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2013年3月14日

メルマガ:「おカネにも、電力会社にも頼らない暮らしを~“オフグリッド”生活~ 」


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田中優の“持続する志”

優さんメルマガ 第203号
2013.2.23発行

※このメルマガは転送転載、大歓迎です。

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□◆ 田中 優 より ◇■□■□



『 おカネにも、電力会社にも頼らない暮らしを~「オフグリッド」生活~      』



昨日、家にある使われていない井戸に長い棒を差し込んで確認したら、
深さ5メートル、水は満々と3メートル以上の高さまで満ちていた。

早速手配して、ポンプをつけて井戸を復活させることにした。
 これで何があっても水の心配はいらなくなる。

東京からこの岡山の田舎町に越したのは、去年の年末のことだ。

何の縁もなかった土地だ。
自分が福島の人たちに「可能なら引っ越してほしい」と言っていながら、
程度の差こそあれ汚染されている東京から自分が越せないのは矛盾
だと感じ、思い切って越してきた。

仕事で訪ねたときに「こんなところに住みたいですね」とぼくが言った
ことを覚えていてくれて、友人がこの古民家を見つけてくれたのだ。


しかし毎日が楽しい。
朝起きて、おんぼろの雨戸を開くと山が見える風景に感動する。
鳥の声も近くの川も、何もかもが新鮮だ。


築百年以上と見られる柱の黒くなった古民家に、最新の電気をコントロール
しながら蓄電する「パーソナルエナジー(慧通信技術工業(株)製)」と、
太陽光発電を導入した。
普通の家庭にパーソナルエナジーを導入したのは世界初だ。




これが太陽光発電の電気をコントロールして蓄電し、必要なときにノイズ
のない電気を瞬時の停電もなく届けてくれる。

バッテリーはソニー製のリチウムイオン電池で寿命は1万サイクル。
一日一回出し入れしたとして1サイクル、一年で365サイクル、10年で
3650サイクルだから、この寿命は蓄電池以外の部分の寿命の方が早い
だろう。太陽光発電パネルはQセルズ、25年の保証がついている。

しかしパーソナルエナジーに保証はない。
そのリスクは購入したぼくの側が負担する。それでいい。
そうでなければ新たな発明も商品開発も、小さな会社ではできないことに
なってしまう。それはフェアでない。


特にに省エネしているわけではないが、家電製品は必ず省エネ製品を
選んできた結果、自宅の電気消費量はひと月に100kwhを切っている。
バッテリーが10kwhほどだから、万が一、三日間雨が降って発電できな
かったとしても電気は足りる。


この装置はバッテリー残量が正確に表示されるから、もし減ってきたら
それこそ真面目に節電しよう。
しかしもう一つの方法がある。地方の家では発電機を持っていることが多い。
屋台の後ろでブーンと唸っているようなものだ。 
あれを買ってこよう。万が一のときには、発電機で生んだ電気をパーソナル
エナジーに充電しよう。


そう、もう電力会社の送電線はいらない。


あれだけの原発事故を起こして破綻し、私たちの税金で生き延びながら
のうのうとしている電力会社につながる必要はない。


この装置合計で315万円かかった。(現在は500万円です)
その価格自体が超特価だが、今後特にバッテリーが値下げされればもっと
広がっていく。本当は今は買い時ではない。値下がりするのを待つべき時期だ。

それでも導入したのには理由がある。
こうして現実に導入する人がいることで、次の製品の価格が安くなるのだ。
買い時でないのに買う、「そそっかしい人」になろうと考えたのだ。


人から問い合わせが来る。
「保証は? 大量生産すればいい、値段をもっと安くしてほしい、
 自分にスマートメーター部分は必要ないから外せないか」と。

こうした主張が大手の独占企業以外では商品を作れない構造を生んできたのだ。
ぼくは製作者とともにリスクを取りたい。そういう人が新たな商品を育て、社会を
生む。

これまで通り、便利だが原発のような巨大リスクのある、巨大独占企業に寄り
かかった暮らしはもう終わりにしたい。


だから電力会社の送電線にはつながない。完全にオフグリッドにする。


売電すれば儲かるかもしれないが、送電ロスが大きい電柱の送電線に逆潮流
させた電気は、近くに消費がなければ消えてしまう。
儲かることよりも今の電気の仕組みを変革したいからだ。


家の暖房はすべてペレットストーブを使っている。ストーブ自体は高いが、
ランニングコストは今や灯油より安い。何より地域産の木材消費につながる。


しかし私自身は農業はするつもりがない。生活パターンが農業に向かないせいも
あるが、これから始めるより、現に農業をしている人たちを支えた方が社会的に
有益だと思うからだ。


こうして地域で資金が回るとき、その資金は使うのが惜しいものではなくなる。
誰かを支え、誰かの善意に報いるためのものになれればいいのだ。


これでどんなにおカネがなくなったとしても、エネルギーや水に困ることはない。
ありがたいことに、地方では近所の人が野菜を持ってきてくれる。そんな暮らしが
できるのが地方だ。といっても岡山駅で乗り換えてわずか30分の場所だが。

この次は電気自動車を入れたいと思っている。可能なら地域の自動車整備工場で、
改造したものを使いたい。


それだけ資金が地域に回るからだ。こうしていけば、私自身の暮らしが安心なもの
になるだけでなく、これまでアラブの王様に払っていた資金が地域に回り、それだけ
地域は豊かな場所になっていけるのだ。


妥協しないことの重要性を最近とみに思う。
「原発は容認せざるを得ない」などとすぐ言い出す人たち。
彼らにはすぐ現状に妥協してしまうから、現状に不満を感じることが少ないだろう。
しかしその分だけ解決しようと思う力が弱くなる。

私はどんな扱いを受けようと、原発反対の姿勢を変えなかった。
電力会社や配慮したがる人たちによって講演会の会場を貸してもらえなかったり、
この講師を呼ぶなとパージされたりした。
そんなことは意に介さず、信念のまま生きてきた。


しかし今になって思うのだ。私の今があるのは妥協しなかったからだと。
満足しなかったことが、次の仕組みを生み出すことにつながった。



 必要なのは現状に満足しない「挑戦する意志」ではないか。


ストーンズの歌詞を思い出す。
「I Can't Get No Satisfaction(ちっとも満足できないぜ)」