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2016年12月21日

『休眠預金活用法成立 -この巨額資金を人々がどう使うか-』

2016.12.19発行 田中優無料メルマガより

『休眠預金活用法成立
  - この巨額資金を人々がどう使うか -』

 未来バンク事業組合 理事長  田中 優



◆休眠預金を政府から隔離した

あとは人々がどう監視するか

 以前にお伝えしていた「休眠預金活用法」が成立した。2016年12月2日に成立し、約3年後から実施される。これに対する批判も聞こえるが、その多くは誤解に基づくものだ。


 まず預金を勝手に奪うものという誤解は違っている。その基準は「10年以上放置」された預金がこうした休眠預金の対象で、従来「残高が1万円未満であれば金融機関の収入」となり、1万円以上なら、金融機関から預金者への通知が届いたと判断されれば通常の預金として扱われてきた。

 通知が届かなかったと判断されれば、1万円未満と同様に金融機関の収入とされてきた」ものだ。しかも金融機関の収入になるというのも税務当局が課税できるからしてきたもので、金融機関が望んでしたものではない。


 しかもその後に正当な受取人が現れれば、何年経過していようが払い戻せる仕組みになっていた。これについて十分な追跡をしていないという批判もあるが、時効制度とのバランスから見てどうだろうか。知らずに取得しても10年で時効取得、知り得る場合であっても20年で取得できる時効制度から考えて、特別に守られていないとは言えないだろう。ただしマイナンバー制度がきちんと機能するなら、それも解消されるはずだ。


 こうして毎年発生する1000億円程度の休眠預金の中から、後から正当な継承者に取得される約半分を除いて、公益活動にたずさわるNPO法人や自治会といった団体から「貧困」「子どもの貧困」「地域活性化」のために使われることになる。

 休眠預金活用法が施行されると、休眠預金は預金保険機構に移され、公募されて「助成金や貸し付け金、出資金」にされる予定だ。この預金保険機構を経由して公募し資金提供するための時間に3年ほどかかるというのも不適切な話ではない。


 おそらく一番の懸念は、本当に困っている人に届けることができるのかどうかだろう。この部分は「有識者の審議会」などで議論されることになるが、「使途先が大都市に偏らないようにする」「複数年度にわたる活動にもあてられるようにする」という方針が示されている。確かに「有識者」という信用ならない言葉があり、それ如何によっては利権に使われる心配がないとは言えない。


 しかし最大の懸念は「これを税収として今の歳出に加える」ことだったのだから、あとは有識者を人々が監視することが大切なのだと思う。

http://www.geocities.jp/mirai_bank/data/newsletter/69/newsletter_69_001




◆未来バンクの関わり方


 資金分配団体としてノミネートされているのが未来バンクを含む『NPOバンク』だ。この資金をきちんと分配していく団体のひとつとして想定されているのだが、ここで大きな問題があった。資金の使い方で「融資」が挙げられているのだが、融資をするためには「貸金業登録」が必要で、これが非営利世界で可能なのは公益団体を除けばNPOバンクだけなのだ。

 するとNPOバンクがどこかの団体に資金分配しても、その団体が直接融資することはできないのだ。そのため、NPOバンクは「資金分配団体」であると同時に実際に融資する「現場の団体」を兼ねなければ融資は実施できなくなる。
そこでこの法案を進めてきた団体に要望を伝えている。



◆奨学金資金に活用を

 未来バンクとしては、この資金を最低でも無利子の奨学金貸付資金とし活用したい。これを給付型にするという意見もある。給付が理想だと思うが、税からの支出であればともかく、全員に給付できるだけの資金量ではない以上は「選別」が必要になる。「学習能力で選別」などの問題が生じる。

 それよりは希望制にして、実績に応じて一部を給付する仕組みにした方がいいのではないか。返済の実績に応じて一部を給付にすれば、返済がきちとされるほど給付部分が多くなって返済を促進することができる。そのような形の奨学金への資金活用を行うのが良いのではないかと考えている。



◆学習機会への活用

 奨学金となると大学進学が想定されるが、その前段である高校進学や不登校などによって脱落している若者も存在する。そうした若者も救済したい。正直言って、どのようにしたら彼らに情報が届くのか、どのように制度設計したら救済できるのかがわからない。そうした仕組みも※「未来バンク作戦会議」で検討してみたい。

 心強いのは他のNPOバンクのあることだ。他団体にお願いできれば未来バンクだけでやらなくてもいいことになる。



◆NPOバンクを社会の道具に

 こうして活用することができるようになるなら、NPOバンクの社会的認知も広がり、実際に必要な組織として認められていくだろう。市民が市民のために資金を集めて利用する。これまでの「銀行しか資金供給者がない」という認識を改めたい。必要があるなら自分たちで資金を集め、安全に確実に、信頼をベースとして資金を循環させたい。


 はっきり言えば、戦争や環境破壊に貯金を通じて加担するのはもうたくさんだ。
人々はおカネが儲かるからと言って人を傷つけたり、未来を絶望的したいとは思っていない。ならばそうした仕組みを市民が持たなければ、いつまで経っても社会は改善されてはいかないのだ。そのための道具として、NPOバンクが市民のツールにならなければいけないと思っている。


 今、給付型の奨学金に休眠預金を使おうとする動きがある。それより実際に使えて、選別型でない奨学金制度が作れないだろうか。はっきり言って「知恵の勝負」だと思う。小さな団体のままでいいから、自己満足に終わらない仕組みを作りたい。そう考えると、休眠預金活用法の発足するこのタイミングを逃すべきでないと思うのだ。


 私たちには社会の実態を知っているという優位性があり、そして知恵を持っているとするなら、それも可能だ。そのためには未来バンク組合員の力を集めることが必要だと思う。どうか積極的に参加してほしい。

http://www.geocities.jp/mirai_bank/data/newsletter/69/newsletter_69_002






以上、2016.12発行 
※「未来バンク事業組合ニュースレター No.89/2016年12月より」抜粋


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○●○ 次回 ※「未来バンクと未来をつくる作戦会議」のお知らせ ○●○


次回は来年1月30日(月)19時からです。

休眠預金の活用方法に知恵を貸しください。


■日時:1月30(月)19時~ 

■会場:文京シビックセンター(東京都文京区春日1-16-21)4階会議室B 
    (東京都文京区春日1-16-21 
     東京メトロ後楽園駅・都営地下鉄春日駅 徒歩1分)

■お申込: mirai_bank@yahoo.co.jp へメールをお願いします。 

■参加費:500円

■主催:未来バンク事業組合