2012年2月13日

田中優メルマガ 「冬も電力不足になる理由」

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田中優の“持続する志”

 優さんメルマガ 第110号 
       2012.2.7発行
 http://tanakayu.blogspot.com/

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□◆ 田中 優 より ◇■□■□

『 冬も電力不足になる理由 』

 ぼくの講演を聞いたことがある人は、ぼくが「ピークは夏場、平日
日中、午後1時から3時にかけて、気温が32.3℃を超えたときしか出な
い」と言っているのを覚えているかもしれない。だけどメディアでは、
冬だってのになぜか電力不足が言われる。
 「なんでなの?」と思う人もいるだろう。その理由を書こうと思う。

◆ 揚水発電の問題 

 もちろん電力会社が作っている部分もある。電気は貯められないか
ら、その時期に発電所を定期点検すれば当然足りなくなるからだ。

 もうひとつ、原発が止まっていると、揚水発電も使う気にならなくな
るのだ。これまで電力会社は、「原発と揚水発電とは関係ありません。
トータルの電気需要で判断しているからです」なんて言ってきたけど、
実際には大アリだ。揚水発電はバッテリーの役目でしかない。余った
電気があるから貯めておいて昼間に使おうとするのだ。

しかし現時点では原発が止まっているから夜の電気が余らない。
原発は爆発の危険性があるから、下手に出力を上下させられない。
だから昼でも夜でもフル出力で発電する。そのせいで消費の少ない夜に
は電気が余る。その電気を利用するのが揚水発電なのだ。

 ところが、原発が止まると残りは火力発電が主力になる。原発とは
逆に、火力発電は出力を調整できる。余らせるほど発電する必要が
ない。したがって揚水発電の出番はないのだ。

 揚水発電は上下に二つのダムを作り、余った電気で水を上に揚げ、
昼間必要になったら下に落として発電する仕組みだ。下のダムの水を
上に揚げるときに使う電気が10、しかし落として発電する電気は7。
つまり3割ずつ電気を無駄にする施設なのだ。これは「発」電所では
ない。「捨て」電所なのだ。

 さて原発事故で経営が厳しくなっている電力会社が、深夜にわざわざ
余分な火力発電をしてまで揚水発電を使うだろうか。だから電気が余計
に足りなくなるのだ。


◆ オール電化推進が悪い

 冬に消費のピークが出るようになったのは、オール電化を推進した
時期と重なる。
 オール電化に問題があるのだ。電力会社は発電所や送電線を作ると、
それに3%の「適正報酬率」という利益を加えてみんなの電気料金から
取ることができる。だからいつも発電所と送電線を作りたがるわけだ
が、しかしそれには電気消費が増えていることが前提になる。

 ところが困った事態が起きている。これまで人口増加と比例して
電気消費が増えてきたのだが、その肝心の人口が減り始めた。

 それでも何とかして発電所を作り続けたい電力会社があみ出した
ウルトラCが「オール電化」だった。それまで灯油やガスが支えていた
暖房需要を、電気が取ってしまえというものなのだ。

 そこで大キャンペーンが行われ、「環境にいい」「安い」「安全
だ」とPRされた。関西電力では工務店に優遇すると同時に、ガス導入
にいやがらせをした。そのために公正取引委員会からイエローカード
を受けている。公的企業が公取委から警告されるなんて前代未聞だ。
しかし九州電力では、金額まで入れて「すんごくトクする」とPR
した。なんと公取委は九州電力にレッドカード、排除命令を出して
いる。しかもこのPR費用は、みなさんの電力料金になる総括原価
に入って、料金から奪われるのだ。
 
 しかも調査結果では、オール電化導入家庭はほとんど二酸化炭素の
排出量が増えている。環境に悪いのだ。しかもトクにもなっていない。
深夜の安い電気でエコキュートでお湯を沸かし、昼間使うから安いと
言うが、東京電力の深夜電力の値段は、この5年間で5割も値上がり
しているのだ。

 そもそもエコキュート100万円、IHの調理器とナベカマで20万円
ほどかかる。耐用年数10年でも、毎年12万、月1万円以上安くならない
と帳尻が合わないのだ。さらにそこから出る電磁波の悪影響の問題も
ある。

 しかし地域では、大手ゼネコンの進出に青息吐息だった工務店には
ありがたかった。だから太陽光発電を入れるとなると、必ずセットの
ようにオール電化を進めたのだ。

 これが電気消費と二酸化炭素と電気料金負担を増やした。
オランダも、かつて一時的に電気暖房を進めたことがあった。しかし
間違いだったと方針を訂正している。
 日本がダメなのは、方針を変えられない点だ。


◆ 厳冬が電気消費を数倍増やした

 エアコンやエコキュートの省エネの売りは、ヒートポンプ機能だ。

 1の電気で3~5倍も外の熱を集めてくる機能だ。ヒートポンプは
文字通り、「熱の井戸」なのだ。エアコンではこのカタログデータが
過大で、実際には使われない「爆風モード」のときしか稼げないことが
ばれて、問題になった。
 エコキュートも実際にはそんなに集められず、実際には電気の熱量
の2倍程度だ。ちなみに同じ二酸化炭素の排出量なら、ガスのほうが
3倍熱量が大きいから、この時点で電気の負けなのだが。

 しかしこのヒートポンプ機能には弱点がある。氷点下5℃を下回る
と、極端に効率が下がるのだ。その理由は室外機に霜がついてしまっ
て、外気を集められなくなるためだ。そのために寒冷地仕様という
ものもある。しかしそれは霜をヒーターで溶かすだけなので、その
ヒーターがものすごく電気を食ってしまう。

 一方寒冷地仕様でないものは、ついに電気ストーブと同じ効率に
なる。あの数百ワットから一キロワットも消費して、ほんの一部しか
温められないものと同じになる。それで家を温めたらどうなるか。
もちろんむちゃくちゃ電気を食う。

 しかもエコキュートは深夜の電気を使うのだから、最も気温が下がっ
た深夜に熱を集めることになる。これもまた効率を下げていく。この
オール電化の推進が、厳冬と相乗効果で電気をひっ迫させているのだ。


◆今後の温暖化で日本は厳冬化する

 もし今後、厳冬が日本を覆うようになったら大変だ。今すぐ「オール
電化」を禁止しなければならない。
 さてそこで、今後の冬について調べてみよう。

 2012年2月1日の北海道新聞に、海洋研究開発機構が発表した内容
が載っている。温暖化が進行すると、日本の冬が寒くなるかもしれない
というものだ。特にロシアと北欧にかかるバレンツ海の氷の量に左右
されるそうだ。

 ぼくなりの理解で説明してみよう。温暖化が進んだせいで、北極海の
氷がどんどん小さくなっている。2011年9月は、特別な理由がないのに
北極海の氷が最も少なかった2004年にほぼ並んだ。今後は条件が整って
しまえば消滅するかもしれない状況だ。

 そうなると海水面が表面に出てくる。陸地や氷ならマイナス何十℃
にもなるが、水は基本的に零℃までだ。すると相対的に暖かい海から
水蒸気が上がって低気圧を作る。低気圧は上昇気圧になるのだから、
当然どこかで落ちなければならない。それが高気圧だ。

 シベリア高気圧が大きくなると同時に低気圧に押されて日本側に張り
出し、そこから冷たい北風を送りこんでくる。すると日本海の水蒸気を
たっぷり吸い込んで雪を降らせると同時に、日本を厳冬にするというわ
けだ。

◆ オール電化の禁止を

 もうひとつのオール電化のメリットは、高齢世帯でも火事を起こし
にくいという点だ。しかしオール電化でも火災は起きているので同様に
注意が必要だ。それでもメリットを認めたとしよう。
 
 しかしオール電化の電磁波(特にIH調理器が大きい)は、特に今後
子どもをつくる予定のある人は避けるべきだ。それでも高齢者世帯
では、さほど問題ではないかもしれない。高齢者世帯を例外にして
いいかもしれない。しかしそれ以外の世帯では、原則禁止すべきだと
思う。

 オール電化のせいで、2011年の夏の東京電力の電気消費が200万キロ
ワット分も増えていたそうだ。
 つまり計画停電はオール電化がなければ必要なかった。しかも環境に
悪く、経済的にもトクにならず、人体への悪影響も心配しなければなら
ない。こんなものを進めなければ、原発など必要なくなるのだ。原発と
オール電化のセットなら、どっちもやめるのが一番いいだろう。

 こうして冬のピークは伸びている。特に北陸では、新築住宅の半数
以上がオール電化にしているという。そしてメディアもこぞってPRに
協力してきた。こんなことのせいで滅びるのはまっぴらごめんだ。
 
実は、こんなことのせいで、冬のピークが伸びるのだ。


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合同会社OFFICE YU
【MAIL】 officeyu2011@ybb.ne.jp
 担当 渡辺(TEL 090-1544-0085 )  

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