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2017年2月1日

『 本物「小林建工」さんとの出会い 』

□◆ 田中 優 より ◇■□■□◆◇◆◇■

天然住宅コラム第7回

 『 本物「小林建工」さんとの出会い 』


■ カンナ掛け体験


 先日、『ライブアース松山』に出かけ、そこの出店ブースで「小林建工」さんに出会った。手刻みのすばらしい家づくりをしているようだったので、思わず寄らせてもらった。 


 ヒノキの「カンナ掛け体験」が無料で、ぜひやってみたいと思っていたせいもある。ヒノキにカンナを掛けると、軽く手を乗せているだけなのにスルスルと薄皮が剥ける。その剥いだ木目はまるで綿アメのようにふわふわとしていて、経木をイメージしていたぼくの予想とは違っていた。カンナ掛けした後のヒノキは輝き、反射して周囲の風景が映るほど光っている。…美しい。こんなに木を大事にするのだから良い家になるのは当然だ。

カンナがけ体験 田中優

ライブアース松山 カンナがけ




 ぼくはそのイベントでトークをしていたのだが、名乗るのが気恥ずかしいのでそのまま参加者のふりをしていた。でもばれてしまった。そのときに小林建工さんから逆に言われた。「さっき話していた田中さんですか。以前にわが社のホームページをフェイスブックでシェアしていただいてありがとうございました」と。


■本物は防カビ剤など使わない 




 そう言われてみて気づいた。確かに以前にすばらしい「仕口・継ぎ手」の紹介ビデオがあって、これはすごいと思って紹介したことがある。あれが小林建工だったのだ。ぼくが話しかけたもうひとつの理由は、天然住宅の建築に手伝ってもらえないかということだった。小林さんは「申し訳ないですが、予約が三年先まで入っていて、対応できないと思います」という返事だった。 

 もちろん残念ではあるのだが、それ以上にこんな真面目に建てている会社が、三年先まで予約で一杯になっていること自体がうれしかった。本気で真面目にやっている会社が、多くの人に信頼されている。それ自体が感動的だ。話は木材処理の話に及んだ。

「このヒノキはどうやって乾かしているんですか」

「天然乾燥です。人工乾燥してしまうとせっかくの木の成分が抜けてしまうし、中がぼろぼろになって使いにくいんですよ」

「じゃ木材自体も防カビ槽に漬けたりはしていないんですね」

「もちろん。原木を市場で買ってきて、そこからはすべて自社処理ですから」

 ちょっと説明が必要だろう。普通に使われている『無垢材』と呼ばれるものは、そもそも原木の時点で防カビ剤のプールに漬けられている。そうしないとカビが発生してクレームになるからだ。特にカビが出やすいマツやゴムの木は間違いなく防カビ処理される。小林さんが言う。

 「無垢という言葉がいい加減なんですね。防カビ剤で処理したものが、どうして無垢と呼ばれるのか考えられないですよ」 


 乾燥方法の問題も大きい。人工乾燥では通常、木材を乾燥させるのに120℃の温度まで上げる。すると木材の「リグニン」の一部が分解して木材の細胞が崩れる。そして木材の持つ豊かな香り成分(これが防虫成分でもある)もまた溶け落ち、乾燥機の床にヘドロ状に流れ落ちるのだ。だから人工乾燥した木材は、内側の強度が落ちて仕口・継ぎ手を刻むと折れてしまうほど粘りがない。シロアリが寄り付かないヒノキの性質も失われてしまう。



■小林建工さん  

 天然住宅は非営利の団体で、こうした本物の家づくりを応援するための組織だ。我々が建てなくてもいい。天然住宅はこうした本物の住宅を安く届けられることをめざし、誰もがどこでも住めるようにするための組織だ。だから我々の手法は、各地域に移転されることをめざしている。 

 小林さんからフェイスブックに連絡があった。『田中さんに友人申請したかったんですが、やっぱり上限5000人に達してしまっているんですね』と。でもすぐに定員に空きができたので、小林さんを登録させてもらった。本物の技術と本物の家が、人々から信頼されて支持される。こんな素晴らしいことはない。「小林建工」のホームページはここにあるのでぜひ見てほしい。
http://www.kobayashikenkou.jp/

フェイスブックページ
https://www.facebook.com/kobayashikenkou
YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/kobayashikenkou


小林建工さんと田中優

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 田中優が共同代表を務めます非営利の住宅会社「天然住宅」では、田中優のコラム「住まいと森のコラム」を始めています。

 「森を守って健康で長持ちする」住宅や森の再生へのヒントなどがたくさん入っています。
 

☆--★ 2017.2.1現在、コラムは第63回まで更新中!☆---★  

田中優の「住まいと森のコラム」 

 月に3回記事を更新しています! 


■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された
第54回 太陽温水器の裏ワザ
第55回 「Low-Eガラス」の功罪
第56回 不都合を楽しむ
第57回 音と暮らす生活
第58回 においの環境問題
第59回 空気が吸えない恐怖
第60回 秋雨前線と電気不足
第61回 家が変わると暮らしが変わる
天然住宅バンク出資のお願い
第62回 湘南発、未来へ
第63回 おカネに頼らず暮らす


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