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2017年3月14日

女性自身インタビュー「現在も東京都の水道水は放射性セシウムに汚染されている!」

田中優無料メルマガ 2017.3.10発行
第579号:女性自身インタビュー「現在も東京都の水道水は放射性セシウムに汚染されている!」 より


田中 優 より 

 これは雑誌「女性自身」がぼくに取材してくれて掲載された記事だ。

 日本ではゴミは燃やすのが原則だが、チェルノブイリのときには「燃やさない」のが原則だった。特にダイオキシンが問題になって以降のゴミ焼却炉はダイオキシンが出ないように1000℃以上の高温で燃やしている。その温度はまさにセシウムが気化してしまう温度なのだ。

 また水の汚染基準が10ベクレル/リットルとされているが、体内に入れたセシウムは三か月経ってやっと半分が排出される程度(これを「体内半減期」という)。ものすごく遅いのだ。

 逆にチェルノブイリのデータで見ると、体内に5ベクレル/体重1キログラムあたりを超えるセシウムが入ると心臓病などに有意な差が出る。水道水ばかりではないが、体の中に入れる水を5ベクレル以下/体重1キログラムあたりにするには、飲んでいい水のセシウム濃度は0.5ベクレル/リットル以下になる。

 東京都が威張っている「国の基準の20分の1を下回る」と言っている500ミリベクレルこそが、安全な水の最大値になる。今始まった岐阜・土岐市の「核融合科学研究所」から出されるトリチウムも水の問題だ。

 水に気をつけた方がいい、そして国の基準など信じない方がいい。

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2016.11.8日号 http://www.kobunsha.com/shelf/magazine/past?magazinenumberid=3328
女性自身 

「現在も東京都の水道水は放射性セシウムに汚染されている!」


~終わらない放射能汚染2
原子力規制委員会のHPになんと福島県を上回る数値が公開されていた!
福島原発事故から5年半たったいまも、検出されるのはなぜ!?~


-データはHPの奥底にあたかも隠されたようにひっそりと、だが確かに記されていた。
東京都水道局の「不検出」という見解とは異なる事実が明らかに!-


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 '11年の福島原発事故を受けて、原子力の安全確保のために環境省に新たに設置された原子力規制委員会。そのホームページ(HP)に「上水(蛇口水)モニタリング」というデータが公開されていることをご存じだろうか。ここには47都道府県の水道水の放射性物質の検出結果が一覧表になっている。左の表を見てほしい。なんと11の都県で'16年1~3月の時点で放射性セシウムが検出されているのだ。


「東京都水道局のHPを見ると'11年4月4日に放射性ヨウ素131(8ベクレル)が検出されて以降、水道水から1回も放射性物質が検出された報告は載っていません。ところが原子力規制委員会のモニタリング結果では、いまだにセシウム134と137を合わせると約2ミリベクレルの放射性物質が含まれているんです」

 こう解説するのは経産省の諮問機関・原子力小委員会委員である伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表)。

 「福島原発事故後、岩手県から首都圏、神奈川県や新潟県の一部まで非常に広範囲に、福島原発から放出された90京ベクレル(京は兆の1万倍)ともいわれる大量の放射性物質が降りました。'11年3月22日に、東京都の水道水からも210ベクレルkgという放射性物質(ヨウ素131)が検出され、金町浄水場付近の住民に代替飲料として水のペットボトルが配られたことを記憶している人も多いはず。当時汚染されたエリアといま水道水から放射性物質が検出されているエリアはほぼ重なります」(伴さん)


 もう1つ。左上の表で驚くのは、現在、福島県の水道水より東京都の水道水に含まれる放射性物質のほうが多いこと。東京都では'11年4月以降、常に「放射性物質は不検出。都の水は安全です」と発表しているが、規制委員会と自治体のどちらが正しいのか?


 さっそく東京都水道局と規制委員会の双方に確認してみた。どちらも「ゲルマニウム半導体核種分析装置」という同じ測定器を使って検査をしているが、


1)東京都水道局では都内3カ所の浄水場で毎日2リットルの水を採取し検査。
放射性物質が500ミリベクレルを超えない場合は検出下限値以下として「不検出」としている。

 「現在、国の放射性物質の安全基準は10ベクレル。この20分の1を下回るということで500ミリベクレル以下を不検出としています」(東京都水道局浄水部・水質担当者)


2)原子力規制委員会が公表している都の数値は東京都健康安全研究センターが検査を実施。上の表の値はセンター(新宿区内)の蛇口から、今年1~3月の間、毎日水を1.5リットルずつ取って蒸発させ、残留物の中の放射性物質を測った合計値だという。検出下限値は1ミリベクレルと厳しい。なお上表のセシウム134は検出下限値以下の0.43ミリベクレルだが、「本来なら1ミリベクレル以下なら『不検出』の表記でいいのですが、各自治体から出てきた数値は正確に公表するということで、検出下限値以下でもHP上にきちんと掲載しています」(原子力規制委貝会・監視情報課担当者)


 簡単に言うと、測定器は同じだが、採取期間と量が異なり「不検出」とする最低ベクレル値も異なるので、公表結果か違ってくるというわけ。

「明らかに都健康安全研究センターの検査のほうが厳格。水道局は毎日の検査なので速報性に重きを置いているということでしょう」と、伴さん。


 それにしても事故から5年半たったいまもなぜ水道水のセシウム汚染か続いているのだろうか?

「現在観測されるセシウム134と137は半減期(放射線を出す量が半分になる期間)からいって(134と137が)1対4の比率ならば福島原発事故で出たものと特定されます。東京都の水道水の含有比率はまさに1対4なので、福島から飛来したものに間違いない。都の水道水は利根川水系、荒川水系、多摩川水系の水が混じっている。いずれかの水源の上流部から川底に沈殿しているセシウムが砂などといっしよにいまだに流れてきていると考えられます」(前出・伴さん)



■ゴミの焼却で塩化セシウムが生じて


また別の説もある。

「'11年に水源地に降ったセシウムは山間地や河川の底で土砂に吸着し沈殿している。これがずっと流れ出しているというのは考えにくい」

というのは『放射能下の日本で暮らすには?(筑摩書房)の著者・田中優さん(横浜市立大非常勤講師)。

「いまの水道水に含まれるセシウムはじつはゴミの焼却によって生じているのではないでしょうか」
 どうしていまもゴミの中にセシウムが?

「福島から飛来したセシウムが大量に付着した家屋がいま解体されて廃材として焼却されているケースもあります。しかし汚染の実態はそうした廃材だけではありません」


 先日も(10月11日)、埼玉県秩父市で捕獲された鹿の肉から1キロあたり360ベクレル(安全基準値の3倍超)にあたる放射性セシウムが検出されたとニュースになった。


「福島原発事故のエリアは広範囲。そこで生産される食品などに現在も、安全基準値以下ではありますが、セシウムが入っているモノがあるのではないでしょうか。それらが生ゴミとして一ヵ所に集められ、焼却されると、セシウムは摂氏705度付近で気化し、周囲の塩素とくっついて、塩化セシウムに変化します。これがたいへんやっかいで水に溶けやすいんです」

 つまりゴミ焼却場から放出された塩化セシウムは周辺の空気中を漂い、雨に溶けて地上に降り河川の水に入り込んでいるのではないかと、田中さんは推測するのだ。


「東京都は人口が多い分、圧倒的にゴミ焼却量が多い。原発事故のあった福島より東京の水道水が汚染されている理由はこれで説明がつきます。もしゴミ由来の塩化セシウムが水道水を汚染しているのだとしたら、これからも数十年先まで汚染は続きます」


 微量とはいえ、セシウムで汚染された水道水を毎日飲み続けていいものか?

伴さんは、
「正直、現在の国の“水1リットル当たり10ベクレル以下は安全”という基準は相当に甘い。水は人が毎日大量に摂取するもの。本当は1ベクレルかそれ以下が適切でしょう」

 と、前置きしたうえで、

「原子力規制委員会が公表している現在の東京都の水道水のセシウムの数値(約2ミリベクレル)は私が考える1ベクレルを基準としても500分の1程度。被ばく線量は非常に少ないが、安心とは言えない微炒なレベルですね」


 いっぽう、田中さんは、

「放射性物質は体に入ったのち、それぞれ特定の臓器に蓄積される。セシウムの場合は心臓、女性の子宮、甲状腺に蓄積されやすい。実際、’86年に原発事故で放射能汚染があったウクライナのチェルノブイリ周辺では、いまも死因の半数が心臓疾患と非常に多い。この原因は体内に蓄積されたセシウムにあるのではないかといわれています。

 たとえ微量とはいえ、特定の臓器に蓄積され放射線を出し続けるところが非常に怖い。いまの都内の水道水の汚染も決して軽く考えてはいけないレベルではないでしょうか」



 東京都水道局の発表では5年以上[不検出]とされていた水道水中のセシウムが、同じ都の別の検査では、その間、ずっと検出されていた事実。あらためて5年半前の福島原発事故の汚染の隠れた実態を、私たちにつきつけているといえそうだ。


(出版社より転載の許可を得ています)