8bitnews での番組「ペイフォワード環境情報室」にてインタビューをして頂きました。
「チェルノブイリからはじまった脱原発活動と、
311を経た日本のこれから」
http://8bitnews.asia/wp/?p=10677#.UXX4ObUqymA (収録日2013.4.9)
※「8bitnews」とは
元NHKアナウンサーの堀潤さんが立ち上げた市民発信メディア。
その一番組として今回のペイフォワード環境情報室があります。
HP http://8bitnews.asia/wp/
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▼田中優コメント
「最後に言及していますが、ピークをドイツ北欧並みにシフトさせれば、日本の最大電力消費は25%下げられます。原発は即刻不要にできます。」
-田中優さんは今まで未来バンクもそうですが
3.11以前も含めずっと色々な活動をされてきています。
今までどのような活動をされてきているのですか?
ボクは元々チェルノブイリの頃に子どもが産まれたばかりで、その子どもが産まれ
てすぐ後に具合が悪くなってしまい、その時は実は全然気にしてなかったんですが、
後になって気づいてみると実は奥さんのお腹の中にいた時にチェルノブイリの原発事
故が起こっていて、その時高濃度に結構汚染されてしまった牛乳をボクは奥さん経由
で子供に与えてしまっていたんですね。
そのことに後から気づいて、これはボクはまずいことをしたなぁと言う風にすごく
反省しましてそこから脱原発の運動に入ったという流れです。
-日本にいらっしゃったんですよね?
はい、日本でも結構(放射能が)降ったんですよ。
-それが活動のきっかけだったんですね。
その後どのような活動をされていたんですか?
その後も脱原発の運動をやっていたんですが、ところがその後にだんだんと運動
が盛り下がっていってしまったんです。
何でかと言うと、やっぱり危機感て長続きしないんですね。だから危機感で運動
してた人たちが多かったのでそうするとしばらく経つと、でも大丈夫じゃないか?
みたいな気運が生まれてしまって、そのせいでだんだん盛り下がっていってしまった
んです。
その時に誰でも関われる運動をやりたいと思って、ごみ問題を取り上げて、なお
かつインドネシアにムリア原発というのが当時原発輸出されそうになっていまして、
その資金を調べていってみると実は私たちの郵便貯金に絡んでいたんです。
そこから我々のお金自体が問題じゃないかと考えて、未来バンクという自分たち
で勝手にお金を出資して自分たちが必要だと思うところに融資するという活動を
始めて行ったんです。
-活動が盛り下がっていったのは、チェルノブイリ事故から何年位続いたんですか?
そうですね、ものすごく盛り上がったのは2年目でした。2年目の4月が一番盛り
上がったんですが、そのあと1年間位でほとんど各地域に生まれた脱原発のグループ
が人が集まらないので消えていってしまうという状態になっていったんです。
-やはり危機感てなかなか長続きしないものなんですね。
そうなんですよね、だから危機感に頼らない運動をしようと思って、そこで我々が
考えたのは日常生活からいつでも気にするようなゴミ問題、貯金の問題とかそういう
ところから始めていきたいと思ったんです。
-3.11を2年目に迎えて、今の現状を優さんとしてはどのようにお考えですか?
正直言って原発事故が起こった時には、当然“起こるべくして起こった”という
印象が強かったです。
というのは世界的に見ても日本とアメリカの原発の管理が非常に良くなかった
ものですから、これはどっちかの国で事故が起こってしまってもしょうがないんだ
ろうと思っていて、だから事故が起こった時にはやっぱり来てしまったなぁという
感じがしました。
-3.11後の脱原発・反原発運動の盛り上がりや継続など、どうでしょう?
今回は日本で起こってしまい日本に放射能が降り注ぎましたので、東日本を中心
に今後も持続的に被害が出ていってしまうのでその点では簡単には今回は(運動は)
消えたりはしないだろうなと思っています。
ただもう一つボクが気にしているのは、これを機に実は電気の問題で考えた時に、
“原子力は決して安くない”ということを知ってもらいたいなと思っているんです。
-よく原発は安いから、CO2を排出しないから経済学的に有利だというお話が
ありますが、そうじゃないということなんですね。
そうですね、これは立命館大学の大島堅一先生が岩波新書「原発のコスト」という
本を書かれていて、そちらに詳しく載っているんですが実際にかかった金額を調べて
みると他の発電よりもずっと高いんです。
今現在、実は日本の電気料金というのは世界一高いんですね。
よくドイツは自然エネルギーを入れているから高いと言われるんですが、調べてみ
るとドイツよりも高いんです。
そんな形になっているということがもし政策決定者にきちんと届くことができた
ならば、原子力は経済的合理性からやらないという選択になっていくはずだと思って
いるんです。
-原発の電気は蓄電できないという話もありますよね?
はい、その通りで実際に電気が必要になるというのは、実は夏場のほんの一時だけ
なんです。
2010年の東京電力のデータでみてみると、一番最大の消費から100万kwの範囲
のところに一番最大のところにきてしまったのは何時間あったかと調べてみると、
わずか1年間で5時間しかないんです。
(1年間は8760時間ですから)8760分の5です。
それほどしか電気が足らなくならないのに、その一時のために発電所を作るという
のは非常に不合理で、そのせいで日本の電気料金は世界一高くなり、その結果国際
競争力を失わせているんだと思っています。
-そうなると経済的にも高くて困る、需給の問題からしても1年間で5時間しか
足りない分はないと・・。その中で今後作るまたは維持する理由はあんまり
見当たらないということなんでしょうか?
合理的に考えたら必要はないと思います。その時に、例えば昼間のピークの時って
決まった時しか出ないんですよ。夏場・平日・日中の午後1時から3時にかけて、
気温が最高気温を記録するとき、その時しか出ないんですね。
だからあらかじめ見当がつきますのでその時だけ電気料金を高くするという仕組み
を入れれば、これは簡単に解決できます。
-解決する方法があるというのに、日本政府はそれをまだやってきていないという
ことですね。
はい、それは結局のところ原子力というものが利権に結びつきすぎてしまって
いて、そのせいでこんな形になっているんだと思っています。
(文章作成:田中優スタッフ)
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▼ 田中優 最新インタビューはこちら (第二回 4/20収録)
「長年放射能と闘ってきた優さんが考える、311後の生き方」
http://8bitnews.asia/wp/?p=11256#.UXX3vbUqymA