もあるではないか。これは風評被害ではなく実害だ。
しかし多くの仲間と一緒に夢を見るとき、その人たちの中では現実に見えるのだ。

 しかし汚染した食品を食べることで体内のセシウム汚染が体重1kg当たり5ベクレルを超えると、心電図に異常が出始める。しかし日本政府の食品基準を信じて食べていくなら体重1kg当たり
320ベクレルに達してしまう。
それなのに「食べて応援」するのだろうか。


 目覚めてほしい。あなたとあなたの大切な人を守るには、1kg当たり1ベクレルを超えるものは
食べてはいけない。なぜなら体重1kg当たり5ベクレルを超えるからだ。ところが私の声は小さく、
残念ながら多くの人たちに届くことはない。そして頭に浮かぶのは「見殺し」という言葉だ。


■将来世代を失わせる岐路


 それでも政府は原発を再稼動しようと動いている。規制を強化するはずの原子力規制委員会
は被曝量を「100ベクレルでも安全」と述べ、「今の日本の食品基準は欧米に比べて厳しすぎる」
などと言っている。委員長自らが放射能に対する危機感が全くないのだ。

 欧米の食品基準1000ベクレル/kgは輸入食品に対するもので、「食べ物全体の10%が輸入
だったとして」と前提をつける。食品基準はセシウムだけでなく、全放射性物質の基準だ。実際
には日本の食品基準(セシウム合計100ベクレル/kg以下)の方が甘いのだ。しかも日本の
法律は今でも「余剰被曝基準は年間1ミリシーベルト」のままだ。
 「100ベクレルでも安全」とはどこにも書かれていない。


 しかも原発は津波ではなく、地震で壊れている。それは岩波書店の雑誌「科学」に書かれた
とおりだ。ところが規制委員会が問題にするのは未だに津波だ。骨折にバンソーコーを貼るよう
なもので、次の事故は防げない。

 しかも地震は活性期に入って頻繁に起こるようになり、火山の爆発も増加している。今、青森
八甲田山、十和田火山が危険な兆候を示しており、その溶岩流は六ヶ所村再処理工場まで
届く危険性がある。原発数千基分の放射性物質を抱える施設だ。

 最初に再稼動されそうな川内原発は桜島から近く、当時の人々を絶滅させたほど大きな噴火
を起こすカルデラは、九州以南に集中している。百万年保管しなければならない放射性物質だと
いうのに、その爆発から9万年しか経っていない。
 これで「大丈夫、保管できる」というのは明らかな詐欺だろう。


 原発は今すぐ止めて廃止し、これ以上の放射性廃棄物を増やさないことだ。
この地球は、私たちの世代だけのものではないのだから。ずっと先の世代まで引き継いでいく
ためには、いくらカネを積まれても、未来の人々の暮らしを売り渡してはならない。

 放射能は私たちの遺伝子を壊すだけでなく、壊された遺伝子を次の世代に伝えてしまう。
人類の遺伝子プールに、放射能汚染という毒物を流し込むことになるのだ。
立ち止まって考えよう。

 私たちは将来世代を失わせる岐路にいるのだ。


( 川崎市職員労働組合様へ寄稿したものを、好意を得て転載しています。)

12/21(土)天然住宅完成見学会@中野区 午後の部は田中優セミナーも

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