2017年10月5日

『木材に要注意』

天然住宅コラム第45回


■ 国産松専門 自然乾燥専門 天然乾燥専門

 日本とドイツの大工の「凄ワザ」での競争の話をしてきたが、その対戦にアカマツの木材を提供したのが山崎木材(有)で、そこの「製材ブログ」なるものがあった。ブログによると山崎木材は「三重県伊賀地区」にあり、「地松天然乾燥専門店として創業65年」だそうだ。そこに書かれているが、「国産松専門 自然乾燥専門 天然乾燥専門のカテゴリー」で調べても、全国に山崎木材と、あと一社しかないそうだ。このブログを合わせて読むと面白い。
http://jimatsuyama.sblo.jp/article/175080476.html
http://jimatsuyama.sblo.jp/article/175093966.html



■ 自然乾燥のアカマツ

 感心したのはアカマツは当然冬伐りしたもの、それを3~10年も天然乾燥させたものであることだ。写真を見る限りアオカビの色が見えるので、防カビ処理していない安全な木材だ。文中に堂々と「…地松の丸太梁の映像で、国産松の芯持ち材を使用しているので自然乾燥による『干割れ(ひわれ) が入っているのが確認できます』」と書いている。木材のヒビは知られないようにするのが普通だろうが、ヒビを芯持ち材(木材の芯が入った木材)の自然乾燥の証拠として誇っているのだ。


 家を建てるなら、こういう木材でないといけない。それは単に神社仏閣だけに言えることではない。家であるなら強度が弱く、仕口・継ぎ手の刻みに耐えられないほどスカスになり、かつ木の持つ大切な防虫等の効果を失った高温乾燥材など、使えるものではないと思うからだ。梁に使うのなら、やっぱりマツがいい。そもそもスギやヒノキより硬く、横方向からの力に強いのはマツだからだ。


■ 普通の住宅、普通の木材

高温乾燥材
高温乾燥材

 普通の住宅に使われるのは、防腐・防カビプールに漬けられ、高温乾燥されている。だから木の持つ防虫効果を持つ芳香成分も失ったミイラのような木材なのだ。建物が悪いものを使っていないだけでなく、より健康に良い成分を求めるとしたら、木材についてもよく理解している住宅会社でないと難しい。天然住宅は当然のこととしてこうした木材しか使わないが、私たちにとって当たり前のことを説明するのは難しい。そうでない住宅を持っていないからだ。

 ドイツの大工に、日本では普通に使われる高温乾燥材を使わせてみたかった。 表面だけは割れもなくきれいに見えるが、継ぎ手を刻もうとしたら割れてしまう。実態はこっちが正しい。現時点では「日本の大工はすごい」ではすまないのだ。彼らを絶滅危惧種にしてしまった社会の側を報道してほしいと思う。



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月に3回記事を更新しています! 


■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを 
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす
第64回 虫対策、その後
第65回 おカネに依存しない暮らし、自営
第66回 おカネに依存しない仮想通貨
第67回 天然住宅はホコリが少ない?
第68回 住宅教育が必要だ
第69回 住宅費用のイニシャル、ランニング
第70回 無煙炭化器
第71回 偉いぞ、炊飯器
第72回 中国のシックハウス問題
第73回 のらぼう菜
第74回 孤独になる?自給生活
第75回 「自給住宅」と食べ物
第76回 ガーデンパーティー
第77回 「自給の家」の「たべるにわ」
第78回 「居ていい場所」というコミュニティー
第79回 我が家の庭でBBQ
第80回 自給の家と「たべるにわ」 
第81回 連休は出かけちゃダメ?
第82回 ネオニコチノイド農薬ふたたび
第83回 松枯れにネオニコチノイド農薬散布は無意味だ
第84回 ネオニコチノイドが水を汚染する

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