ペシャワール会の中村哲さんが銃弾によって殺された。
ぼくはJVC(日本国際ボランティアセンター)の理事をしていたので、中村さんとは面識もなかったが同じアフガンの支援活動で知っていた。それ以前から素晴らしい活動をしている人だと感心していた。
今回銃弾に倒れてとても残念に思ったが、SNSで見るような大げさに感じるほどの感銘はなかった。
気になるのはその人たちの大げさに見える悲しみ方だ。人は肉体が滅した時に死ぬと思うのは私たちがとらわれている社会常識だ。しかしそれは地によって大きく異なる。マレーシアの先住民たちは、死んだときに悲しみはするが死ではない。死はその人が人々の記憶から失われるときに訪れるのだ。
それに倣うなら中村哲さんは私には生きたままだ。そのやや過激に思えるほどの主張も、何に憤るのかという気持ちも生き続けている。だから彼が許せなかった政権の行動も主張も、血となり肉となって私の中に生き続ける。
思うのは大げさに悲しむ人たちが、その生き方を継承しているかどうかだ。涙を流した後、すぐに死なせてしまうのではないかと心配に思う。
これは自分が還暦を超えたから思うのかもしれない。マレーシアの先住民のように、生きたいと思うのだ。私が人々の思いの中に生き続けたいと願うように、中村哲さんもそう思うのではないか。そうでないと肉体を滅した途端に無に帰してしまうからだ。
その生き様に共感してほしい。できれば同じように生きてもらえないかと願うのだ。私は中村哲さんのような素晴らしい活動は残せなかったが、それでも自分なりに頑張ったし何よりまだ生きている。明日の活動を決められるチャンスを持っているのだ。
中村哲さんが生きているならそう願うだろう。死とは終わりではない。
終わりは人々の記憶の中から消えるときに訪れるのだ。忘れずにいて、その思いを実現する一助になれたらいいと思う。
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▼「武器ではなく命の水を」 追悼番組 放送決定しました
NHKドキュメンタリー 中村哲さん
2019年12月7日(土) 午後11時00分(60分)
2019年12月12日(木) 午前0時00分(60分)
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/20/2259690/index.html
▼「武器ではなく命の水を 医師中村哲とアフガニスタン」
https://youtu.be/Fu_iiTKIeos
この動画、以前観てとても良かった。
医師の中村哲氏がなぜ土木屋さんになっていったのか。
ぼくもこういう方向性の努力をしたいと思う。
▼「【京都環境文化学術フォーラム】記念講演(中村 哲)」
https://youtu.be/zuEY9Ib9wAM
中村哲さんの思いと願い。
このビデオにまとまって語られている。
▼中村哲さん「戦よりも食糧自給」を
https://tanakayu.blogspot.com/2014/10/blog-post_35.html より
この同じ場所での二枚の写真、すごいなぁ。
ブルドーザーに乗る医師。
中村哲さん
「私は医師ですけれども、普段はブルドーザーに乗っています。」
緑が戻った村には、次々と人々が帰ってきます。
動物たちも水を求めてやってきて、
砂漠の中に文字通り「オアシス」が誕生したのです。
「戦よりも食糧自給だ」と、中村さんは力強く語ります。