2012年4月26日

田中優より 「うさんくさい“絆”」


田中優 連載コラム Rooftop環境はエンタメだ!より

第二十九回(2012.04.24)

「うさんくさい"絆"」 「お涙頂戴キズナ話」はうさんくさいと思わなきゃ


  「環太平洋連携協定(TPP)はビートルズだ」と、夏ミカン肌の腐れなすびが言った。「ぼくがポールできみはジョン、ちゃんと2人でハーモニー」と、「日本の交渉参加への決意を重ねて示した」のだそうだ。

 誰かが「いちいち癇に障るヤツだ」とツイートしてたけど、気持ちわかる。
 良く言っても「軽薄」だ。

 「みんなで苦労を分かち合おう、絆だ、キズナ」と言って、日本中に汚染がれきを届けようとしている大臣もいる。汚染されていないなら受け入れると言っている自治体もあるのに、なんで不明なままのものを押しつけたがるんだ?

  しかも神戸の震災と違って、今回は都会にがれきが積み上がっているわけじゃないんだし、ゆっくり現地で雇用を生みながら処理したほうがいいんじゃないか。現にそう発言している現地の市長もいる。
 理屈が通らなくなると、うすらバカ的「絆」やら「ジョンとぼく」やら言い出す始末。

うさんくさいんだよ、あんたたち。

 調べてみるとがれきゴミは一般廃棄物。
 だから産業廃棄物の業者は自治体の承諾がないと手出しできない。そして放射能汚染されたゴミは、従来100ベクレル/Kg以上のものは厳重に管理しなければならなかった。そうなると原発を解体した時のゴミは莫大になる。

 ところが3.11事故以降、特に根拠もなく一気に8000ベクレル/Kg以下のものは一般の埋め立て地に捨てられることになった。そうなると、これをガンガン進めて既成事実にすることができれば、原発を解体した時の汚染ゴミもどんどん捨てられるようになる。

 しかも東京都で処理するのは東京電力の子会社「東京臨海リサイクルパワー社」で、税金からの処理費で儲ける。さっさと「受け入れ」を表明した島田市の桜井市長は元「桜井資源株会社」の社長で、今は息子が社長になっている。その会社が処理を受ける。

それって「利権の絆」だろ?

 「悪代官と越後屋」のくせに「ぼくがポールできみはジョン」とか言うんだぜ。フリーズしちゃって笑いも出ないよ。
 「お涙頂戴キズナ話」を聞いたら、うさんくさいと思わなきゃ。
 ジョークのセンスを鍛えなくちゃな。
 
 ちゃちなウソにだまされない免疫つけようぜ。


★転送・転載大歓迎です★