2020年3月6日

吉田俊道さんとつくる「食べる庭」

食べる庭見学会


 
天然住宅のプロジェクトでやってみた「食べる庭」プロジェクト、それを実行してくれたFさんのお宅を見学させてもらった。
まずその場所なのだが、すごく景色のきれいな場所の高台にあって、窓からは周囲を借景して、まるで大きな庭に囲まれているような家だった。
しかし現実は厳しい。その土が粘土質なのだ。
見学した日は雨だったが、一度水たまりができるとずっと残ってしまうくらい水はけが悪い。
乾いたら乾いたで、カチカチになり、ホコリが舞い上がるような土だった。
畑の庭を作るのには最も向かない土かもしれない。
また、庭で菜園ができるということは、東京にしては広い土地だ。
だが、岡山のようにどこでも畑ができるような広大な土地というわけではない。

菌ちゃん農法で再生を

 

ところが久しぶりに行ってみると、少し畝上げしてある小さな庭に、見事なサニーレタスなどが育っていた。見学会の話よりも、早くその野菜を食べてみたくて気もそぞろになる。

このプロジェクトをを手伝ってくれたのが友人の「菌ちゃん野菜」で有名な吉田俊道さんだ。吉田さんにも来てもらって、一緒に講演してもらった。

吉田さん曰く、どうしてふかふかの土を作れたのか、作るには二つの方法があるそうな。
一つは水を排除してシートで覆って、パンのように土と微生物でふっくらさせる方法。
ところがこれだと縮みやすいという。

もう一つが今回の庭でしたように、糸状菌を繁殖させることで、土の中に糸状菌が入り込んで空間を形作って固める方法。

糸状菌は石と石の間でもねばねばした糸を作り出すことで、空間を作ってくれるから、
ふかふかの土地が長続きできるんだと。

▼土づくりの様子はこちら


菌ちゃん野菜はおいしい

 
(写真:F様とF様のお友達の皆様と吉田俊道さんと野菜しゃぶしゃぶ)

野菜を食べてみた。うまい! 

もともと野菜好きだが、無農薬野菜のえぐみのなさが自家製ドレッシングに合っている(実はビールにも)。Fさんご家族の人柄のおかげもあって、なんだかいつまでもいたくなる感じだが、そんなわけにもいかないのでお暇した。

この状態の土からこれほどの野菜を生み出すなんて、まるでマジックみたいだった。
これならどんな土地でも実現可能に思える。
少ななくともぼくのような大食害虫に食べられなければ(ちなみに菌ちゃん農法は無農薬だが虫が来にくい)。

吉田さんとのコラボのおかげで、新たな可能性を感じた。
わずかな土地でも菌ちゃん農法なら、これだけのものを作り出すことができる。
それはまるで、東京に住みながら、消費者ではなく、生産者のように暮らせるのだ。


天然住宅田中優コラム「持続可能な社会を目指して」第120回より
https://tennen.org/yu_column/taberuniwa-2.html

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