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2016年10月24日

『年収300万円台からのマイホーム』

□◆ 田中 優 より ◇■

ぼくの天然住宅「住まいと森のコラム」の41回目。
天然住宅バンクで実現した新たな融資の仕組みです。

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第41回 
『 年収300万円台からのマイホーム 』


■非営利の銀行「天然住宅バンク」

 天然住宅は、非営利の「NPOバンク」と呼ばれる「天然住宅バンク」を持っている。住宅を建てる融資に特化して、2%の単利固定の融資を行うことで、建てたい人をサポートしようと考えて設立したものだ。

 これが結構役立っている。銀行のローンでは通常、住宅の引き渡しまで融資がされない。ところが家を建てるときは、最初に三分の一、途中に三分の一、引き渡し時に三分の一ずつ分けて払うのが通常だ。ところが引き渡し時まで一銭も貸してもらえず、「つなぎ融資」がない場合には、金利が安くて狙い目の「フラット35」のような融資を受けることができなくなってしまう。

 そういうとき、天然住宅バンクが役立っている。住宅ローンの審査自体は「フラット35」の審査を通っているのだから問題はない。ところが引き渡し時までの短期融資分がネックになってしまう。そんなところにも天然住宅バンクが融資している。

 ちなみに住宅を建てた我が家の場合は、残念ながら融資を受けられない。天然住宅バンクを理事長の自分が利用したのでは、情実融資の可能性が出てしまうためだ。設立した自分が使えないのは何とも残念だが、これもフェアな運営のためなら仕方ない。


■ヴィンテージ住宅担保融資

 以前に話したこと※だが、その天然住宅バンクで住宅を担保にする融資を始めることにした。普通なら15年経った家の資産価値はゼロになってしまうが、天然住宅なら300年もつ住宅を目標に建てているのでビクともしない。化学物質ゼロで長寿命の住宅だから、買いたいと思う人もたくさんいる。 それなら、他の住宅の担保価値がゼロになる15年後に、天然住宅が300万円以上の価格で買いたいと思う人を探せばいい。そうすれば15年後に 300万円での買取ができるではないか。

 そう考えて作った制度が「15年後の住宅担保融資」なのだ。今の時点で300万円を融資し、15年後にローンを開始するか、家を天然住宅側に売り渡すか、他に売却して300万円を返済するかの選択をすることができる。生活は住宅を建てた時点が一番厳しくなる。それならその時点に融資し、後からゆっくり考えた方がいい。他のボロボロになってしまう住宅と比較すると、実質的に300万円の値引きと同じ効果があるのだ。




■年収300万円台からのマイホーム

 この融資を受けたい人が現れたので、先日面談した。素晴らしい人で、こちらから頼んででも融資したくなるような人柄だった。ただし住宅を担保するとなると、普通は抵当権を住宅に設定しなければならない。それをしなくてすむような仕組みを考えて融資することにした。内容は返済期の15年後 までに100万円程度の返済をしてもらうことで、通常の連帯保証人の担保だけにしたのだ。なぜなら残額200万円なら、担保のいらない範囲だからだ。

 これによって、年収が300万円台の人が天然住宅を建てられることになった。
もちろんやや地方で、高くない場所を選んだおかげでもあるが。金融を市民の手に取り戻せば、こんなことも可能になる。
 
 金融の仕組みをもっと広げていくことで、様々な不都合を解決していきたいのだ。


※天然住宅コラム 第18回 「家を担保にした超・長期ローンを」をご参照ください
http://tennen.org/yu_column/jyutakutanpo.html


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☆--★ 2016.10.24現在、コラムは第53回まで更新中!☆---★  

田中優の「住まいと森のコラム」 

■目次一覧 http://tennen.org/yu_column 


第1回 住むんだったら健康な家がいい
第2回 そのどこがエコなの?
第3回 天然住宅は高い?
第4回 蚊を殺すのにバツーカ砲
第5回 いい湯だな、バハン
第6回 次の世代に引き継げる林業に
第7回 本物「小林建工」さんとの出会い
第8回 日本ミツバチ
第9回 カビを寄せつけない技術
第10回 温泉三昧、雨ときどき間伐
第11回 小屋礼賛
第12回 皮むき間伐の弱点
第13回 低周波騒音問題
第14回 上下階騒音問題
第15回 住宅リテラシーを
第16回 湿気で溶けていく家
第17回 住宅貧乏
第18回 家を担保にした超・長期ローンを
第19回 「私、研究所の者です」
第20回 鉄筋にアースを
第21回 太陽パネルの電気自給は「冬場」が大事
第22回 男なら天然住宅!
第23回 男なら天然住宅!~男ならスペックにこだわれ~
第24回 男なら天然住宅~男なら「マイホーム主義」~
≪番外編≫寺田本家さんに共感する
第25回 暮らしに家を合わせる
第26回 次の世代の住まいとは
第27回 「未完」の家
第28回 カナダからの見学者
第29回 気候の事情、個人の事情
第30回 健康を害さない防音ルーム
第31回 電力自由化でどこを選べばいいの?
第32回 エアコンは「熱を電気でつくる」もの?
第33回 電力自由化を契機に節電を
第34回 24時間換気の不要な家
第35回 「カネを出せば買える家」じゃない
第36回 「普通の」家
第37回 自宅の完成見学会
第38回 森を守って、健康長持ち
第39回 ネオニコ住宅の恐怖
第40回 ベランダって必要なの?
第41回 年収300万円台からのマイホーム
第42回 抵当権を登記しない融資を
第43回 木造の「継ぎ手」が同じという不思議
第44回 伝統大工は頑固なままで
第45回 木材に要注意
第46回 楽しいハイブリッド林業
第47回 自立的なウマ、琴姫
第48回 この世にムダなものはない
第49回 天然住宅にすむのに必要なもの
第50回 ホタル族、ホタルに会う
第51回 ホームバイオガス
第52回 いびきが消えた
第53回 高知県興津海岸は、こうして残された


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