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田中優の“持続する志”
優さんメルマガ
第415号
2015.2.18発行
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□◆ 田中 優 より ◇■□■□◆◇◆◇■
ぼくの希望の種は「オフグリッド」。
グリッドというのは送電線網のことなので、送電線網から外れていくっていう
ことなんです。今、田岡さんが色々説明頂いた通り、実は日本の中の電気って
「大きいものと小さいもの」にはっきりと分かれるんですね。3分の2は高圧送
電線のまま産業用として直接使っているんです。だからその「大きい電気」が圧
倒的なんですよ。家庭と小さな事業所の電気って、22%しかない。だからほん
のわずかしかないんです。
ところが電力会社の利益の9割が小さい方からとっていて、大きなところから
は9%しか得ていないんですよ。だから本当にひどい仕組みになっている。
大きいところはメチャクチャ安い電気料金になっている。
だったら市民はどうしたらいいかというと、オフグリッドですよ。自分のとこ
ろで電気を自給してやってしまうという仕組みがいよいよ出来上がってきました。
ぼくの家はもう2年前からオフグリッドしていますけども、今その仕組みがどん
どん安くなってきて、バッテリーの画期的な技術が生まれて、「ITE」という
んですが、それは従来の鉛バッテリーを何度でも再生しちゃう技術なんです。
東北大学の小澤(こざわ)先生という方が開発されたものですが、それだと何
度でも再生しちゃう優れものなんです。バッテリーで言うと、「鉛バッテリー」
って、環境負荷が大きすぎるんです。だけどそれが2回、3回、4回、5回・・
ってずーっと再生できると、その環境負荷がどんどん減っていくわけですね。
その結果、ぼくはその仕組みだと安いし、据え置きで家に置くんだったら20年く
らいもっちゃう。そういうものなので、これでもう自給にいけちゃうな、と。
家庭の電気って消費量が小さすぎるので、だから逆に太陽光発電に向くんです。
その太陽光とか小さな水力とか向いているのは実は家庭向けでして、大きな電気っ
て事業者向けなんですね。だから先ほどの海流発電、風車、地熱発電などは電気と
しては大きすぎるので、事業者向けなんです。
だからぼくは小さなところは小さなところ向けで自給しちゃおうぜ、しかもその
自給しちゃおうというのは、電気だけじゃなくていいと思うんですよ。
もっと色んなことを自給できるので。ぼくの家は全部ペレットストーブで、地域
の木材かすを使ったものを燃料にしているんです。ついでに雨水利用をやろうかな
と思ったら、井戸があったので、井戸をの方が簡単でした。井戸を使ってみたらぼ
くの家の裏はずっと山なんですが、そこに降った雨は全部ぼくのものですから(笑)
そういうような水の利用の仕方もできるし、どんどんオフグリッドしていける。
そしてまた食料なんかも、自分のところで小さな庭でとることもできちゃうので、
そういうふうな進め方をしていくと、ぼくは今の世界の経済って、85人の資産家
が残り35億人の資産と同じ分を持っちゃっているんですが、それを崩していくこ
とができると思います。
だってお金の奪い合いでは権力の強い者が勝つに決まっている。だとしたら、お
金に頼らない社会を作っちゃうのがいいと思うんですね。だからいろんなものから
オフしていって、市民が地域で生きられるかたちにしていくのがいいと思うんです。
-それは大切な考え方かもしれませんね。
それが、デモクラシーなんじゃないかと思うんですよ。デモクラシーの基礎には、
まず「自分たちの足で自分たちが立てる」ということがとっても大事なことだと思
うんですよね。
今度は原発の廃炉の費用が託送料金に乗せられるという方向になりました。そう
すると、どこの電力会社の電気を使おうが、送電線を使えば必ずその廃炉料金が取
られるんです。だったらそこからも降りちゃおうよ。オフグリッドしちゃえば託送
料金も払わなくて済みますから。
これによって次の時代が来るんじゃないか。
ぼくはここに、希望の種を見たいんですよね。
-今のオフグリッドのお話ですと田中さんの家だけの話ですが、もう少し規模を広げて村や町、市など行政単位で居住区の単位まで広げられないでしょうか?
町内会くらいだとサイズとしてはちょうどいいかなと思いますが、実は今、電気
事業法上禁止されているんですよ。ぼくの家で作った電気を隣に売ったらいきなり
逮捕ですから。
ですから電気事業法の改正が来年2016年になりましたから、もうそろそろみ
んなビジョンを持った方がいいですよ。従来の仕組みの中でどこの電気を買おうか
なんていうんじゃなくて、もう電気は自給するからいい、もうエネルギーは自分た
ちで賄うからいい。ブッシュが人を殺して石油を持ってきても、「俺んち石油要ら
ないから帰って」って、追い返せるような社会にしちゃいたいと思うんですね。
-今オフグリッドということで比喩して頂きましたが、
今言われたグローバル資本主義が進む中でもつながるような重要な考え方ですね。
そうですね。農業に関しても最近はものすごく画期的に進んでいまして、例えば
従来は「窒素・リン酸・カリ」を入れればいいと言っていたんだけど、実は植物は
アミノ酸を吸収できるというのがわかったんですよ。
アミノ酸を作るには、発酵をさせれば良くて、従来の腐敗でたい肥を作るんじゃ
なくて、発酵させるとアミノ酸に変質するので、そのアミノ酸を吸収させるってい
う農法が、今全国に広がりつつあるんです。そうすると簡単で農薬要らずでものす
ごく元気なガンを抑制するような抗酸化物質をいっぱい含んだ野菜が作れるんです
ね。
そこにぼく、未来を見たい気がします。
─(電気のことで)海外でもうすでに実践しているところは?
海外ではたくさんあります。それこそドイツのドキュメンタリー「シェーナウの
想い」でも、あそこは自分たちで送電線を買い取っちゃって自分たちの地域を自分
たちで電気を作るっていう形に変えていったわけです。
で日本の中にもちょっと違う話だけども、新日鉄が北九州市の八幡東区で自給し
ているんですよね。それは自然エネルギーをせっせと入れて。九州電力って足りな
いときだけ買うとえらい高い値段をふっかけられるんです。
電気って一番問題なのはその消費が多い時と少ない時のギャップなんですよね。
それを埋めちゃうために何と、普段電気料金が15円なのを、5段階で上がっていく
仕組みにして、一番消費量が多くて電力消費ピークが発生するときには150円にし
たんですよ。そうしたらピークの電気が26%落ちました。
ということは、日本中の電気の中で同じ仕組みを入れるだけで、26%の発電所は
要らなくできます。原子力は20%ですから。
-使用を控えるということですね?
そうです。実は事業者が圧倒的に消費が多いから、事業者は値段に敏感なんです
よ。ピークの出る時って決まっていて、「夏場・平日・日中の午後1時から3時に
かけて・最高気温を記録するとき」、この時しか出ないので、その時だけ電気料金
を高くしちゃえば足りちゃうので。
-その26%を減らしても、防衛上の安全性は変わらない。
そうですね。日本の場合には、海の広さが国土の陸地の11倍ありますので、
そっちを利用していくのがいいですね。
-日本の電気料金が高いために軽金属業界がたちうちできないと・・・
その頃を調べてみたら、それが審議会で問題にされて、「家庭との差が大きすぎ
るから、ピークを作っているところの企業に負担させなさい」と審議会が言ったん
ですよ。その途端に事業者の電気料金がぼーんと上がりまして、それでアルミ中心
に他の国にみんな逃げていっちゃったんですね。
-そもそも家庭も含めて電気料金が高すぎますよね。
何で高くなったかは原子力のせいですよ。日本の場合には、もともとポイントオ
ブロードと言って、工業地帯だったらそこに発電所を作るのが当たり前だったんで
す。それができなくなっちゃったのが危険すぎる原子力で、そこから日本の電気は
方向を見誤っていってどんどん悪い方向にコストがかかる方向に転げ落ちていった
というように見えます。
それでぼくの友人がこのオフグリッドした家を建てて、そしたら不審な女性が家
の外をうろうろしてて、突然家に入ってきて、「あなたどこに電気メーターを隠し
たんですか?」って言われて、いや、別に東京電力から買わない選択肢もあるで
しょって断ることができたわけですが、その後黒塗りの車で東京電力さんが来たそ
うですよ。重役さんたちが。
だからこれはぼくは新しい、少なくとも既得権益を脅かすためのひとつの重要な
方法だと思う。
都会でオフグリッドできる事にも気づいたわけで、日本は省エネ技術も発達して
いるので、電気の消費って恐ろしく少なくできるんですよ。少ないと、電卓を使う
時にコンセントを探さないように、小さな電気で足りちゃうんですね。
自エネ組(自給エネルギーチーム)のHP http://jiene.net/ を見て頂けたら
オフグリッドシステムが載っています。
(自エネ組おすすめDIYセット 68万円・114万円・160万円・194万円