4/25発行田中優無料メルマガより ↓
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田中優の“持続する志”
優さんメルマガ 第516号
2016.4.25発行
http://www.mag2.com/m/0000251633.html
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※このメルマガは転送転載、大歓迎です。
□◆ 田中 優 より ◇■□■□◆◇◆◇■
熊本・大分群発地震被災者に寄せて
約一か月前、ぼくは熊本にいた。講演会を主催してくれた方々はどうしているだろうか、不安はないだろうかと心配になる。別な友人は阿蘇に近いところに住んでいるが、フェイスブックを更新しているのでほっとする。大分の友人もそうだ。また別な熊本の友人は、最初の時点から我が身を顧みず、 周囲の被災者のために動き続けている。頑張ってほしいが、無理はさせたくない。
なんとか支えになりたいのだが、たいしたことができているわけではない。阪神淡路大震災のときには現地に駆け付けた。あの時ですら『この年で大丈夫だろうか』と考えたが、あれから21年も経っているのだ。無理して出かけても、かえって足手まといになりそうだ。
地域の人たちが自発的にトラックを仕立てて炊き出しと支援物資を運んでくれた。
ちょうど東京に行っている時だったので手伝ったのはぼくの奥さんだけだが、「忘れていません」という気持ちだけでも届けられたらと思う。
地震国日本では、どこにいてもどんな時でもこうした災害に遭う可能性がある。
災害の被災リスクを下げておきたい。ぼくの友人が東京の新宿で「防災ハウス見学会」をしている。天然住宅にお住まいの方だが、「防災を考えていくと、何より自給率の高さが大きい」という。インフラが断絶したとしても、自給できているものは心配ないからだ。我が家もまた「電気、水、暖房、給湯」など自給しているので、確かに災害時には強い。しかしどこまでいっても『もらい災害』だけはどうにもならない。
東日本大震災をさらに深刻にしたのも原発部分が大きい。今、熊本で外に避難して暮らす人が10万人いるそうだが、福島の被災で家に戻れない人たちもいまだに同じくらいの数の人たちがいるのだ。かくいうぼくも、原発事故がなかったら越していないだろうから、「自主避難者」なのかもしれない。
なのに今なお、川内原発は動き続けているのだ。地震の被害に、さらにチェルノブイリ事故の被害を積み重ねかねないのだ。なにひとつ予測がつかない大地震が起きている最中に、なんでそんな余計な心配をしなければならないのか。
余震が連続していて家が崩壊するかもしれないから、家の中で過ごすことすらできないのに、政府の人間が知事のところに来て、「屋外に避難するのはやめてほしい」と言っていたそうだ。知事は激怒した。「何言ってるのか。家にいられるんならとっくにそうしてる。家に戻ったら地震て家が崩壊して亡くなった人すらいるのだ」と。
たとえていうならこんな状況だ。
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…ふと見たら隣のテントでぐつぐつ大量のお湯を沸かしてた。あれがこぼれたらこちらも大火傷してしまう。群発地震の緊急支援で炊き出しに来たんで、こちらだってお湯は沸かしている。だけどあんなに大量じゃない。どう考えたってこの被災地の人たちに必要なレベルではない。『そんなに沸かさ なくても』と思う。
昨日また余震があった。今度は大きいなと思ったら、これまでのものは「前震」になってしまって、今度のが「本震」になった。今度のがもっと大きかったら、それが本震になるそうだ。じゃ次の本震のときにはどうなっちゃうんだろう。
沸かしているお湯は発電に使うそうで、熱量だけで89万キロワットが2つある。
89万キロワットは発電量で、三分の一しか電気にならないから、それぞれ267万キロワット分のお湯を沸かしていて、それが二つだから534万キロワット分のお湯だ。
「危ないじゃないですか」と言うと、「科学的に安心だから止める気はない。
科学的・技術的知見以外は聞くつもりもない」という。
「でも同じ線上にあるんですよ、同じ中央構造線の」
「いや問題ない」
「でもその鍋が耐えられるのは650ガルの揺れまでで、こちらの昨日の揺れは1580ガルもあったんですよ」
「今の状況で問題はない」
「でも、ただのお湯じゃなくて、浴びたら後遺症が出るそうじゃないですか」
「いや、大げさだ。問題ない」
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現に福島でも、過去に大震災が起きたことを知っていたくせに対策しなかったせいで大事故が起きた。遠くに避難した被災者にとって地震は終わっても放射能の健康被害があるために5年経っても帰れない。熊本地震の被災地が、同じように帰ることのできない土地になってしまったらどうしてくれるのか。しかも今度は偏西風地帯の風上だから、安全な避難場所すらないのだ。
せめて止めてくれれば心配も減る。しかし原子力安全委員長は狂信者たちの教祖様のように、自分の個人的な見解ばかりを繰り返す。科学的見解しか聞かないというが、火山学会からの警告すら聞こうとしないのだ。
「電気が足りなくなる」という人もいる。電気のために命を捧げるというのも狂信的だが、そもそもこの季節の電気消費は多くないばかりか震災地域 は停電しているのだ。電気消費のピークは『夏場、日中、午後1時から3時、最高気温を記録するときだけ』なのだ。川内原発を今止めても電気に困る ことはないのだ。
寝苦しい夜に一匹の蚊が耳元を飛ぶだけで眠れなくなる。ストレスがあるときは、ひとつひとつ積み重なる悩みや心配事を減らしていくことが大切だ。
せめて原発を止めたい。それによって原子核の崩壊熱を冷ましたい。時間が経つごとに大きく原子炉内の温度は下がっていくのだから、早ければ早いほど安心できる。
ぼくはそのことを知らせ、止めていくための努力をしたい。
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編集後記
前回のメルマガ発行から2週間経ってしまいました。
その間に熊本・大分の地震がありました。
大きな地震がある度に、多くの人がその近くの原発は大丈夫かと
心配するようになってきました。
明日はチェルノブイリ原発事故からちょうど30年ですね。
この原発事故をきっかけに、田中優の脱原発・環境運動が始まりました。
最初は見向きもしてくれず小さかった声も、今では全国でたくさんの人が
立ち上がり声を上げ、大きな輪になっていっている気がします。
悪いニュース、悲しいニュースがたくさんありますが、
これからもこのメルマガを通して解決策や希望やワクワクを、
そして"持続す志"を持って発信していきたいと思います!
どうぞよろしくお願いします! (スタッフ)
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■「放射能下の日本で暮らすには? 食の安全対策から、がれき処理問題まで」
(筑摩書房)
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