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2011年6月8日

目をそむけない勇気を

□◆ 田中 優 より ◇■□■□◆◇◆◇■□■□

目をそむけない勇気を

 世界は変わってしまった。美しく見える野山も放射能に汚染され、遺伝子は傷つき壊されていく。すべては2011年3月11日以降のことだ。 何も恐れることなく暮らせた安全な日々は取り戻せない。子どもたちに譲り渡す世界は、すでに汚染されて淀んでいる。目に見えず、感じることもできない放射能によって。美しい新緑も咲きほこる花も、以前とは違って見えるようになった。

 しかし私たちには変える力がある。今すぐには無理でも、子孫の世代には元通りの美しい世界を届ける力があるだろう。この世界を汚染したのは直接には放射能だが、その根源には力の象徴のように美化した「カネ儲け」があった。ルールのないカネ儲けが悪化を加速させた。人を殺して得るカネは悪そのものだ。しかし人々は意味もなくカネを儲けた人を尊敬したりする。その価値観が人を欲望に走らせた。今にして思えば、私たちには美しく輝く野山と、安心してかぶりつける食べ物があれば十分だったのに。

 もう一度世界を回復させるには、ぼくらが何を崇めるのか意識して見直さなければならない。カネばかり崇めて、悪事やずるさに寛容すぎてはいなかったか? 社会変革に臆病すぎたのではないか? 子どもたちの未来を傷つけるものはすべて拒否できる人になろう。でもただ拒否するだけでは足りない。世界の問題の原因を凝視できる勇気を持とう。
  


  ~~「東京平和映画祭」に寄せて     http://www.peacefilm.net/home.html


  田中優のメルマガ第97号より