2016年9月15日

『お金の使い方で暮らしを変えよう』

2016.9.9発行 田中優無料メルマガ より

『お金の使い方で暮らしを変えよう』

 未来バンク事業組合 理事長  田中 優


◆今、改めて考える機会

 すでに記事で紹介したように、「休眠預金の活用」の問題が出てきたおかげで、それをどう活用しようかという論議が生まれた。

 「休眠預金活用」の法律自体が実現できるかどうかは未だ不明だが、突然実現したとしても対応できるようにしておきたいと、未来バンクの「作戦会議」で論議を始めた。

 「制限を設けずにおカネを活用するとしたらどんなことをやりたいか」という議論は、実現性はともかくとして楽しい提案の場となっている。そこで出された提案は、未来バンクが直接実現できないものも多いので、「全国NPOバンク連絡会」へ提示してみたいと思っている。その場なら多様な活動をするNPOバンがいるので、未来バンクでなくても実現できる可能性が増すからだ。

 ただし「休眠預金の活用」は、何でも融資・助成できるわけではなく、大雑把に三つの方向に絞られている。
 それが「若者支援」「生活困窮者支援」「地域活性化」だ。その三つの方向に対してできそうなことを挙げてもらった。


◆教育に対するケア

 たとえば「無利子の奨学金(若者の貧困対策)」がある。今や貧しさは大きく広がり、大学に通う学生の三分の一近くが奨学金を借りているという大学もある。しかも返済しなければならないどころか、複利の金利に経済破綻させられてしまう人たちもいる。

 しかし、どうしたら融資対象者を見出すことができるのか。
「寺子屋塾に声をかけたらどうか」というアイデアが出されたり、生活クラブ生協で実現している「地域協議会はどうか」というアイデアが出されている。さらに「すでに奨学金負債を背負っている人の借換に対応できないか」、「教育機関とは別のフリースクールに通うための奨学金は可能か」という論議も出されている。

 また教育からドロップアウトしてしまう子どもは、「経済的な理由」以前に「小学校中学年からすでに落ちこぼれている」可能性も高くある。早い時点でのケアを考えないと対策にならないという意見、「高校中退者の中で、経済を理由とする生徒が増えている」という報道もあるので、そこをカバーできないものかという意見も出された。呼びかけ対象として、さらに「学校そのものに周知して、生徒を推薦してもらう」という意見や、「大学自体の存立基盤の問題でもあるので、大学自体にも参加してもらう融資の仕組みが必要ではないか」という意見も出された。


◆生活困窮者に対するケア

 「ひとり親(シングルマザー)の就職までの保育支援」も出され、「保育園に入るためには就業実績が必要」ということから保育園入園以前に「保育ママ制度やベビーシッターを利用するための資金」の提供や、「入園したとしても最初は駅から遠い園となることも多いので、近くの保育園に入れるまでにお迎え代行等にかかる費用」の給付などが必要ではないかという意見も出された。

 また衣食住の費用を節減していく方法として、自然エネルギを利用して電気やガスを自給していく方法などにはすでに融資しているが、住居そのものへの新たな方法もまた求められている。

 「空き家対策(地域活性)」として「空き家を地域の施設(高齢者のコミュニケーションなど)として利用できるようにリノベーションするための費用」であったり、「ホームレス対策(貧困対策)」として住まい確保の融資や助成をしてはどうかという意見もあった。

 ただし、たとえば多重債務者に対する支援はただ資金だけで解決できるものではないので、それを専門とする「生活サポート基金」などにお願いした方がいいかもしれないという意見が出された。


◆おカネに頼らず自給する

 ぼくはここから、おカネに頼らなくてすむ暮らしを実現したい。

 そこでまず、「お金がたまっている家」の費目の理想割合(「黄金律」と呼ばれている)という数字を紹介したい。ファイナンシャルプランナーである横山光昭氏が作成したものだが、以下のような比率になっている。

住居費: 25%、
食費: 15%、
水道光熱費: 6%、
通信費: 5%、
小遣い: 8%、
預貯金: 18%、
生命保険料: 4%、
日用品: 2%、
医療費: 1%、
教育費: 4%、
交通費: 2%、
被服費: 2%、
交際費: 2%、
娯楽費: 2%、
し好品: 1%、
その他: 3%、

これをグラフにしたものが以下のURLだ。
http://matome.naver.jp/odai/2137088408990716701





 この「模擬家計」から考えてみると、大きな支出から順に「住居費、貯蓄、食費、小遣い、光熱水費、通信費、生命保険、その他」となっている。


 ということはたとえば、賃貸の住宅費から長持ちしてメンテナンスの要らない住宅に変えたとすれば25%の支出が不要になる。二番目の「貯蓄」は後で分析することにして、三番目の「食費」は農産物を半分だけ自給すると食費は16%から8%に下げられる。「小遣い」もまた後回しにして、「光熱水費」を自然エネルギーで賄えば三分の一程度に下げられる。
 ここで減るのが4%、ここまでの合計で37%の節減が可能になる。


 さらに通信費は重複する固定電話を排し、さらに廉価な携帯契約に変える、生命保険は合理的な全労済や県民共済のような共済保険の掛け捨てに変える。すると支出は40%以上減らすことできる。

 さらに「貯蓄」は将来支出のためのものだから、支出が構造的に4割減るなら貯蓄すべき将来支出も4割少なくていい。


◆何のための存在か
 そしてもうひとつ、役立つ構造的な変革方法がある。サラリーマンであれば仕事とそれ以外ははっきり分かれるが、「自営業」の場合にはその比率は人それぞれになる。そこでサラリーマンなら定率の所得控除だが、自営業なら必要に応じて必要経費を差し引くことになる。

 ぼく自身の場合で言えば、出かけるのはほとんど取材だし、連絡を取るのも取材がほとんどだ。「交際費」もまた取材などで控除すべきものを取ると、「小遣い」の項目を含めてほとんど不要になる。「通信費」や「教育費」も同様だ。
趣味ではなくて、仕事に直結しているからだ。

 すると支出は変わってくる。我が家は「農の自給」はまだ実現していないが、それでも元の「模擬家計」と較べて45%までに減る。

 簡単に言うと、同じ暮らしをしていても、支出は半分になるのだ。すると貯蓄すべき金額も減っていく。

 家計の支出が半分なのだから、収入も半分でいい。そうなれば無理に会社に勤めなくていいし、生活のために人に合わせる必要もなくなる。こうすれば、おカネに頼る部分は半分に減るのだ。こうしておカネに頼らなければならない比率を下げた分だけ、その人の暮らしは自由になる。


 私たちにとって大事なのはおカネではなく、自由に暮らせる時間ではないか。
その自由な時間を自分にとって大切な活動に振り向けることこそ、人間らしい暮らしなのではないかと思う。人は会社に勤めるために生まれてきたのではない。

 自分らしい生き方をするために生まれてきたのだ。
このままでは、生まれてきた意味すら失いかねないだろう。

 そんな暮らしを実現するために、休眠預金や未来バンクの仕組みを役立てられたらいいと思う。



以上、2016.9.4発行 
※「未来バンク事業組合ニュースレター No.88/2016年9月」より抜粋


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■日時:10月3(月)19時から
■会場:文京シビックセンター(東京都文京区春日1-16-21)4階会議室B 
    (東京都文京区春日1-16-21 
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■参加費:500円
■主催:未来バンク事業組合

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